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電子申請システムの比較 2003年4月28日 追記・修正:2003/7/31 Home >>> 論考・資料室 >>> 電子申請システムの比較 |
現行の電子申請システムが比較できる一覧表と、作者による問題点等の解説です。 | |
目次 | |
(1)比較表の見方:比較表にある項目等の説明。 (2)電子申請システム比較表:比較一覧表。中央省庁、地方自治体など。 (3)作者による解説:個別の解説と問題点の指摘など。 |
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(1)比較表の見方 | |
比較表の見方|電子申請システム比較表|作者による解説|目次へ データは、2003年4月現在のものです。Webサイトを閲覧した限りでわからないことは、不明としてあります。見落とし等もあると思いますので、詳細は各システムのWebサイトで確認してください。 表中の項目(特徴・機能)の内容は、次の通りです。
対応(推奨)OS・ブラウザ等: OSは、マイクロソフト社のWindowsシリーズとアップルコンピュータ社のMac OSシリーズがあります。各OSには推奨されるバージョンやパッチ等があります。 ブラウザは、マイクロソフト社のInternet Explorer(IE:インターネット・エクスプローラー)と、ネットスケープ・コミュニケイション社のNetscape Navigatorがあります。 Netscape Navigatorはブラウザ単体の名称で、Netscape Communicator(NC)とあるのは、ブラウザのNetscape Navigator、電子メールソフト(Netscape Messenger)、HTMLエディタ(Netscape Composer)など複数のソフトウェアを統合したものです。 ICカードリーダを使う場合、利用できるものが限定されていますので、バージョンや製造メーカ等の確認が必要となります。 |
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(2)電子申請システム比較表 | |
比較表の見方|電子申請システム比較表|作者による解説|目次へ 中央省庁、電子入札、地方自治体などの電子申請システムで、現在稼働中か近日稼動予定のものを取り上げています。 |
電子申請システム比較表 | ||
名称・提供する行政機関等 | 特徴・機能 | 対応(推奨)OS・ブラウザ等 |
総務省:電子申請・届出システム http://www.shinsei.soumu.go.jp/ |
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公正取引委員会:電子申請システム http://www.jftc.go.jp/ma/atama.htm 公正取引委員会の電子窓口(申告のみ) http://www.jftc.go.jp/mail.htm |
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経済産業省:電子申請システム(ITEM2000) http://www.meti.go.jp/application/index.htm |
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経済産業省:貿易管理オープンネットワークシステム http://www.meti.go.jp/policy/jetras/ejetraaj.html |
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国土交通省:オンライン申請システム http://www.goa.mlit.go.jp/ |
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文部科学省:オンライン申請 https://shinsei-cert.mext.go.jp/ |
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法務省:オンライン申請システム http://shinsei.moj.go.jp/ |
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法務省:乗員上陸許可支援システム http://www.moj.go.jp/NYUKAN/nyukan14.html 輸出入・港湾関連手続ワンストップサービスと連携 平成15年7月23日運用開始。 |
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特になし |
厚生労働省:電子申請・届出システム http://hanyous.mhlw.go.jp/shinsei/crn/html/CRNMenuFrame.html |
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財務省:電子申請システム http://www.shinsei.mof.go.jp/ |
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金融庁:電子申請・届出システム http://annai.fsa.go.jp/ |
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警察庁:電子申請・届出システム http://www.shinsei.npa.go.jp/ars/html/index.html |
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防衛庁:電子申請・届出システム https://www.shinsei.jda.go.jp/ |
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外務省:受付窓口(申請・届出等) http://www.mofa.jp/ |
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外務省:在留届電子申請 http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ |
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環境省:電子申請・届出システム http://www.shinsei.env.go.jp/ |
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農林水産省:電子申請窓口 http://www.maff.go.jp/denmado/index.html |
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国税庁:国税電子申告・納税システム http://e-tax.nta.go.jp/index.html 平成16年2月から段階的に運用開始の予定。 |
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特許庁:パソコン電子出願 http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/pc/psyutugaiyou.htm |
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総務省:電子入札・開札システム http://www.e-procurement.soumu.go.jp/ |
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国土交通省:電子入札 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/13/130117_.html 電子入札コアシステム(15年度より) |
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農林水産省:電子入札センター http://www.maff-ebic.go.jp/menu.html 電子入札コアシステム 利用者登録のみ。利用開始は15年7月より。 |
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横須賀市(神奈川県):入札の広場 http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/keiyaku/index.html |
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下関市(山口県):入札の部屋 横須賀市と同システム |
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江戸川区(東京都):電子入札関連情報 http://www.youchikeiri.city.edogawa.tokyo.jp/info/denshi.html 電子入札コアシステム |
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東京都:電子入札情報サービス http://www.e-procurement.metro.tokyo.jp/
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岐阜県:電子入札ポータルサイト http://www.cals.pref.gifu.jp/ 電子入札コアシステム |
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岡山県:電子入札 http://www.pref.okayama.jp/doboku/kanri/kanri.htm |
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東京都:電子申請 http://www.metro.tokyo.jp/ONLINE/denshi.htm |
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岡山県:電子申請システム http://www.pref.okayama.jp/e-entry/entry.htm |
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埼玉県:彩の国電子申請サービス http://www.pref.saitama.jp/e_mado/e_mado.html |
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三重県:電子申請・届出システム(パイロット運用) https://www.shinsei.pref.mie.jp/shinsei/index.html |
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岐阜県:インターネット申請・届出等窓口 http://www.pref.gifu.jp/common/sinsei/index.htm |
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川崎市(神奈川県):ネット窓口かわさき https://www.net-sinsei.city.kawasaki.jp/ |
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神奈川県藤沢市:ネットde申請FujisawaCity https://www.city.fujisawa.kanagawa.jp/pilot/ パイロット事業として |
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(3)作者による解説 | |
比較表の見方|電子申請システム比較表|作者による解説|目次へ 中央省庁、電子入札、地方自治体などの電子申請システムで、現在稼働中か近日稼動予定のものを取り上げています。 |
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1. 対象手続 2. 方式 3. 申請者の認証 4. 受付者の認証 5. 通信の安全性 6. 受付時間 7. 主な機能 |
8. Java環境 9. その他 ・手数料支払の電子化 10. 結びにかえて |
1. 対象手続
汎用的な電子申請システムであれば、所管する手続全般を受付けてくれますが、今のところ、一部の手続のみが対象となっています。電子申請できる手続の数は、今後増えていき、中央省庁については、平成15年度中に原則全手続が電子申請に対応することとなります。 ★検索やナビゲーション機能が必要 手続全般を対象とする場合、検索やナビゲーション機能がよほど優秀でない限り、利用者が必要としている手続に辿り着くことが困難となります。例えば、「婚姻届」をしたい人が、法律上の用語でない「結婚」とキーワードを入れて検索しても、「婚姻届」に関連する手続や援助制度が案内されないとまずいでしょう。 また、検索機能が優れていても、多くの人が使いこなせるわけではありません。そのため、見やすい案内表示をたどっていく、利用数の多い手続を表示しておく、関係する部署や案内からもリンク張ったり広報する必要があります。 できれば、ヘルプデスクがあり、電子メールや電話等で問い合わせできるのが好ましいでしょう。そんなことをしたら大変だと思うかもしれませんが、気軽に問い合わせができるようになると、その応対が大変になるので、Webサイト上の案内をよりわかりやすくする努力がされます。利用者からの意見が集めやすいという効果もあります。つまり、様々な相乗効果が期待できるわけです。 ★民間等と連携したサービスの統合化 利用数の多さや手続の特殊性により、特定の手続に限定している電子申請システムの場合は、より充実したサービスを期待できます。確定申告したい、パスポートが欲しいなど、利用者の目的もはっきりしているため、迷う人も少ないでしょう。 また、関連団体や民間企業との連携サービスも提供しやすくなります。確定申告であれば、民間企業の会計・家計簿ソフトとの連携、金融機関との提携などが期待できます。パスポート申請であれば、旅行会社や各国大使館との連携も期待できますね。 基本的には、主にWebブラウザだけで行うものと専用ソフトウェアを利用するものに分けられます。 ブラウザ方式の場合でも、別途プログラム(プラグイン)のダウンロードが必要な場合があります。専用ソフトウェア方式でも、Webブラウザは必要となります。どちらの場合も、Java環境等に注意する必要があります。 また、電子メールで通知がある場合、電子署名を表示できるメールソフトが必要となる場合もあります。 どちらの方式であるかは、同じ役所内でも手続ごとに違う場合もありますので、注意が必要です。 専用ソフトウェアの入手は、ダウンロードまたはCD-R等による配付(郵送)があります。役所によっては、郵送のみでダウンロードできない場合もあります。これは、セキュリティを考慮してのものかと思われますが、利便性を考えるとダウンロードできるのが望ましいでしょう。 ★手続による使い分け どちらの方式が良いかと言えば、気軽に利用できる電子申請という点からは、Webブラウザ方式が望ましいでしょう。ただし、手続が複雑でデータ量も多い場合などは、オフラインで利用できる専用ソフトウェア方式も有効です。 作者としては、原則はWebブラウザ方式を採用し、手続によっては専用ソフトウェア方式を採用(併用)するのが良いと思います。専用ソフトウェアを利用するからには、それに見合うサービスや機能の充実が必要ですね。大切なのは、役所側の都合ではなく、利用者の視点でどの方式を採用するか決めることです。 ★ユーザー心理への配慮が必要 多くのインターネットユーザーは、特定のOSやアプリケーションに依存したコンテンツを避ける傾向にあります。高性能のコンピュータやブロードバンドでなければ使えないような重いもの、難しい法律・IT用語で説明されたマニュアルも同様です。 こうしたコンテンツに対しては、ユーザーは意識的あるいは無意識に反発し、結果として「無視」される運命にあると言えます。 電子申請をサービスとして提供する役所や開発ベンダーは、インターネットユーザー、サービス利用者の心理や傾向を認識しておく必要があります。そして、自分だったらこのサービスを使うだろうか、家族や友人に自信をもって勧めることができるだろうかと、常に自問することが必要なのです。 なお、方式についての詳しい資料として、「汎用申請・受付システム」に関する技術検討書(PDF:地方公共団体行政サービスオンライン化促進協議会)があります。 申請者(利用者である国民、市民)の本人確認や申請意思の確認を行い、成りすましや改ざんを防止するものです。 基本的には、電子署名を利用するものと、ID・パスワードによるものがあります。両者を併用する場合は、システムへのログイン時にID・パスワードが利用され、申請書への署名・意思表示として電子署名が利用されます。 中には、手続や受付部局ごとにIDが必要になったりするものもありますが、申請者の負担が大きいのでやめるべきでしょう。 地方自治体が提供する電子申請システムでは、電子署名が利用されていません。これは、サービス提供が実証実験の段階にあること、住基カードの発行(今年の8月)を控えていること、地方公共団体による公的個人認証サービスがスタートしていないこと(平成15年度中を予定)などが理由と思われます。 ★電子署名の注意点 電子署名を使うためには、GPKIブリッジ認証局と相互認証する認証局が発行する電子証明書が必要となります。ので、事前に電子証明書の取得しておかなければいけません。現在のところ、商業登記認証局、日本認証サービス:AccreditedSignパブリックサービス2などがあります。 注意しなければいけないのは、「GPKIブリッジ認証局と相互認証する認証局」だから全ての電子申請に使えるわけではなく、各システムによって使える電子証明書が異なることです。電子証明書を取得する前に、その証明書が自分が必要としている電子申請システムで使えるかどうか確認しておきましょう。 電子署名は、現在のところ電子商取引においても普及しておらず、一般市民にとっては馴染みのないものです。電子申請で電子署名を使ってもらうためには、ICカードの普及などにより、目に見え手に触れることができるものとなって、市民生活や企業活動の中で電子署名が馴染み深いものとなることが必要でしょう。 ★どの認証方法が良いか どの認証方法が望ましいかは難しい問題ですが、利用者の視点で柔軟な対応をすることが望まれます。 例えば、戸籍謄本や住民票の写しなどの交付を請求するだけであれば(受取りは窓口で行う)、電子署名はもちろん事前登録も必要ないでしょう。 高価な財産の所有に関するもの(不動産、自動車)、家族や身分に関するもの(結婚、養子縁組など)であれば、安全性を重視して、厳格な本人確認や意思確認等が必要となります。 利用者からすれば、事前登録なし、事前登録あり(オンラインですぐ使える、オフラインで使えるまでに時間がかかる)、電子署名あり等の中から選んで利用できると良いでしょう。その際には、それぞれにメリット・デメリット、安全性等について十分な説明が必要となります。 行政機関からすれば、手続によっては安易な方法を選択させないといったポリシーも必要でしょう。利便性を考慮しながらも、国民・市民の権利を守り、安全なサービスを提供するにはどうしたら良いか。じっくり考えてみる必要がありますね。 受付者(申請先となる役所)の存在や公文書等を確認し、成りすましや改ざんを防止するものです。 受付者の認証は、基本的には役所側が用意するものですから、利用者に負担がかかるものではありません。しかし、利用者が役所側の電子証明書や電子署名を確認をするにあたって、特定のアプリケーションを必要したり、面倒な操作が必要となるといったことは避けなければいけません。 個人的には、様々な電子証明書の確認を利用者に期待すること自体に、ちょっと無理があると思っています。実際は、「認証に関して行政側は責任を果たしました」といった意味合いが強いでしょう。 申請者が確認するのは、役所の実在性、ホームページや電子申請システムの運営者等、申請ソフトウェアの配布者等、公文書等の有効性(真正)などです。 ★役所の実在性 役所の実在性については、あまり問題にならないと思いますが、紛らわしい名前の団体には注意しなければいけませんね。以前、神奈川県行政書士会(役所ではありません)のホームページを管理していた時、神奈川県(役所)宛ての苦情メールを何通も頂きました(笑)。名前の中に、「神奈川県」が入っていて「行政」まで入ってたら、間違えても無理ないけど。。 ★ホームページ・システムの運営者 ホームページや電子申請システムの運営者については、ブラウザの操作でサーバ証明書を見て確認することができます。サーバ証明書は、SSL暗号化通信を実現するためにも利用されます。 民間認証局が発行するサーバ証明書と違い、多くの電子申請システムで利用される省庁等発行のサーバ証明書は、ブラウザに組み込まれていないため、「安全な通信を行うための証明書の入手と設定」作業が必要となります。 なお、GPKI(政府認証基盤)は、ブリッジ認証局(BCA)と各府省認証局から構成されており、現時点では、各府省認証局はサーバ証明書を発行していません。そのため、電子申請システムで利用されるサーバ証明書はGPKIに含まれないことになります。 各省庁では、GPKIの府省認証局とは別に「運用支援認証局」という認証局を構築し、この認証局から、サーバ証明書やコード署名証明書(次項参照)を発行しています。 詳しいことは、安全な通信を行うための証明書についての詳しい説明(財務省)などをご覧下さい。 ★申請ソフトウェアの配布者 申請ソフトウェアの配布者については、ダウンロードプログラム(exeファイルなど)に付されるコード署名証明書を見て確認することができます。通常は、ダウンロードする際に確認できるようになっています。 ★公文書等の有効性 公文書とは、行政機関や公務員が職務上作成する文書のことです。ここでは、「権限のある者により署名や公印が付された公的な文書」と考えるのが良いでしょう。 電子的に発行される許可証などについては、権限のある人が発行して改ざん等がされていないこと(公文書の有効性)を確認する必要があります。 具体的には、署名押印に代えて、電子署名(GPKI府省認証局等が発行する官職証明書、地方自治体の場合はLGPKI)が付されることになります。官職とは、●●大臣とか○○県知事といったものです。 なお、GPKIが抱える問題点等については、「本人認証の現状に関する調査報告書(IPAセキュリティセンター)」が参考になります。 申請データには、申請者の個人情報が多く含まれており、ある種の「手続を申請しているという事実」が申請者のプライバシーに大きく関係しています。 申請データの送受信や結果等の通知など、申請者と役所の間でやり取りされる情報を、盗み見や改ざんから防ぐためには、通信の安全性を確保する必要があります。 具体的には、「4.受付者の認証」でも触れましたが、サーバ証明書を利用してSSL暗号化通信を実現します。ほとんどの電子申請システムでは、この通信方法を採用しています。 インターネット電子申請のメリットとして、いつでも好きなときに利用できることが挙げられます。民間企業が提供する各種オンラインサービスでも、メンテナンスやシステム変更などを除くと、原則として24時間365日対応となっています。 電子申請システムでは、行政機関によって受付時間の差が見られます。原則24時間365日対応しているところもあれば、ひどい所では平日の営業時間に限定しています。 少なくとも、営業時間以外の朝晩、土日への対応をするべきでしょう。 申請データの作成や送受信といった基本機能に加えて、利便性向上のために付加されている機能があります。 例として、状況確認、公文書取得(現在は紙による)、連署、代理申請(委任状の取扱い)などがあります。汎用システムであれば、仕様が同じなので、付加機能もほとんど同じとなっています。 実務を考えると、代理機能が必須なのですが、利用者と代理人の利便性を考えたものが望まれます。 Java環境については、ブラウザ設定のJava Plug-in有効・無効、JRE(Java 2 Runtime Environment)のバージョンなどがあります。 問題なのは、JREのバージョンが各省庁によって異なっているため、一台のパソコンで各省庁の電子申請システムを利用することは非常に困難なことです。 マニュアル等には、別バージョンのJREを事前にアンインストールすること、別バージョンのJREをインストールすることでシステムの動作に不具合が生じる可能性があることを注記されています。 現在の状況では、「申請先や手続ごとにパソコンを用意して下さい」と言っているようなものであり、利用者は電子申請から遠ざかるばかりでしょう。各省庁の協力・連携により、早急な対応が望まれます。 なお、この問題については、行政書士であり電脳書士組を主催する家森氏が詳しいです。 ★手数料支払の電子化 手数料等の支払いの電子化(電子決済)については、民間側(金融機関等)の基盤となるマルチペイメントネットワークは整備されていますが、行政側の基盤となる財務省の歳入金電子納付システムが準備中となっています(2004年1月稼動予定)。 そのため、歳入金電子納付システムが稼動するまでは、手数料が必要な手続はオフライン申請としているようです。なお、汎用システムには、電子決済の機能が標準で備わっています。 ★添付書類の作成、省略・簡素化 添付書類の作成は、申請者側で用意するワープロ・表計算ソフトでの作成が可能となっていますが、受付けてくれるファイル形式は、受付先の役所によって異なります。 例えば、法務省では、添付書類に登記簿謄抄本がある場合、「登記情報提供サービス」を利用することで、その添付を省略することができるとしています。 これでは、添付書類の省略をするために、あらたな手続や費用が申請者側に発生し、ちっとも省略となっていません。手続の煩雑化や申請者負担の増加を招くので、「登記情報提供サービス」を仲介することなく、省略できるようにするべきです。 なお、住民票の写しについては、一般旅券申請受付等における住民基本台帳ネットワークの利用についてにあるように、原則として提出不要とされています。 ★到達時期について 厚生労働省のQ&A(最後尾)では、 「申請データの「到達」は法的に「受理」と同じでしょうか? 」という質問に対して、 電子申請・届出システムにおける到達は、申請・届出等データがインターネットを通じて 同システムのファイルに記録されたことを意味するものであり、必ずしも手続を取り扱うこととしている 「行政庁」の「事務所」に到達したことを意味するものではありません。 とありますが、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」の第三条に反するので、修正しておいた方が良いでしょう。また、行政手続法においても「受理」というものはありません。 第三条(抜粋) ちなみに、財務省のFAQでは下記のように記述されています。こちらが正しいですね。 Q.電子申請で申請データを送信した場合、どの時点で正式な提出と認められるのですか?
電子申請では、紙申請のように受付窓口で担当者が受付を拒否することはできません。必要事項の記入漏れや添付書類の不足等がなく、形式的な要件が満たされていれば、全て到達の時点で正式な提出となります。 ここで理解しておきたいのは、 ・電子申請は、行政手続における透明性・公平性を強化するものである ・電子申請については、行政職員の理解が必ずしも十分とは限らない ということですね。国民に電子申請システムを理解して利用してもらう前に、まずは行政が電子申請の本質を理解し、その効果を実感できるようにならなければいけないでしょう。 ★利用方法等の説明 利用規約と利用方法の提供はありますが、Q&A、よくある質問(FAQ)などが提供されていないところもあります。「利用者が知りたいこと」のFAQは必須ですね。利便性を考えると、PDFファイルのみの提供も避けるべきでしょう。 利用規約では、「システム利用者の責任」として、自己責任と判断でシステムを利用し、システムの利用に伴って生じる問題については、役所側で責任を負担しない(させない)こととしていますが、 役所側の不注意により、周知のセキュリティホールに対応しないソフトウェアを配付し、その利用により利用者が損害を被った場合などは、役所側の責任を追求する必要があるでしょう。 ★他省庁や民間との連携 電子申告システムでは、ソフトウェア開発業者向けにクライアント仕様を公開していますが、こうした取組みが他の省庁でも必要でしょう。 作者は、電子申請を推進する立場にはありますが、現在各省庁が提供する「電子申請システム」については、残念ながらオススメできません。 一つはっきり言えることは、近い将来、このような縦割り型電子申請システムが修正されることになり、そのために多大な費用(税金)がかかるということです。 以前、電子申請の失敗?でも述べましたが、各省庁のシステムをまとめる ワンストップサービスの拠点となる窓口 の実現が望まれます。今後の電子申請に期待しましょう。 |
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