グーグル・マーケティング!、電子政府のマーケティングも無料でできる
グーグル・マーケティング!押切 孝雄技術評論社このアイテムの詳細を見る |
電子政府は、無駄遣いが多い。
これは、誰がなんと言っても、事実です。
同じ結果を得るのに、100万円で済むものを、何千万・何億円ものお金をかけてたりします。
自治体の、「お金が無いから」といった理由も、言い訳でしかありません。
なぜなら、お金をかけずともできることが、たくさんあるからです。
本書は、グーグルを初めとした無料ツールを使って、具体的なマーケティング(商品やサービスを売る・使ってもらうための方策)を実践して見せてくれます。
せっかくなので、無料ツールを使って、電子政府のマーケティングをしてみましょう。
まずは、Google Trendsを使って、「電子政府」の認知度や関心度を見てみましょう。
使い方は簡単。キーワードに「電子政府」と入力して、『トレンドを検索』ボタンをクリックするだけ。
すると、左側にグラフが、右側に関連ニュース(グラフの上昇時に出た記事)が表示されます。
すると、ネットユーザー(この場合、主に台湾と日本)における「電子政府」の関心度は、2004年頃をピークにして、徐々に減少していることがわかります。
関連ニュースを見ても、期待を背負って始まった電子政府が、思ったほどの成果を上げられず、低迷していく様子がわかります。
もはや「電子政府」というキーワードで世間の関心を引くことは難しく、何らかの路線変更が求められているのでは。といった仮説を立てることができるでしょう。
では、最近の政府が好んで使う「電子行政」や「オンライン申請」というキーワードはどうでしょうか。
結果は、「検索数が少ないため、トレンド分析できず」となっています。
政府の意向に反して、認知度・関心度は低いようです。
では、「電子申請」はどうでしょうか。
「電子政府」に比べて波が極端に大きいのが特徴で、色んな手続の電子申請が開始あるいは停止といったニュースに合わせて、検索数が増えるようです。
また、日本からの検索が多いことから、「電子申請」という言葉が、日本では一般的になりつつあるが、他の漢字圏ではあまり使われていないことがわかります。
次に、「電子申告」を見てみましょう。
これは、もう傾向がはっきりしています。
10・11月ごろから検索数が増え、1月から2月にピークを迎え、確定申告の時期が過ぎると、検索数は激減します。
夏頃に少し波があるのは、所得税以外の税についても電子申告が広がっている傾向があるからかもしれません。
また、ここ3年ぐらいの傾向として、年々検索数が増えていることもわかります。
これは、電子申告の利用率が増えていることに関係するだけでなく、電子申告を新たに始めようと考えている人が増えていることを意味しているのでしょう。
電子申告の検索トレンドを見ることで、いつ頃からプロモーションを開始して、その内容をどう変えていけば良いか、といった計画が立てられますね。
さらに詳しく知りたい場合は、Google AdWords : キーワード ツールを使いましょう。
これを使えば、関連キーワードの広告数や検索数などの傾向もわかります。
つまり、電子申告がどんな目的や関心を持って、検索・利用されるのかが見えてくるのです。
Google ブログ検索やkizasi.jpを使えば、ブログを通じて、実際の利用者の声を聞くこともできます。いくつか読んでみると、
・自宅でやる人は、かなり苦労している
・そんなときに役に立っているのが、コールセンター(電話のヘルプデスク)
・すでに経験がある人は、前より良くなったと感じている
・税務署のパソコンコーナーからの利用者も多い
・この場合、準備の手間がない分、簡単だったと言う人が多い
といったことがわかります。
電子申告の利用を妨げているのが、住基カードや電子証明書・ICカードリーダーであることは、大規模でお金のかかるアンケートをしなくても、無料ツールを使ってちょっと調べるだけでわかるのですね。
今年度は、国税庁やベンダーの涙ぐましい努力により、電子申告を始めるための「準備」をかなり自動化することに成功しました。
しかし、もともとが複雑で作業数が多いため、いくらお金をかけて自動化しても、かなりパソコンが詳しく根気のある人でなければ、自宅での電子申告は難しいままなのです。
それなら、税務署のパソコンコーナーから電子申告してもらえば良いじゃないか。と考えるのですが、このパソコンコーナーを維持していくための人件費がバカにならず、これ以上の拡大は難しい、と国税庁にとっては悩みの種となっているのです。
この状況を打開するためには、やはり「準備」の手間を減らすのが、利便性からもコスト面からも一番良いと思います。
はっきり言って、電子申告に本人の電子署名など不要です。
オンラインバンキングやオンライントレードと同じような本人確認やデータ保護で十分なのです。
紙の電子申告に本人の署名は不要ですし、本人確認もありません。
税務署のパソコンコーナーからの電子申告は、電子署名が不要ですから、あとで「他人が成りすまして申告した」と言われても、税務署は反論できません。
であれば、自宅からの電子申告にも電子署名など必要ないと言えるでしょう。
というわけで、電子申告の電子署名・電子証明書については、遅かれ早かれ、方針転換を迫られることになるでしょう