電子申請にはシュミレーション機能を

これからの電子申請に求められるのは、シミュレーション(模擬テスト)機能である。この機能を使えば、申請結果の予測が容易となり、安全性と安定性が高まると共に、利用者に「お金」と「時間」のメリットを提供できるからである。

具体的な例を挙げてみよう。

●電子申告

複数の(無料または有料)申告ソフト等のサービスを利用して、申告シミュレーションを行い、一番上手に節税してくれるものを探す。単に計算してくれるだけでなく、

・この控除を利用すれば、もっと節税できますよ。
・あと3000円で、医療控除が受けられます。申告忘れの医療費はありませんか?

といったアドバイスをしてくれる。税理士さんの強力なライバル登場である。

●会社設立(オンライン商業登記)

法務省が提供する無料申請(支援)ソフトや民間が販売する会社設立キットなどを利用して、申請シミュレーションを行い、結果を確認してから登記申請を行う。これで、補正(やり直し)させられることなく、希望日に確実に会社の設立を完了させることができる。

これまた、司法書士さんの強力なライバルである。

なお、電子申請では「即日、設立登記が完了する」が当たり前となる。できないのであれば、それは申請者ではなく行政側の仕事のやり方に問題があると言える。

●ビジネス(各種営業等)の許認可

許認可ポータル等のサービスを通じて、始めたいビジネスの種類や内容、許認可・法令の名称から、必要な許認可を選ぶ。無料または市販の申請ソフトウェア等を利用して、申請シミュレーションを行い、許認可に必要な要件を確認する。

シミュレーションの結果は、

・この申請で、許認可を受けられるかどうか
・○月○日に申請した場合、○月○日に許認可が下りる

などが明示される。

あらかじめ許可日がわかれば、それに合わせた準備(店舗の賃貸・改装、広告、従業員の雇用など)ができるので、多くの「お金」と「時間」を節約できる。

こちらは、行政書士さんのライバルと言えよう。

●電子申請は、士業のライバルを目指せ

このように、電子申請でもやり方によっては、専門家と競争することが可能である。

国民は、
1 無料ソフト等を使って、自分で行う
2 有料ソフト等を使って、自分で行う
3 無料の専門家や民間サービスにお願いする
4 有料の専門家や民間サービスにお願いする

といった選択肢の中から、時間や予算に応じて好きなものを選べるがの良い。

他方、士業等の専門家の選択肢は、
A 無料ソフト等を使って、業務を遂行する
B 有料ソフト等を使って、業務を遂行する

基本的には、この二つである。

行政、士業、ソフトウェア企業、民間サービス企業などが協力・連携しながら、お互い切磋琢磨してくれれば、サービスの質も向上し、国民が受けるメリットも多くなるはずである。

電子申請で便利になる、これは基本として大切であるが、より大切なのは、

・電子申請をきっかけとして、
・サービスや仕事のあり方が見直され、
・競争の中から質が高められること

なのである。

関連>>電子申請システムの基本構成

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