はじめの一歩を踏み出そう-成功する人たちの起業術-
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 マイケル・E. ガーバー
作者が行政書士をしていた時に、いわゆる「ITバブル」がありました。この時期は、有名企業に勤めているような人たちでも、起業を望む人がけっこういて、作者の所にも依頼がありました。
その時に最も役立った書籍の一つが、本書でした。
ビジネスの基礎がわかりやすく書かれており、今読んでも「なるほど」と思うことが多い名著と思います。特に「サービスの利用が増えない」と嘆く電子政府関係者は必見です。
「ITバブル」期の依頼の多くが、事業計画さえ作成されておらず、とりあえず会社を設立したい、とにかく起業したいといった「願望」でした。これは、「電子政府バブル」の中で様々なインフラやサービスが構築された日本の電子政府にも当てはまることです。
そうした起業者には、「もう少し勉強された方が良いですよ」「事業計画作成のお手伝いをしましょうか」とアドバイスするのですが、彼らの多くは「手続の完了」といった事務処理を望んでいました。
本書では、スモールビジネスの経営者にある「三つの人格」、すなわち
1 起業家 変化を好む理想主義者
2 マネージャー 管理が得意な現実主義者
3 職人 手に職を持った個人主義者
を挙げています。
実際の経営者は、「職人」の人格が強く「起業家」の視点にかけることが多いため、失敗する可能性が高いと。
先日、知人から起業について相談を受けました。知人は、どう考えても「職人」タイプなので、他の人格と能力を伸ばす努力がない限りは、明らかに起業に向いていませんでした。
当然ながら、私のアドバイスは「止めた方が良い」というものでしたが、それでも起業したいというので、「では、自分の現在のキャッシュフローを整理して紙に書いて持ってきて。それを見ながら話をするなら良いよ。」と答えると、数字や計算が苦手な知人は面倒くさそうな顔をしました。
その時点で、この話を続けるのはお互いのためにならないと思い、話題を変えました。
電子政府も、「願望」で何とかなる時代は終わりました。国民だけでなく投資家も納得できる事業計画やビジネスケースを提案しなければ、大切な税金を使うことは許されなくなるでしょう。