オーストラリアの行政サービス利用満足度調査2008、利用手段はインターネットがトップに
Australians’ use and satisfaction with e-government services 2008
オーストラリアの行政サービス利用満足度調査の2008年版が公開されています。
オーストラリア人が、どのような手段(チャネル)で行政サービスを利用するかについて、インターネット、電話、郵便、対面(窓口)の4つを比較しています。行政サービスの利用とは、情報の入手、各種申請や届出、支払い、相談などが含まれます。
今年で5年目となる本調査では、事前に電話アンケートを行った上で、母数3,650のインタビューを実施しています。日本の電子政府調査と比べると、お金も時間もかかっており、デザイン・設計がしっかりしていますね。
今回の調査で、ついにインターネットが一位となりました。
日本の約20倍の国土に約2000万人しか住んでいない国ですから、役所へ行くだけでも大変な地域に住んでいる人にとって、インターネットを利用した電子政府サービスには大きな利便性を感じているようです。
調査では、各チャネルごとの満足度や不満足度、その理由などを明らかにしていますが、満足度でもインターネットがトップとなっています。
行政サービスもマルチチャネル化をで解説しましたが、各チャネルには特性(長所や短所)があります。利用者ニーズや日常の行動様式などを理解した上で、最適と思えるチャネル(またはその組合せ)を選択肢を持たせながら提供することが大切と思います。
調査結果には、日本の電子政府が学ぶべき点が多いですが、その一つに「なぜ利用するのか」という質問に対する回答が挙げられるでしょう。
この質問に対する答えは、「便利だから」です。
インターネット、電話、郵便、対面(窓口)の4つを比較した場合、どれが最も便利かと考えた場合、インターネットと考える人が一番多いというわけです。
もちろん、利用するサービスの種類や内容によっては、対面の方が良いという場合もあるでしょう。郵便か窓口でしか受付けてくれないという場合もあるでしょう。
しかし、そうしたサービスも、いずれはインターネットで利用できるようになり、かつ他のチャネルに比べてより便利になる可能性があります。
つまり、電話、郵便、対面(窓口)といったチャネルの改善・成長可能性が低いのに比べて、インターネットはまだまだ改善や成長が期待でき、そのスピードも速いと考えられています。
この調査結果は、あたかも日本の電子政府サービスに対して「いくら立派で高価で最新技術を駆使したシステムを作っても、便利じゃなければ、使ってもらえませんよ。税金の無駄遣いですよ。」と言っているかのようです。
ちなみに、この「利便性:convenience」を重視する傾向は、オーストラリアだけではありません。電子政府先進国と言われる国々では、利用者を確保し費用対効果を上げ説明責任を果たすために、これまで以上に「利便性」を高める努力をしています。
「利便性」というと、日本では「次世代電子行政サービス」のような大掛かりで複雑な仕組みを考えがちです。
しかしながら、「便利なサービス」は、そんな大それたものである必要はありません。実際、インターネット上には便利なサービスがたくさんありますが、その多くは日本の電子政府サービスよりお金も時間も使っていません。
今のままでは、仮に韓国のような行政間の情報共有の仕組みができたとしても、行政がそれを使いこなして、「実際に便利なサービス」を提供することは難しいでしょう。
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