電子申告の隠された魅力とは、強みを知り生かす
早いもので、もう2月。
確定申告の時期が近づいたこともあり、電子申請のインセンティブ:電子申請・電子申告による税額控除と添付書類の省略といった昔のコンテンツにアクセスが増えている。
今年から、確定申告書等作成コーナーがより使いやすくなったと、国税庁から報告があったばかりだが、現実はそう単純ではないようだ。
確定申告書等作成コーナーを何年も愛用している知人によると、「今年の税額はいくらぐらいかな」と仮計算してみようと思ったら、今年はそれができない(やりづらい)とのこと。
以前は、データを入力していけば簡単に計算できたのだが、今年のは一通りのデータ入力が終わると「印刷しますか、電子申告しますか?」と尋ねられ、最も気になる納税額がわからないと。
仕方なく、「印刷します」を選択すると、今度は「プリンターが接続されていません」とのメッセージが。。。
モバイル環境でパソコンを操作していた知人は、結局は最も知りたかった納税額を知ることができず、あきらめてしまったそうだ。
「良かれと思ってしたことでも、必ずしも相手に喜んでもらえない」といったことは現実の社会でもよくあることだが、電子政府でも同じことが起こる。
こうした「すれ違い」は、行政と国民の双方にとって不幸である。
●強みを理解し生かす
電子政府コンサルタントの立場から、今回のケースについて予防策と改善策を提案しておこう。
まず、予防策としては、
・確定申告書等作成コーナーの良いところ(強み)を国税庁自身が理解し、自分たちの強みを生かす
ことが大切だ。
日本の電子政府では、「悪いところを直す」ことに集中しがちだが、このやり方はあまり効率的・効果的ではない。限られた時間や資金は、強みを生かすことに使った方が良い。
電子申告における税額計算(シミュレーション)の機能は、利用者にとって大きな魅力となっている。
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もう一つは、利用者の声を聴くことに加えて、「利用者をよく観察する」ことだ。
「強みを理解し生かす」と「利用者を良く観察する」、この二つだけで、電子政府サービスは確実に良くなるはずだ。
今回のケースでは、例えば次のように改善できるだろう。
1 データ入力が終わると、納税額や還付金額が表示される
2 次に「印刷しますか、電子申告しますか?」と表示される
3 同時に「電子申告すると5000円の控除があります」と宣伝される
これだけで、知人の不満は解消されるはずだ。
国税庁には、ぜひ実現して欲しい。