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電子申請リンク 2003年10-12月

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過去に掲載された電子申請に関するサイト紹介です。
 
2003/12/29

IT戦略本部(第22回)議事次第
平成15年12月18日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai22/22gijisidai.html
配布資料として、IT分野におけるアジアとの協力、世界情報社会サミット概要、e-Japan戦略U加速化パッケージ、評価専門調査会名簿、e-Japan重点計画の進捗状況、ベンチマーク集(2003年秋改訂版)など。

e-Japan戦略U加速化パッケージでは、アジア等IT分野の国際戦略、セキュリティ(安全・安心)政策の強化、コンテンツ政策の推進、IT規制改革の推進、評価、電子政府・自治体の推進などがテーマに。民間文書の電子保存や電子的手段による資格保有証明等の推進もあります。
関連>>
第1回評価専門調査会議事次第(平成15年12月22日)

「評価」が推進テーマの一つなったのは良いことですが、こうした専門の評価機関による評価は、形式的なものになるケースが多く、電子政府・電子申請のサービス向上には繋がらないでしょう。

電子政府・電子申請で求められる評価(監視を含む)は、次のような点がポイントとなります。

  1. 誰でも理解できるわかりやすい評価指標を作って公開する。

    みんなが使う電子申請については、国民の誰もが監視者・評価者であるべきなのです。また、結果を評価できるだけでなく、経過を国民が監視できるようにしておかなければいけません。わかりやすい情報公開と説明責任を心がけましょう。

  2. 評価を、民間や公共の様々な機関・団体が行う。

    専門委員会だけの評価では不十分です。公開された指標を基に、行政機関、市民団体、経済団体、資格団体、コンサルティング企業、開発ベンダーなどによって評価される必要があります。様々な立場からの評価は、利用者・利益者の視点を理解するのにも役立ちます。

  3. 評価が改善に繋がる仕組みを作っておく。

    これがないと、せっかくの評価結果が生かされません。評価が改善に繋がる仕組みを作っておきましょう。どんな仕組みかと言えば、

    評価が低い(使ってもらえない)と、役人とベンダーが困る(損をする)電子政府・電子申請の構築・運用モデルです。

評価専門調査会のような機関を設けるのであれば、その役割は、指標作りと評価結果の取りまとめ・分析であるべきでしょう。

適切で効果的な監視・評価は、電子政府・電子申請の成功に非常に大きな影響を及ぼします。日本の電子政府・電子申請は失敗であることを素直に認めて、失敗から成功のエッセンスを学び取りましょう。


2003/12/22

電子政府電子自治体推進本部について
平成15年12月 総務省
http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/densi_suisin.html
電子政府・電子自治体の構築にあたり、省内関係部局が一体となって、(1)電子政府・電子自治体の総合的な推進方策 (2) 広報政策 (3) その他、重要課題について検討・実施していくと。総務省電子政府・電子自治体推進本部の概要、有識者懇談会委員名簿、開催状況(議事概要、会議資料)など。

推進にあたって、麻生大臣のあいさつでは

  1. 利用する側(具体的には、市町村の利用者)の立場に立ったIT化
  2. 中高年にもわかるような、電子政府・電子自治体の便利さをPR
  3. 新しい技術を活用するという職員の意識改革。
    (法律があるからできないというのではなく、できるようにするためには何をすべきかを考える)

の3点を念頭に、行政のIT化の波及効果を考えながら進めることが必要とあります。残念ながら、現在の電子申請は、行政側の理論と都合が先行しているため、非常に使いづらいものとなっています。そこで提案したいのは、

  • リセット&最適モデルから電子申請サービスを作っていく

という発想です。これは、現在のシステムや法律を無視したゼロの状態から、市民サービスとしての電子化・オンライン化を前提とした最適なモデルを考えて、それを実現するために必要なことを進めていくというものです。

もともと行政手続は、サービスとして考えられたものではないため、それを電子化・オンライン化してもサービスレベルはあがらないのですね。

たとえば、会社設立手続きにしても、現行の仕組みをオンライン化したところで、お金がかかるばかりで、ちっとも便利になりません。

オンラインショッピングを楽しむような感覚で、誰でも簡単に手続きを完了することができる。税金や手数料等の支払いも、クレジットカード決済を含めて、都合の良いものを選択できる。派生する届出等の手続きも、すべて同時に済ませることができるる。そういう仕組みを、最適モデルとして考え、そこからスタートして、法律や制度を変えていくのです。

電子政府では、いわゆるレガシーシステムの改革というものがあります。これは、情報システムの統合・整理だけを意味するのではなくて、行政手続を初めとした様々な社会制度を改革していくものであると認識しましょう。

日本政府が、本当に電子政府先進国となりたいのであれば、思い切った改革と豊かな発想から生まれるアイデアや工夫が必要なのです。


2003/12/20

「自動車保有関係手続のワンストップサービスシステムの導入に伴う法整備に関する担当者骨子案」に関する意見募集の結果
平成15年12月15日 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/pubcom/03/kekka/pubcomk090808_.html
自動車保有関係手続ワンストップサービスシステムに対する意見募集結果(意見概要と回答)。意見を踏まえて、関係法律の改正案を国会に提出する予定。

自動車保有関係の手続や制度が、合理化・簡素化されないままのワンストップサービスなのですから、本人申請を原則とするよりは、代行者(ディーラー、行政書士等)が使いやすい仕組みを作った方が、その効果は高いでしょう。

例えば、米国メイン州Raymond市のBureau of Motor Vehicles: Rapid Renewal Service(車両登録のオンライン更新サービス)ぐらいのレベルになれば、代理・代行申請などはいらなくなります。

現在の日本の電子行政サービスは、根本的な考え方とか取り組み方のところで間違っていると言えるでしょう。

ところで、自動車保有関係手続ワンストップサービスでは、公的個人認証サービスの普及に貢献すると言われています。確かに、パスポートのオンライン申請よりは、普及に貢献してくれそうです。

なぜなら、自動車を買うというイベントは、一般市民が実印を作る機会でもあるからです。ワンストップサービスが始まれば、ディーラーさんから、「実印か公的個人認証サービスの電子証明書が必要ですよ」と言われます(たぶん)。

さらに、「電子証明書でしたら、実印より手続も早いし、事務手数料も5000円安いですよ」なんて言われれば、実印がない人は、「どっちにしても役所に行くんだから、1000円ぐらいで作れる電子証明書にしようかな」と思うはず(たぶん)。

ということで、公的個人認証サービスの普及を進めたい総務省は、自動車業界と仲良くしておきましょう。

ん??ちょっと電子申請の趣旨と違うような。。。


住基ネット実験結果 速報
2003年12月17日 長野県
http://www.pref.nagano.jp/keiei/seisakut/happyou/kaiken/s-kaiken.htm
長野県が、県内3町村の協力を得て実施した、住基ネットの安全性についての調査結果を公開。調査結果速報、第3者評価結果、ネットワーク図、知事会見など。

関連>>
地方公共団体の情報セキュリティポリシー策定状況住民基本台帳ネットワークシステム(長野県侵入実験結果報告についての考え方について)|長野県が実施した「市町村ネットワークの安全性調査」を受けての対応(PDF)

もはや子供のケンカみたいですが、今回の実験結果から学びたいことは、

  • 市町村におけるセキュリティレベルは低い
  • 市民の様々な個人情報は適切に守られていない

ということです。そろそろ、住基ネットに繋ぐ繋がないの議論はやめにして、各自治体が責任を持って、市民の個人情報を適切に管理できるだけのセキュリティレベルを確立するためには、国や自治体が何をすれば良いのかを考えてほしいものです。

市町村のセキュリティレベルが低いという現実は、理由・原因(財政、人材、教育など)があっての結果です。ですから、その理由・原因をみつけ、改善するためにできることを国と自治体が考えていけば良いのです。

それがない限り、市民から信頼される電子政府・電子自治体の実現はありません。


2003/12/18

「第3回全国電子自治体会議」
平成15年12月12日 日経BPガバメントテクノロジー・電子自治体ポータル
http://premium.nikkeibp.co.jp/e-gov/special/2003/sp031212main.shtml
日経BP社の特集記事より。国内外の自治体関係者が出席する「第3回 全国電子自治体会議」の模様を伝えるレポート。米国の事例や動向、自治体IT担当者によるパネルディスカッションなど。

レポートの中では、特に、元ジョージア州CIOのラリー・シンガー氏によるお話しが興味深いです。

ジョージア州のEA(エンタープライズ・アーキテクチャ:事業や政策と情報システムを一体に考えて全体最適を図る概念)の内容解説や、日本の電子政府が抱える問題点の指摘などは、日本の電子政府・電子自治体関係者にとっても、大いに参考になるでしょう。

最適化と言えば、電子申請の最適化として添付書類に触れておきましょう。

そもそも、日本の行政手続自体が複雑で、電子化に馴染まない状態にあります。それをそのまま電子化しているのが現在の電子申請ですから、使い難くなるのも無理はありません。システム構築にも、お金と時間が余分にかかります。

電子化にあたって手続の簡素化・合理化を進めるのではなく、簡素化・合理化できたものでなければ電子化してはいけないとするのが本来なのです。

例えば、添付書類。

電子申請では、紙申請と同じような添付書類の提出が要求されます。明らかに電子化に馴染まないものでも、無理に電子化して提出させようとします。

電子申請で添付書類が省略されたと言っても、住民票の写しなど簡単に入手できるものや、登記簿謄本など別途手続が必要なものなどで、実際には何の省略もされていないに等しいのです。

電子申請における添付書類のルールとして、次の二つは必要でしょう。

  1. 行政機関等(外郭団体を含む)が発行する証明書を要求してはいけない。

     欲しければ行政が自分で確認しに行くのがスジである。

  2. 契約等の民事に関する書類は、その内容を確認できるもので良いとする。

     契約書や権利関係を無理に電子化させない。

例えば、宅地建物取引業法第三条による宅地建物取引業免許申請では、法人が申請する場合の提出書類は下記のとおりです。

  1. 免許申請書
  2. 経歴書
  3. 誓約書
  4. 専任の取引主任者設置証明書
  5. 成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書
  6. 市町村の長による証明書
  7. 相談役及び顧問、株主又は出資者に関する書面
  8. 事務所を使用する権原に関する書面
  9. 事務所付近の地図及び事務所の写真
  10. 略歴書
  11. 直前一年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書
  12. 宅地建物取引業に従事する者の名簿
  13. 納税に関する書面
  14. 登記簿謄本

最適化した電子申請では、

  1. 免許申請書
  2. 申請書別紙(必要な情報のみを重複させずに入力してもらう)
     ・経歴書
     ・誓約書
     ・相談役及び顧問、株主又は出資者に関する書面
     ・略歴書
     ・宅地建物取引業に従事する者の名簿
     ・その他
  3. 直前一年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書
  4. 事務所の写真

となります。実際には、1と2は同一画面で作成されるため

  1. 申請情報

     様式にしばられず、必要な情報のみをヘルプを参照しながら入力する。

  2. 財産に関する情報

     会計ソフト等のデータをそのまま、または変換して添付する。

  3. 事務所の写真

     デジカメで取った画像を添付する。

こうした簡素化・合理化ができたら、初めて電子申請サービスとして追加して良い状態になるのです。

無理なスケジュールに合わせて、いびつな形で醜く電子化された電子申請ほど悲惨なものはありません。


2003/12/15

IT戦略本部(第21回)議事次第
平成15年11月27日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai21/21gijisidai.html
今後のIT政策の進め方について検討。資料として、今後のIT政策の進め方、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する平成16年度概算要求、「情報家電・ブロードバンド・IT」産業発掘戦略フォローアップ、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法など。

平成16年度概算要求の内容を見て改めて思うのが、今の電子申請は透明性・公開性に欠けているということ。

そもそも、電子政府・電子申請は、行政の透明性・公開性を促進するものと期待されているのですが、肝心の電子申請の構築・運用について透明性・公開性がないのは問題です。

せめて、各省庁が作った電子申請システムが、構築費用がいくらかかったのか、維持・運用費用がいくらかかるのか、月間・年間でどれぐらいの利用があったのかぐらいは、分かりやすく整理して公開するべきです。GPKIや商業登記電子認証も同様です。それらを踏まえて、改善なり廃止なりを進めないと、使えない使われないシステムが放置されたまま何年も生き長らえることに。。

いずれにせよ、電子申請の現状が異常であることは明白ですから、遅かれ早かれ大幅な見直し作り直しをすることになるでしょう。

電子自治体においては、中央政府を反面教師として、電子申請の本質を追求して欲しいですね。

ITビジネス最前線【サーバES7000によるソリューションサイト】
平成15年12月 日本ユニシスe-Japanポータル
http://solution.unisys.co.jp/articles/0312/
世田谷区のサービスである「街づくり情報システム」構築の事例紹介。

ITをうまく活用することで、「縦割り」や「たらい回し」をなくすことは可能でしょう。

そもそも組織間の協働・連携を前提としない縦割り社会の行政組織においては、電子政府や電子自治体といったところで、黙って見ていたら、バラバラになるのが当然です。

まずは、協働・連携できる環境作りから始める必要があり、電子政府や電子申請の構築計画に、財政・人材などの優遇措置を含めた具体的な環境作りの施策を明記しなければいけないのです。そして、そのためには、強いリーダーシップと一貫性のある戦略が必要になります。

今後の電子申請を始めとした電子行政サービスのシステムには、

・各組織にいるサービス担当の職員らが、簡単に協働・連携できる
・その効果を市民の評価・満足として実感できる

といった仕組みを備えること。それが、電子申請ビジネスにおける優位性を高めることになるはずです。


2003/12/11

都区市町村電子自治体共同運営
東京都総務局IT推進室情報企画担当
http://www.taims.metro.tokyo.jp/soumu/kyodo_goiken.nsf/
共同運営方式による電子自治体サービス(電子申請・電子調達)の構築と運用を進めるもの。平成15年10月現在、51団体(都及び都内区市町村団体50団体)が参加。検討中の「都区市町村電子自治体共同運営サービス仕様」も公開中。
関連>>
共同アウトソーシング実証事業にかかわるシステム開発業務委託について

昨今よく見られる、共同運営方式による電子自治体サービスの東京都版です。電子申請や電子調達のシステム構築を、参加自治体が協働(お金、人、知恵を出し合う)で行い、出来上がったシステムを利用して、各自治体が電子自治体サービスを行うという仕組みです。どうせ作るなら、他県の自治体にも開放して、利用料収入を得るのが良いと思います。

さて、この方式は、予算や人材の不足を補い、無駄や重複を避けることができるので、うまく行えば非常に有効と言えるでしょう。しかし、それと同時に、大変に大きなリスクがあることを認識しなければいけません。

それは、使えないシステムが構築されて、参加自治体が提供する電子自治体サービスが、非常に低いレベルで画一化されてしまうというリスクです。また、そうした結果(失敗)に対しても、協議会で行っているため、責任の所在が曖昧になってしまうことです。

共同運営方式に関わる際のポイント

  • 参加自治体は、自己責任で参加する
  • 参加=学習機会と捉える
  • 大将(責任者。都道府県が良い)を決める。
  • 構築費用はベンダーに負担させ、期間を決めた利用回数・手数料、調達コスト節約分等で回収させる
  • 出来上がったサービスシステムの運営・経営を、民間企業に任せる

電子自治体サービスが実際に利用されることを考えない仕組みである限り、「使えないものができあがる率」は200%といって良いでしょう。

ありがちな誤解と幻想

  • 参加していれば電子自治体ができるようになる
  • みんなで知恵を出し合って作れば良いものが出来上がる
  • 出来上がったシステムを使えば、行政サービスが向上する
  • 電子自治体はお金がかかるものだから、構築・運営の費用は仕方ない

大将が責任を持って、プロジェクトマネジメントを行うこと。

せめて、これだけは守りましょう。


2003/12/8

“顧客の声”の活用による事業モデル革新(PDF)
平成15年11月 NRI野村総合研究所
http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2003/pdf/cs20031004.pdf
企業による“顧客の声”の活用についての動向や成功事例の紹介など。

“顧客の声”を活用することの重要性は、電子政府・電子申請にも当てはまります。この場合、顧客は主として市民を意味します。

電子政府・電子申請が成功するためには、行政と市民とのより良い関係作りを進めなければいけません。それは、行政と市民が、お互いの立場や考えを理解することから始まります。お互いの理解から生まれる信頼関係を基盤として、電子行政サービスを改善・発展させていくのです。

もし、電子申請プロジェクトを通じて、行政が今まで以上に市民の意見や主張に耳を傾け、わかりやすい言葉で自分たちの考えを伝えることができれば、その電子申請が成功する可能性は飛躍的に大きくなります。

  1. ホームページから市民が簡単に意見を言えるようにしましょう。
    電子メールで質問・意見を受付けていますか?
  2. もらった意見は、適切な人に届けましょう。
    内容に関係する担当者やトップに直接届けられますか?
  3. もらった意見を活用しましょう。
    意見を整理・分析し、政策形成やサービス向上に生かす仕組みやツールを持っていますか?

2003/12/3

住基カードを活用したICカード標準システムの概要について(PDF)
平成15年11月 (財)地方自治情報センター
http://www.lasdec.nippon-net.ne.jp/its/08/siryou/3501.pdf
平成15年8月25日から利用が始まった住民基本台帳カードを、市町村が独自に利用する場合に、そのサービス提供を支援する標準システムの詳細。サービスを提供する際に必要となるシステムの構成、個別のサービス(証明書等自動交付、申請書自動作成、成人保健、救急活動支援、避難者情報、公共施設予約)システム、標準的な導入スケジュール、導入費用など。

住基カードの活用により、生活が便利になり、役所の手続もスムーズにできるのであれば、それは進めるべきでしょう。しかし、ここで説明されているのは、システムの整備に関するもので、実際のサービス提供については、ほとんど説明もありません。紹介されているサービスについても、ホームページ上で、もっと簡単にお金をかけずに提供できるものばかりに思えます。

当たり前のことですが、こうしたシステムを導入しただけでは、お金がかかるばかりで市民にとっても役所にとってもメリットはありません。実際のサービスにどのように生かすことができるかまで、きちんと考えないと意味がないのです。システム導入は、ほんの一部分のプロセスに過ぎません。

大切なのは、住基カードを利用することではなく、サービスの向上を通じて、どのように市民との関係を改善していくかなのです。各自治体においても、無理に住基カードが使う必要はなく、サービス向上や住民との信頼関係を構築する上で、住基カードが有効であると判断してから、実際に活用方法を考えていけば良いのですね。

では、その判断を誰がするかと言えば、自治体の首長であり、議会であり、CIOクラスの職員であると言えるでしょう。彼らの責任は重大であり、その判断は電子自治体・電子申請の成功に大きな影響を与えることになります。


2003/12/1

電子行政推進国・地方公共団体協議会
2003年10月24日 総務省 行政管理局行政情報システム企画課、自治行政局自治政策課
http://www.e-gov.go.jp/doc/scheme.html#meeting
「電子政府構築計画」に基づく、国と地方公共団体間における実務者による協議の場として。霞が関WANワンと総合行政ネットワークの利用、行政ポータルの連携、セキュリティ確保、IT活用の業務改革などについて、意見交換や情報共有を行うと。第1回会合が2003年10月24日に行われ、電子政府・電子自治体構築に関する説明と意見交換を実施。自治体担当者からの意見は、現在の電子自治体が抱える問題点や課題を浮き彫りする内容で、非常に興味深いです。
関連>>
国家公務員における給与支給の全額振込の推進(PDF)

給与の振込みと言えば、作者が所属する神奈川県行政書士会(神奈川会)と日本行政書士会連合会(日行連)の状況も面白い。

神奈川会では、日当などを郵便局の口座に振り込んでくれるので、期日も遅れることなく間違いも少ない。他方、上部組織であり人もお金もある日行連では、未だに受領印を求めての現金支払いである。そのため、会議の設定も時間がかかり、支払の遅れなども発生する。

ここから生まれる考え方は、人やお金が足りないという環境の方が、電子化・合理化が進みやすいというものである。人やお金を効率よく使わなければ、発生する仕事を処理できないとなれば、否応なしに電子化・合理化が進む。当然ながら、電子化のための電子化は行われず、合理化・効率化を求めての電子化が行われるのである。

水や肥料を最小限に与えることで、美味しい野菜を作る農法があるそうだが、電子政府・電子申請も同じ事が言えるであろう。お金や時間をたっぷりかけた中央政府の電子申請システムや認証基盤の利用状況は、それを物語っている。

中央政府が推進・推奨する電子自治体(そもそも採算性を考えていない)を作るのであれば、確かに人やお金が足りないであろう。

しかし、自治体が市民や企業の協力を得ながら、自分たちに合った合理的な仕組みを考え工夫するのであれば、中央政府が推進・推奨する絵に描いた餅の電子自治体より、よっぽど利便性の高い実用的な電子行政サービスを、必要以上の労力やお金をかけることなく提供できるはずである。

電子申請・電子自治体の実現において、自治体の自主性・主体性が、今まで以上に求められることになりますね。

「電子自治体の構築状況とワンストップサービスに関する実態調査結果」について
平成15年11月20日 電子商取引推進協議会、三菱総合研究所
http://www.mri.co.jp/PRESS/2003/pr031120_egc01.html
http://www.ecom.or.jp/press/20031120/20031120.html
ECOMと三菱総研による、全国の地方公共団体(都道府県、政令指定都市、市区町村)を対象とした電子自治体の実態調査結果。共同アウトソーシング、電子自治体の構築状況、ワンストップサービスと官民連携ポータルへの意向など。電子申請・電子入札は、都道府県の30%〜50%で構築中、人口10万人以上の自治体で60%が検討中ですが、人口10万人未満では60%〜75%が未計画と。共同アウトソーシングや共同電子申請システムの開発への参加については、学習の機会と考え、形だけの参加とならないように注意が必要です。また、官民連携ポータルは、バラバラなサービスを無理にまとめるものではなくて、新しい仕組みやサービスを創るものと理解しておかないと、「使えない継ぎ接ぎ電子申請サービス」となるので、こちらも要注意です。


会社設立ポータルサイト「創業ナビ」の実証実験開始のお知らせ
平成15年11月17日 ニューメディア開発協会、経済産業省
http://www.nmda.or.jp/gpp/20031117press.html
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004700/0/031117startup.htm
経済産業省の「官民連携起業手続一元化事業」として研究開発された会社設立ポータルサイト「
創業ナビ」の実証実験(大阪府域での情報に限定)がスタート。会社設立時に必要な行政機関や民間企業への手続様式を提供し、申請書へのデータ入力を支援する内容。手続案内、電子申請・申込、様式ダウンロード、書類作成支援、予備知識提供、創業支援施策情報の一元的提供、掲示板などの機能があります。

eー情報公開室
平成15年11月 岡山市
http://ekoukai.city.okayama.okayama.jp/e-info/main.asp
ウェブ上で、公文書の開示請求や公文書目録の検索、常時公開文書や開示文書の閲覧ができるサービス。情報公開制度や個人情報保護制度についての説明もあります。行政が膨大な情報を抱える中で、情報公開に対応するためには、こうしたサービスやシステム作りは必須となりますね。

国土交通省ホームページに関するプライバシーポリシー
平成15年11月 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/privacypolicy.html
遅すぎる感もありますが、国土交通省ホームページの個人情報取扱い方針を公開。比較的わかりやすい文章で、基本的考え方、収集する情報の範囲、利用目的、利用及び提供の制限、安全確保の措置、適用範囲などを規定。気になるのが、ホームページ経由で入手した個人情報が、個人情報保護法(開示請求)の対象外となる点。行政機関が掲げたプライバシーポリシーは、守られるかどうかの保障も制度もないわけで、個人情報漏洩があっても、利用者は実質的に何の保護も受けられず、泣き寝入りするしかないことになります。行政機関系サイトのプライバシーポリシーに関する統一的なルールが欲しいですね。
関連>>
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律行政機関の保有する情報の公開に関する法律

地方公共団体における情報セキュリティポリシー(情報セキュリティ対策に関する基本方針)等の策定状況
平成15年11月7日 総務省
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031107_3.html
平成15年10月1日現在の地方公共団体における情報セキュリティポリシー策定状況と個人情報保護条例の制定状況を公開。都道府県(ポリシー:93.6%、条例:100%)、市区町村(ポリシー:49.6%、条例:76.7%)ということで、やはり市町村における対応の遅れが目立ちます。
関連>>
自治体における個人情報管理のあり方とセキュリティ技術(三菱総研「自治体チャンネル」による自治体職員向けセミナーより)

米国の電子政府政策とその現状
平成15年11月 小池良次・アメリカ情報通信
http://www.ryojikoike.com/data/inet/2002_12/article1.html
小池氏による米国電子政府の解説レポート。電子政府を阻む4つの要因からは、日本も多くのことを学べるはず。官僚主義という電子化を阻む障壁や、地方自治体が電子化の重荷に苦しんでいる状況は、さして日本と変わらない中で、なぜ米国が電子政府先進国として位置付けられているのか。日本の電子政府・電子自治体が箱モノに終わらないよう、明確な方向付けが望まれます。

自治体システムへのオープンソース適用性に関する調査報告書
2003年10月31日 OSDLジャパン
http://www.osdl.jp/newsroom/press_releases/2003/2003_10_30_tokyo.html
電子自治体における、Linux等のオープンソース・ソフトウェア (OSS) の利用について、12自治体、ITベンダー7社を対象としたアンケート調査とヒアリング結果をまとめたもの。電子自治体におけるOSSの利用状況、OSS導入の課題、課題事項の分析・分類化、OSS導入機会の拡大への方向性、電子自治体の概要など。
関連>>
セキュアOSに関する調査研究会

ポスト電子自治体の戦略行政
平成15年10月 富士総合研究所
http://www.fuji-ric.co.jp/kikou/post0307.html
市民自治・市民参加に焦点を当てて、説明責任(アカウンタビリティ)による行政の透明性向上、市民や民間事業者との協働による「外部からの経営革新」アプローチ、電子会議室の導入事例、「市民満足度」などについて解説。電子自治体により行政と市民の関係が見直されると、両者を仲介する立場にある士業のあり方も変わってきますね。

第8回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会
平成15年10月17日 総務省
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/031017_1.html
議事次第と配付資料の公開。住基ネットのセキュリティ、市町村長調査権の法制化、本人確認情報提供状況の開示など。ペネトレーションテスト結果は侵入不可ですが、庁内LANの運用等について不安はありますね。住民に対する本人確認情報提供状況の開示(アクセスログの開示)は、11月以降準備が整った都道府県から順次開始されると。市町村長の住基ネットを利用する行政機関に対する調査権は、9月29日の改正により法制的な位置付けを確保済み。

地域公共ネットワーク標準仕様の改訂
平成15年10月31日 総務省
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031031_6.html
地方公共団体が地域公共ネットワークを整備する際において参考となる情報・基準等をまとめたもの(標準仕様と運用方法で構成)で、意見募集結果を踏まえた改訂版を公表。主な改訂点は、無線ネットワーク構築における18GHz帯の推奨、IPv6に対応した機器導入の推奨、無線による構内LAN構築の手法など。巻末の参考資料はおすすめ。

地方公共団体の情報セキュリティ研修のあり方に関する調査研究報告書
平成15年10月 総務省
http://www.soumu.go.jp/kokusai/031020.html
地方公共団体における情報セキュリティ研修のあり方を、コース(レベル)別に説明。電子自治体における情報セキュリティ対策の必要性とその取組状況、管理職コース、システム管理者用研修、IT関連部署担当者用研修、一般職員用研修など。市町村の情報セキュリティはレベルが高いとは言えず、自治体間の格差も大きいようですから、研修等によりきちんと対応して欲しいですね。

住基ネットワークと住基カードについて
平成15年10月 総務省
http://www.soumu.go.jp/media/2003/031020_1.html
総務省主催の『行政情報化シンポジウム』における講演の模様を、映像と資料で紹介。大山教授の説明はわかりやすいので、住基ネットワーク、住基カードを理解するのにおすすめです。映像の公開については、プレイヤーの種類を説明したりするなどの配慮が欲しいですね。

地方自治情報管理概要(地方公共団体における行政情報化の推進状況調査結果)
平成15年10月24日 総務省
http://www.soumu.go.jp/s-news/2003/031024_1.html
平成15年4月1日現在の地方公共団体における行政情報化推進状況のまとめ。市町村においては、CIO(情報統括責任者)の任命:17.3%、電子自治体推進計画の策定:22.7%、電子申請の導入:0.2%、電子入札の導入:0.2%、電子メールによる意見・要望の受付:23.1%、セキュリティポリシーの策定:29.5%となっており、電子政府後進国である日本の現状がうかがえます。


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