地方行革の取組状況、歳出・人員の削減にどう対応するべきか
総務省から、地方行革の取組状況(平成17年度から平成19年度まで)が公表されています。歳出削減・人員削減が進み、公務員にとっては、ますます厳しい環境となりそうです。
比較については、国だけでなく民間との比較(給与水準など)を行うと、より説得力が増すでしょう。電子政府も同様ですが、今のご時世、「国よりもこんなに頑張っている」では通じません。民間にも負けないぐらいの経営品質とサービス品質を目指しましょう。
人員削減は、主として民間委託・退職不補充(新規雇用の抑制)・非正規雇用の拡大により実現していると思いますが、近視眼的な対応は後で痛い目をみます。将来どのような人材が必要で、必要な人材を確保するための雇用形態・人材育成はどのようなものが適切なのかを考えておきましょう。
概要は次の通りです。
●歳出の見直し
国の歳出はこの10年間で2.8兆円増えているのに対し、地方の一般歳出はこの10年間で7.6兆円も減少している。
●集中改革プランの作成・公表状況
平成20年度中に全ての団体において、集中改革プランが作成・公表される見込み。
●定員管理の取組
平成20年の地方公務員数は、対前年比で5万人以上純減の見込みで、過去最大の純減となる。
平成7年から14年連続して純減しており、約38万人程度(約11%)減少した。
平成17年から平成22年まで(5年間)に国と同程度の5.7%の純減を求められており、平成20年までの3年間で進捗率80%超(4.7%の純減)となる見込み。
●給与の適正化、給与構造改革の実施等
約99%(平成20年7月1日現在)の団体で給料表水準の引き下げ等の改革を実施し、人件費削減効果(試算)は6,000億円程度。
地方の給与水準は、4年連続で国の給与水準を下回っている。(平成19年のラスパイレス指数98.5)
技能労務職員等は、民間委託・退職不補充により過去20年間で約50%、過去5年間で約25%の減少した。
約98%の団体(平成20年度末見込み)において給与等の見直しに向けた取組方針を策定・公表。
●民間委託等の推進
定型的業務等の民間委託実施比率は、平成20年までに都道府県が約84%、指定都市が約91%、市区町村が約66%。
※定型的業務等:庁舎の清掃、総務関係事務、公用車運転、ホームページ作成・運営、電話交換など
施設の指定管理者制度の導入は、平成20年までに都道府県が約62%、指定都市が約53%。
市場化テストは、平成20年までに137団体(対前年86団体増)が制度を導入又は導入検討中。
●公営企業の定員管理・経営改革
平成17年から平成22年まで(5年間)で7.1%の定員純減が目標。平成20年までの3年間で6.9%の純減を達成した。
●公会計改革(公会計の整備、資産・債務管理)
平成18年度版財務書類の作成は、全ての都道府県と指定都市において作成済。市区町村では58%が作成済みで、71%の団体が作成に着手済。
資産・債務の実態把握について、約400の団体が固定資産の評価について作業中(平成20年3月31日現在)。各団体において資産・債務改革の方針策定に向け全庁的な取組を実施。
今後は、さらに人員削減・給与削減・予算削減が進むでしょう。公営企業や外郭団体には、役所本体以上に改革の余地が残っています。
そうなると、今までのような仕事のやり方では、とてもじゃありませんが続けられません。必要なのは、イノベーション(革新)です。「仕事の流れ」と「お金の流れ」を整理して、より効率的で効果的な方法を模索しましょう。
大切なのは、「何をやるか」「どうやるか」ではなく、「何になるか」です。これからの時代に必要な理想の公務員像を明確にして、考え方や発する言葉を変えましょう。問題に直面して、「○○だから、できない」ではなく、「○○でやれば、できるかもしれない」と考え言葉にできるようになれば、生まれる結果も変わり、役所そのものも変わることができます。
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