あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル

あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル (DO BOOKS)
湯浅 誠
同文舘出版

このアイテムの詳細を見る

著者は、今や「時の人」となった感のある湯浅誠氏。本書は、その名の通り実践的なマニュアルで、役所が苦手な人でも、本書に従って手続をしていけば「生活保護」が受けられるようになるでしょう。

なお、申請書等の書式は、NPO自立生活サポートセンターもやいのウェブサイトから取得できます。

役所のサービスは、制度や法律が意図する目的に従って、適切に運用されるべきなのですが、現実はそうなっていません。

つまり、そのサービスが必要な人・活用するべき人たちに、きちんと届いていないのです。

特に生活保護のようにお金が絡んでくると、そのお金を狙って悪い人が寄ってきます。

通常の役所は、警察ではありませんので、そうした悪い人たちに対して、かなり無防備です。言ってみれば、「いいカモ」ですね。

役所の方も、自分たちのお金じゃないものだから、初めはカモられても、あまり気にしません。

しかし、役所の方もバカではありませんし、あんまり不適切な人にお金をあげていると、マスコミや議会から追求されてしまいます。役所が使えるお金が減ってきているため、今までのような金銭感覚では、それこそ破綻してしまうでしょう。

そうなると、役所の側では、お金を狙ってくる悪い人を「いかにして追い払うか」に力を注ぐようになります。

ここがターニングポイント、まさに運命の分かれ道です。

本来は、「生活に困っている人たちを支援しましょう」作戦だったのに、「悪い人からお金を守りましょう。追い払いましょう」作戦へと変わってしまうのです。

こうした本末転倒が、役所ではよく起こります。

こうなると迷惑するのが、「本当に困っている人」です。

「悪い人からお金を守りましょう。追い払いましょう」作戦は、悪い人だけに有効な対策ではなく、悪い人も良い人も一緒くたにしている場合が多いからです。

強力な農薬を散布して、害虫も益虫も死んでしまうようなものです。

悪い人は、もともと困っているわけではないので、もっと楽してお金が手に入るところへ逃げていきます。

ところが、「本当に困っている人」は逃げるにも逃げられず、「悪い人からお金を守りましょう。追い払いましょう」作戦でやっつけられてしまうのです。

民間企業でも、同じようなことがあります。例えば、クレーマーへの対応策を間違えれば、優良な顧客を逃してしまうかもしれない。とった場合です。

こうした本末転倒を防止するためには、「ミッション(使命)の確認」が有効とされています。

生活保護で言えば、生活保護法の初めの三条にある

(この法律の目的)
第一条  この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)
第二条  すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)
第三条  この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

ここに書いてあることを毎日仕事をする前に、仕事の現場で職員全員が声を出して読むのも良いでしょう。現場のトップが、ことあるごとに自分たちの使命を思い出させるスピーチやメール連絡をするのも良いでしょう。

「ミッション(使命)の確認」は、仕事が大変なときや迷ったときにこそ、最良の判断基準となり、仕事見直しの機会を提供してくれます。

社会が変わるマーケティング――民間企業の知恵を公共サービスに活かす
フィリップ コトラー/ナンシー リー
英治出版

このアイテムの詳細を見る