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2004/1/28 第9回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会議事次第 住基ネットは、電子政府・電子自治体全体を考えた場合、ほんの一部分のシステムでしかありません。しかしながら、住基ネットが巻き起こした一連の問題は、電子政府が抱える課題を示しているのです。 地方分権と言われている中で、中央政府の主導で大規模なシステムを構築・運用するのが、本当に行政サービスの向上に結びつくのか。市民が不安・不信感を与えない選択肢の検討は十分に行われたのか等々。 市民の不安や不信は、住基ネットのセキュリティをいくら改善してもなくならないでしょう。市民が参加する、より透明性の高い政策提案・検討・決定の過程を経て、わかりやすい十分な説明を行い、本当に役に立つ電子政府を実現する中で、はじめて市民の不安や不信が解消されていくことを理解しましょう。 2004/1/27 行政書士用電子証明書(タイプ1−G)のご案内 このサービスには作者も日本行政書士会連合会の委員として関与しているので、差し支えない範囲で、コメントしておきましょう。 行政書士に限らず、各士業は認証局を立ち上げ(法律サービス(士業)の比較)、資格者向けの電子証明書を発行しています。行政書士向け電子証明書の特色は、その登録・発行の全てを民間の認証サービスに任せているということでしょう。 こうした外部委託の有無については、予算的な配慮もありますが、資格者向け電子証明書をどのように捉えるかによって変わってきます。すなわち、電子証明書を 1 紙の資格(身分)証明書に代わる、電子的な資格(身分)証明書 と考えると、士業団体や所管官庁が認証局を立ち上げ電子証明書を発行するという方法が取られるでしょう。次に、電子証明書を 2 業務(代理手続)を処理するための道具・手段 と考えると、民間の認証サービスに任せた方が、運営・管理上は効率的・合理的となります。 現在の電子申請は統一感もなく、役所ごとのバラバラなシステムとなっています。使用される機器・装置等の標準化もまだまだで、電子証明書や電子署名に対する一般への認知・普及も進んでいません。 こうした現状を考慮しながら、費用対効果を考えながら、電子証明書に関する基本的な考え方や戦略を決めていく必要があるのです。 資格者向け電子証明書の今後 今までの士業による認証局は、IT投資の観点から見ると、目に見える効果をそれほど期待されない「戦略的な投資」であったと言えます。行政手続が電子化されても、私達は対応していきますよ、社会の役に立ちますよという主張が込められていたのです。 これからの士業による認証局は、上記のような「戦略的な投資」から、電子申請・電子商取引等へ対応するための「インフラ作りのための投資」へと展開し、実際の業務で利用されることで、目に見える効果・効用を期待される「業務改善のための投資」でなければいけません。 今回の行政書士向け電子証明書は、すぐさま全ての電子申請・行政手続に利用できるわけではありません。「業務改善のための投資」へと発展させるためには、今後の対応こそが重要になると言えましょう。具体的なポイントとしては、
などがあります。そのためには、
という基本的なところを明確にしておかなければいけないのです。こうした考えは、電子認証サービスや電子申請サービス全般に通じるものであると言えましょう。 2004/1/24 評価専門調査会(第1回)議事要旨
茂木IT担当大臣が、IT改革には、「ITでも全体の社会の構造改革がどう進んだかという側面がある」と発言されています。この視点は、電子政府・電子申請においても重要な視点となります。 電子申請の8原則でも触れていますが、利用されない電子申請は、社会性・公共性を持ち得ません。しかし、電子申請が利便性・実用性を持ち、多くの市民や企業に利用されるようになれば、社会・経済活動の発展に大きく貢献すると共に、社会全体の仕組みを変えるパワーも持ちえるのですね。 評価専門調査会(第2回)議事次第 目的、評価方針、評価方法、評価基準、重点評価項目などが少しずつ明らかにされています。電子行政サービスの評価は、今後の電子政府・電子自治体の発展に大きな影響を及ぼすはずですから、慎重に行って欲しいですね。 2004/1/21 次世代決済インフラ「ペイジー」が本格拡大! このサービスの良いところは、
1は非常に重要なポイントとなります。 サービスを使いたいと思ったときに、電子申請のように、「専用ソフトウェアをダウンロードしてください」「電子証明書を取得してください」では、「そんな面倒なら使わないよ」となるわけです。 これが、日常的に利用しているサービスの延長として使えるとなると、利用者からすれば、「便利な新しい機能が追加された」という感覚で、手軽に使ってみることができるのです。 現在の電子政府・電子申請サービスでは、この大切な感覚が欠如しており、「行政サービス」はオンラインショッピングやオンラインバンキングと同じにしてもらっては困るという感じで、自分たちだけ特別だと勘違いしてしまっているのですね。ここに、電子政府・電子申請の失敗原因があると言っても過言ではありません。 2については、無料とするのが賢明でしょう。 なぜなら、税金や社会保険料などは、サービスや商品への対価として支払うものではなく、義務としてイヤイヤ払うものだからです。せめて、払込手数料ぐらいは無料にして、気持ち良く払ってもらいましょう。 3も電子行政サービスの質を高めるためには重要なポイントです。 現在、役所からの通知は紙(郵便)で行われ、電子メールやウェブ閲覧で行われることはほとんどありません。ですから、この紙を有効活用すれば、電子行政サービスの改善にも役立つのです。何でも電子化すれば良いわけではないのですね。 海外の電子行政サービスでは、免許や登録の更新時に紙の通知を行い、その紙に記載された事項をウェブ上で入力して手続を済ませるという方法もあります。もちろん、その紙を窓口に持参して手続をすることもできます。 作者が利用するオンラインショッピングでは、紙のカタログで商品を選び、ウェブ上で商品番号等を入力して注文をします。商品と一緒に送られてきた紙の請求書を使って、オンラインバンキングで支払を済ませます。 このように紙を活用することで、サービスの拡大や向上が可能なのですね。うまく紙を活用すれば、面倒な電子署名や専用ソフトウェアなしに電子申請サービスを提供することも可能なのです。 「電子申請サービスを利用したければ、電子証明書を取得してください」。そろそろ、こんな一方的な提案(強制)は止めにしましょう。そんな行為は、時代錯誤であり、電子申請の本質に反するものなのです。 もちろん、電子証明書や電子署名がいけないと言っているのではありません。それ以外の方法を工夫・創造して、利用者に選択肢を提供しなさいと言っているのです。 2004/1/19 情報通信分野における情報セキュリティ対策について(PDF)
電子政府を利用するにあたっての心配事として、セキュリティとプライバシーの問題が挙げられます。電子商取引においても同様ですね。 ところが、このセキュリティというのがかなりのクセモノでして、オンラインショッピングでは多くの苦労をしてきた分野です。 電子政府・電子申請におけるセキュリティについて、作者が一番に主張したい点は、 セキュリティの強化で、利用者に負担をかけるな です。セキュリティを理由に利用者に必要以上の負担をかければ、その電子申請は失敗します。セキュリティを強化したければ、役所側でできることを最大限に行い、それで足りない部分を、誠に申し訳ございませんが・・・と利用者にしてもらいましょう。 現在の日本の電子政府・電子申請では、高価で最新の技術や手法を用いながら、利用者に過度の負担(期待)をかけ過ぎており、結果として「高いのに使えない」という最悪の状況にあると言えます。 ネットユーザーは、面倒な手続を嫌い、ウィルス対策ソフトなんか使わない人がたくさんいるのですから、期待する方が無理なんですよね。 公的個人認証サービス、電子申告、パスポート申請・・・。どれも成功の要素が少な過ぎるなあ。まあ、本当に賢いネットユーザーは、本当に役に立つ電子行政サービスだけを利用することでしょう。 2004/1/16 世界最高水準の電子政府を目指して 記事の中で指摘される通り、現在の電子政府には様々な課題があり、こうした課題に真剣に取り組むことがなければ、日本の電子政府が評価されることはないでしょう。 現在の日本の電子政府に欠けているものとして、作者が指摘したいのは、相手(国民・企業)のことを知るための努力と、自分(政府・役所)のことを理解してもらうための努力が、あまりにも足りないのではないかということです。 「利用者の視点で」「市民のニーズに応えて」とか言うけれど、果たしてホントに「利用者の視点」や「市民のニーズ」を知っているのか、知るための努力をしているのかと言えば、どうもそう言うわけではなくて、多くの場合は役所側の「思い込み」や「思い上がり」の中で、勝手に「利用者の視点」や「市民のニーズ」を決めてしまっているように思えて仕方ありません。 民間企業は、「消費者の視点」や「消費者のニーズ」を知ろうと、日々努力しています。都合の良い時に意見募集するぐらいでは、理解できるわけもありません。 政府は、自身のウェブサイトを通じて、どれだけ国民に近づくことができるか、どれだけ誠意ある対応をすることができるか、どれだけ敷居を低くすることができるか。 これらの努力なしには、利用者本位の電子政府の実現はあり得ません。 2004/1/14 第21回IT戦略本部 議事録 村井教授のご指摘にあるように、世界で一番が高かったインターネットが世界で一番安いインターネットになって、日常生活の中に当たり前のようにインターネットがあるという状況は、高く評価されるべきだと思いますし、作者個人も大変感謝しています(特に民間企業のがんばりに)。 これだけ恵まれたネット環境にあるわけだから、民間のオンラインサービスは急成長を続け、市場規模も拡大していくことでしょう(平成14年度電子商取引に関する市場規模・実態調査)。これは、電子政府・電子自治体にとってもサービスを拡大・改善するチャンスとなります。 このチャンスを最大限に生かして、質の高い行政サービスを提供し、市民との良好な関係を作っていって欲しいと思います。 2004/1/12 各府省情報化統括責任者(CIO)補佐官等連絡会議について(PDF) 人事・給与等業務・システム最適化計画の基本的方向について 政府全体の業務・システム体系整理結果について 各府省情報化統括責任者(CIO)補佐官の責任は大きいですが、使える電子申請サービス実現のためにも、がんばって欲しいですね。 行政職員にとっては、実質的な決定権を持つ地位に優秀な民間の人材が着くことで、様々な反応が見られることでしょう。民間パワーを最大限に生かすためには、行政職員が、
ことが大切です。適切な評価・指標に基づいた「使える電子申請サービス」の実現は、多くの国民や企業が歓迎するものですし、何より使って喜んでもらえるのは嬉しいことですよね。 2004/1/10 欧州電子政府ベンチマーキング 定期的に国内外の事例等を紹介するNTTデータさんですが、内容の充実度は、日本国内の電子政府関連サイトでも際立っています。今回は、電子政府先進国が数多く存在する欧州の電子政府事情を紹介しています。 上位ランキングサービスには、オンライン申請が数多くを占めていますが、日本のオンライン電子申請と異なるのは、電子申請が孤立していないことです。 つまり、社会保障や企業登録など、国民が関心を寄せる分野に関しての情報(行政の提供する情報は信頼性が高いと見られる)を提供する中で、オンライン申請もできるということです。 一般市民は、正式な法令や手続名を知っているわけではありません。多くの場合、自分にとって何が有益で必要なサービスなのかを知る・学ぶことから始まるのです。それがあって、初めてオンライン申請という選択肢が生きてくるのですね。 日本の政府系サイトでは、「電子申請・届出の窓口」等があるものの、個々の行政サービスと関連付けられていません。何でもできる汎用電子申請システムは、何をするにも中途半端であまり役に立たない器用貧乏なシステムとも言えましょう。 電子政府の総合窓口では、イベントやテーマごとに手続が紹介されていますが、肝心の手続に関する説明は画一的で、その内容も不十分でわかりにくいものとなっています。 ただ手続をオンライン化すれば良いという発想は、インターネットで通販を始めれば簡単に儲かるという安易な発想(いまどき誰もそんなことは思わない)と同じです。 有益な情報提供や活用方法がセットでなければ、「電子申請システム」とは言えても「電子申請サービス」とは言えないことを理解しましょう。 2004/1/7 ITアソシエイト協議会報告書(業務・システム最適化計画)の公表について 日本政府においても、先を見据えた取組みが始まったのは大変に良いことですね。 世界的な動向を見ても、電子政府に関する計画や予算取りは、単年・組織・プロジェクトごとではなく、全体的・組織横断的・複数年といった方法にシフトしてきています。個別・バラバラに一貫性なく進めては、後でものすごーく苦労するということです。
いやー、こんな当たり前のことが、ようやく日本でも確認されるようになりました。ちなみに、5については汎用電子申請システムなどで、すでに進行してます。こんなのが電子申請サービスだと思われて、悔しくて悲しい思いをしてきましたが、今後は変わるはず。いや、変わらざるを得ないぞ。 もちろん、最適化された業務・システムに対する、組織的・文化的な抵抗や反動への対応を考慮しながら進める必要があるのは、言うまでもないことです。 2004/1/6 国の行政組織等の減量・効率化の推進について(PDF)
行政組織等の減量・効率化は大変良いことですが、気になるのは評価基準や省庁連携に関する記述がほとんどないこと。これでは、各省庁が「今年度、これだけの減量・効率化を実施しました。」を発表して終わってしまいます。 汎用電子申請システムと同じように、肝心の中身が伴わない形だけの減量・効率化となる可能性が大きいと考えるのは、作者だけではないはず。 当然ながら、電子政府・電子申請にも失敗(リスク)は付き物なのですが、せめて失敗から学ぶ仕組みは作っておかないと、国民に対する説明責任を怠ることにもなりますし、電子政府先進国との差は開くばかりでしょう。 学習しない電子政府は、電子政府にあらず。 |
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