自治体をどう変えるか、公務員の意識改革は「身分移管」が効果的

自治体をどう変えるか (ちくま新書) 佐々木信夫

都庁出身の行政学者による解説と提言。自治体が置かれている現状、平成大合併、三位一体改革(税源委譲)などの理解に役立ちます。

国も地方も、行政が抱える問題は山積みですが、「公務員改革」にだけ少し触れておきましょう。

行政が変わるためには、そこで働いている公務員の意識改革が必要と思いますが、その際に有効な措置が「身分移管」です。

公務員は、何か特権的に保証された「身分」であると勘違いされているようです。実際にはそんなことは無いのですが、そうした勘違いをなくすために、「公務員」という「着ぐるみ」を脱いでもらえば良いでしょう。

日本の「公務員数」は、国際比較(国民1000人あたりの公務員数)すると非常に少ない。しかし、海外先進国の公務員は、日本のように「身分」となっていません。数よりも、取り扱い(過剰な保護)に問題があるのです。公務員の身分化は、官尊民卑(官は偉くて、民間人は卑しい)にも繋がります。

公務員にも生活があり家族もあるので、無理に解雇するのは良くありません。雇用を確保したまま、(郵政公社の職員のように)「公務員」を「会社員」に、(地方出先機関の廃止に伴い)「国家公務員」を「地方公務員」に、着替えてもらえば良いのです。

景気後退を受けて、これだけ民間で解雇があるのですから、この時期であれば「公務員の衣替え」も国民の支持を得やすいでしょう。

公務員が、本当に「公のために働きたい」と思っているのであれば、「会社員」であろうが「国家公務員」であろうが「地方公務員」であろうが、肩書きや身分に関係なく真面目に働いてくれるはずです。