大前研一 戦略論 ―戦略コンセプトの原点、電子政府における顧客戦略のヒントとして

大前研一 戦略論―戦略コンセプトの原点
大前 研一
ダイヤモンド社

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1980年代から90年代にかけて欧米ビジネス誌に寄稿された論文の日本語訳。

当時のビジネス動向、日本企業の成功や失敗などを垣間見ることができ、この頃の自分はまだ高校生だったなあと、懐かしい思い出と共に楽しく読めました。

本ブログでも戦略に関する書籍をいくつか紹介していますが、どの本からも電子政府が学ぶべきことがあります。

本書、大前氏の戦略から学ぶべきは、第1章「競争は戦略の目的ではない」にある『最優先すべきは、顧客価値を創造する戦略なのだ』という考え方です。

愚直なまでに「顧客の価値」を追求する姿勢は、遠回りで苦労の多い道のりであると思われがちで、確かにそうした捉え方も可能です。

しかし、「顧客の価値」の追求は、最も安全確実な近道であり、迷った時の道しるべであり、困難に直面した時の支えであり、やり甲斐や達成感といった仕事への喜びでもあるのです。

電子政府における顧客は、やはり国民です。

ここで言う「国民」とは、日本で生活する個人(外国人を含む)、社会経済活動を営む企業や団体などのことです。

実際には、「顧客の顧客」や「顧客に最も影響力のある人や組織」などを考慮する必要があります。

しかし、電子政府が第一に考えるべきは、「顧客である国民の価値」であると思います。

国民の価値観や生活様式が多様化する中で、「顧客の価値」を追求することは、より困難になっていくことでしょう。

そうした状況下においては、顧客セグメントやターゲティングといったマーケティングの必要性も増していきます。

それ以上に重要なのが、

「顧客の価値」を明確にし、そこに資源を重点的に配分・投資して、どのような社会を創造していくのか。

といった戦略やビジョンなのだと思います