日本でデジタル政府を実現したければ、行政を徹底的にハックしてもらおう!
電子政府やデジタル政府に関して、省庁、自治体、企業、団体等から意見やアドバイスを求められることがあります。
その際はエストニアと比較してお話しすることが多いのですが、「日本が進める電子政府の延長線上に、エストニアのような電子政府やデジタル政府は存在しない」とお答えしています。
つまり、今の進め方では、10年経っても100年経っても状況は良くならないということです。
端的に言って、エストニアと日本の決定的な違いは、「情報システムとデータを統制(ガバナンス)する仕組み」が有るか無いかです。
エストニアの国家(国と地方)情報システムとデータ管理は、国家最適であり、官民最適ですが、日本の場合は省庁最適、自治体最適になっています。
中央政府と地方政府を含めた国家としての情報システムとデータのガバナンスができて、初めてデータに依拠した事務処理の自動化が可能になります。行政の仕事を自動化をしない限り、職員の仕事は増えるばかりですし、見せかけだけ立派で高コストな電子政府サービスの乱立を防ぐことはできません。安易に「ワンストップサービスの実現」などと言うべきではありません。その前にやるべきことがあるからです。
行政の仕事を自動化するためには、公共性の高いデータの管理をどのようにするべきかが初めにあり、その後に基盤、そしてアプリケーションを考えることになります。当然、アプリケーションの開発も、できる限り再利用と自動化を進める必要があります。
ここで問題となるのが、「情報システムとデータを統制(ガバナンス)する仕組み」の再構築には、行政にもITベンダーにも多くの痛みが伴うということです。
日本がエストニアのような電子政府やデジタル政府を実現したければ、イノベーションと創造的破壊の連鎖が不可欠であり、今までの電子政府の進め方を「変える」と言うか「捨てる」ぐらいの発想が必要になります。それらは行政やITベンダーの内部から自然発生的に起きることは無く、外部からの働きかけが不可欠です。
そうした外部からの働きかけを期待するのがオープンガバメントなのですが、個人的には、行政を丸ごと徹底的にハックしてもらうことが有効と考えています。行政の仕事をハックすることで、いかにデータが使いにくいか、自動化を妨げているかを明らかにした上で、「情報システムとデータを統制(ガバナンス)する仕組み」をオープンに再構築していくということです。
内閣官房、「マイナポータル」の電子申請や公金決済サービス機能について意見招請
アジャイル開発の採用、利用者参加の総合運用テストなど。エストニアのX-Roadとは全く異なる、マイナンバー制度の情報提供ネットワークシステム等で、この仕様を実現するのは、相当厳しいですね。
関連>>マイナポータルとは
意見招請に関する公示|調達情報
官報掲載日の範囲を平成28年08月23日として、案件名のキーワードを「マイナポータル」で検索すると「マイナポータルを活用したサービス検索・電子申請機能等の提供」が見つかります。
事業者が匿名加工情報の具体的な作成方法を検討するにあたっての参考資料(「匿名加工情報作成マニュアル」)を取りまとめました!
平成28年8月8日 経済産業省
具体的なユースケースを用いて、匿名加工情報を作成するための具体的な手順や方法について。留意すべきリスクを、個人が特定されるリスク、他の情報と照合されるリスク、本人にアプローチされるリスクに類型化し、リスクに応じた具体的な加工の方法を例示(特異値の削除、仮名化等)しています。
第6回医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 平成28年8月9日
指針の見直しについて。
これまで個人情報でない情報として取り扱ってきた情報が、新指針施行後、個人情報になり得るか?
なり得る。例えば、これまで、個人情報の定義に該当するか必ずしも明らかではなかったため個人情報としての取扱いを明確には求めていなかった情報であっても、改正法施行後には個人情報としての取扱いが必要となる場合もあり(例:ゲノムデータ等)、当該情報を用いる研究は、新指針の対象となる。
ブロックチェーンEthereum入門 1 NTTデータ先端技術株式会社
Ethereumを動かしながらのブロックチェーン解説。Ethereumではコントラクトにより、ブロックチェーン基盤上に任意の処理ロジックを持つシステムを実現できると。
平成28年度第1回個人住民税検討会(平成28年8月2日開催)
経済社会構造の変化を踏まえた個人住民税の今後のあり方、マイナンバー制度の導入による課税事務の効率化・適正化、特別徴収税額通知(納税義務者向け)及び納税通知書の電子化など。平成27年度は、電子化及びマイナンバーの導入に伴う課税実務についての検討等を実施。
デンマークの介護事情、人と機械の役割を明確に分担
特徴は、介護される側だけでなく、介護する側も守るという制度。介護士は人がする必要のある仕事だけをし、それ以外は機械を使うという考え方が基幹にある。床掃除はロボットの仕事。介護する相手が床に倒れていても、介護士は自分で抱えて起こさず、介護士が体を痛めてしまうのを防ぐために介助の機械を使う。介護士の専門性は高く、収入も平均的な職業よりも高いと。日本では、「介護する側も守る」という意識改革とそれを推進する法制度が必要ですね。時間とお金ががかかっても、進めて欲しい。
ドキュメントをプログラムのように「開発」する時代が来た
軽量マークアップ言語の一つであるMarkdownと呼ばれる記法のテキストとしてドキュメントを作成し、それをGitBookというツールでHTML化して納品することにしたと。私も過去にHTML化した文書(ウェブでの利用を前提としているため)を納品したことがありますが、パワーポイントよりはずっと効率的でした。
システム開発の契約が民法改正で変わる
請負契約の瑕疵担保責任、プロジェクトが中断した場合の支払い義務、準委任契約の報酬支払条件など。法改正に伴いソフトウェア品質の重要性が高まると。
自治体における「ネットワーク分離」のポイント
LGWAN(総合行政ネットワーク)接続系のネットワークとインターネット接続系のネットワークを分ける方法として、仮想化によるネットワークの分離を解説。
「AV鑑賞部屋」まで!? “無法地帯”奈良市ごみ処理場……「トレーニングルーム撤去は不当だ!」反発する職員
ここまで来るとギャグみたいですね。業務ごと民間へ委託しないと変わらないでしょう。
日銀フィンテック・フォーラム開催、認証・分散台帳で議論
日銀はフィンテックが利便性向上や経済活動の活性化に結びつくよう最大限の貢献をしていくと。
地域社会でのブロックチェーン技術活用に関する実証研究を開始 | 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
東京大学、会津大学、ソラミツ株式会社と共同で、ブロックチェーン技術を活用した地域通貨やアプリケーションの試作、実証実験、効果検証等の研究を行っていくと。
ここまで電子政府が実現している国があったのか!驚きの電子立国「エストニア」
ID制度、X-Road、電子署名、電子申告、インターネット投票、電子処方箋、電子カルテ、インターネット法人登記、e-Residencyなどを紹介。市役所に勤務していた経験から、日本がエストニアと同じような電子政府体制を築くのは非常に難しいのではないでかと。
マスメディアが政治家の生殺与奪権を握った時代からの変化
これまで権力を「批判し、監視する」一方の立場であった既存メディアは、もはや自分たちが批判と監視に晒される立場になったと。既存メディアの劣化は、まだしばらく続きそうですね。
自治体の悩み深し、佳境を迎えるセキュリティ強じん化
エストニアと比較した場合、日本の自治体のセキュリティ問題は、国家としての情報システムとデータのガバナンスが確立されていないことが主要因と思います。まずは、LGWAN神話から脱却しない限り、真のセキュリティ強じん化は難しいでしょう。
Angela Merkel becomes Estonian e-resident
ドイツのメルケル首相もエストニアの電子住民(e-resident)になりました。ドイツとエストニアなら、IoTセキュリティの分野でも協働ができそうですね。
エストニア、100万人の電子健康記録をブロックチェーンで管理
いわゆる「キーレス署名」を使ったデータ完全性の保証サービスですが、GuardtimeのKSI(keyless signature infrastructure )は台帳の無いブロックチェーンであると。
3 Advantages of Beta Testing City Websites
市のウェブサイトにおけるベータテストのメリットとして、LESS STRESS、SOLVE THE RIGHT PROBLEMS、COMMUNITY BUY-INを挙げています。開発側の不安を和らげると共にモチベーションを高め、問題の早期発見と適切な解決方法を導き、住民参加を促進するという感じでしょうか。
Slovak government creates over 300,000 emailboxes for companies
スロバキア政府は、企業向けのeメールボックスを30万以上設置したと。マイナポータルの利用も大切ですが、企業向けの電子私書箱とビジネスポータルの方が費用対効果は高そうです。
Dutch consider mandatory eGovernment standards
オランダ政府が、電子政府に関するオープン基準の義務化を検討していると。新しいデジタルアジェンダ(2016-2017)でも、「A fast and open infrastructure」を計画しています。
マイナンバー障害でJ-LISが損害賠償請求へ、富士通ら5社に最大69億円
NTTコミュニケーションズ、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所の5社からなるコンソーシアムに対して。5社の中でも富士通の責任が重いのではないかと。ベンダーの責任を明らかにする過程で、J-LIS側の責任も明らかになると良いですね。
関連>>EU-FOSSA starts its code review projects
マイナンバーのシステムがオープンソース化されて、公にコードレビューする仕組みがあれば、システム障害に対する考え方も変わってくるでしょう。
ガートナー、「ビジネス・コスト最適化の10のアイデア」を発表
ビジネス・プロセスのデジタル化、継続的改善の組織文化、顧客セルフサービス、データ管理の改善、プロセスの自動化 (ロボット工学)など、デジタル政府でも重要なことが並んでいます。
関連>>ガートナー、「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2016年」を発表