買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界

買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界
マーティン・リンストローム
早川書房

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マーケティングの本ですが、誰もが体験する「買物」について、「えー、そうなの?」と思える内容で、雑学本としても単純に面白い。

脳については、まだまだ研究途上で、ホンの少ししか解明できていない。というのが多くの脳科学者による理解と思う。

とは言え、以前に比べると格段の進歩があり、その研究成果が、ビジネスやスポーツなど様々な分野で活用されることも多くなった。

マーケティングの分野でも、脳を観察することで、アンケートの回答とは異なる「本音」を知ろうとする「ニューロマーケティング」なるものが注目されている。

この「本音」は、本人も気がつかない「無意識に行われる瞬時の判断」で、人間の行動の大部分が「自動運転」によるものらしい。

孔子は「人の行動を見なさい」と言い、ドラッカーは社会生態学者として「人間観察」を重視したそうですが、行動の基となる脳の働きを見ることは、「新しく強力な観察手法」と言えましょう。

作者も「人間観察」は大好き。

子供の頃は推理小説にはまり、人間観察。

考えてみれば、エッチも「人間観察」と言えなくも無い

ユーザビリティも、インタビューやアンケートだけでは不十分で、行動を観察することが必須です。

関連ブログ>>電子政府サービスの測定:アンケートでは不十分、実際の行動を測定しよう

人間は、毎日が理性と感情のせめぎ合い。

本書で書かれているように、日々の行動のほとんど(9割ぐらい)が無意識(自動運転)であるならば、感情で行動するのが普通と言える。。

そう考えると、人間が古代から、懸命に感情をコントロールしようとしてきたのも、うなずける。

ヨガや武道では、肉体の操作(=自分の意思でできる)によって、感情をコントロールする手法が発達している。

つまり、理性的・合理的な行動をしようと思ったら、かなり意識して頑張らないといけない。

一時的に、理性8:感情2ぐらいまで自分を持って行って、ようやく理性的・合理的な行動ができると。

行動経済学は、こうした人間の特性を捉えたものなのでしょう。

不合理が普通で、合理的な行動は珍しい。

だからこそ、合理的な行動をする者が得をすると。

たぶん、肉体の操作などにより、感情をある程度でもコントロールできるようになると、自身の「感情を楽しめる」ようになると思う。

仏陀が、自分の体をいじめ抜き、自身の感情(煩悩)を押さえつけようとして失敗した後、心身ともにリラックスした状態となり、自身の全てを受け入れることで悟りを開いたという話は、「感情はコントロールするものではない」ということを示しているような気がする。

湧き上がる感情を楽しみながら、必要・状況に応じて、微調整する。

これを、買物や人生を楽しむコツとしたいなあ

心の仕組み~人間関係にどう関わるか〈上〉 (NHKブックス)
スティーブン・ピンカー
NHK出版

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