CIOのITマネジメント、日本の電子政府はリスクが苦手
CIOのITマネジメント (NTTデータ経営研究所情報未来叢書 1)NTTデータ経営研究所エヌティティ出版このアイテムの詳細を見る |
CIO関連の書籍を読むと、IT投資・調達・開発・運用等に関する大きな流れを理解できるのが良いところ思います。本書でも、効果の創出、効率的な投資、リスクの軽減、組織の強化、IT投資の成功要因などについて、最新の事例や調査結果を交えながら、うまくまとめられています。
総論において、「CIOの役割」を
1 パフォーマンスに関する管理(マネジメント)
2 コストに関する管理
3 リスクに関する管理
とする考え方は、とても参考になりますね。
日本の電子政府では、上記の3つともほとんど考慮されていない(としか思えない)時期がありました。
さすがにそれではまずいということで、パフォーマンス(利用率など)が考慮されるようになり、コスト(利用一件あたりに費用など)も明らかになってきました。
けれども、3つめの「リスク」については、ほとんど手付かずと言えるでしょう。
ここで言う「リスク」は、もちろんセキュリティだけのことではありません。「期待された効果が得られない」「ほとんど利用されない」「インフラとして組み込まれているため、止めるにも止められない」といったことを意味します。
プロジェクトは、常に失敗するリスクがあり、それをゼロにすることはできません。リスクがあることを認識した上で、リスクと敵対することなく上手に付き合っていく必要があるのです。
電子政府サービスも、利用低迷等の事情により停止されるケースが出てきましたが、「事前の評価」「失敗(撤退)の基準」などを明確にしていれば、防げたものも少なくないと思います。
現在そして今後の経済不況は、日本の情報システム産業が成長する上で、とても良い機会と思います。
電子政府・電子自治体ベンダーにおいても、年金記録バブルに踊らされることなく、生産性の向上と市場の拡大(創出)を目指して欲しいですね