世俗の思想家たち
入門経済思想史 世俗の思想家たち (ちくま学芸文庫) ロバート・L. ハイルブローナー
現在起きている経済や金融の混乱は、「ちょっと立ち止まってみて、自らの位置を確認し、歴史を振り返る頃合ですよ」という知らせなのではと思います。
進歩が早い分野では、そのスピードに人や社会が着いていけなくなり、適当な頃合で調整する時期が必要になると。
そんな考えで作者が読み返したのが本書です。
名だたる経済思想家たちの考え方だけでなく、プライベートの一面に触れることで、作者のような門外漢でも、難解な学問が少しだけ身近に感じられるのが嬉しい。
「ちょっと人としてどうなのよ?」とさえ思えるような、偏屈で変わり者の経済学者が多い中で、ケインズの完璧さは際立っていて、その影響力とも無関係では無いような。。
より良い社会の実現を目指しても、「目指すべき社会」を共有することさえ難しく、日本政府がこれからどこへ向かっていくのかよくわからない。
けれども、一つ一つ丁寧に読み解くことで、「何をするべきか」は必ず見えてきます。
最も怖い「パニック」と「思考停止」を避けるためにも、ちょっと立ち止まって歴史から何かを学んでいきたいと思います。