新宿インシデント
子供も安心して見られる作品が多いジャッキー・チェンとしては、異例のバイオレンス・アクション映画。
いつものように、ほとんど予備知識無く見たところ、なんと任侠映画だった。
バイオレンスなシーンは、マスコミ等で言われるほど酷くは無いかな。
15歳以上の「R15+」指定だけど、昨今はもっとエグイ作品が多いので、それらと比較すれば普通と思う。
それより驚いたのは、そのリアリティである。
舞台となった90年代の新宿や中国からの不法入国については、ある程度の知識はあったが、その実態をかなりリアルに描いているのにびっくりした。
今回のジャッキーは、全くカンフーを使わない。
しかし、ケンカ(と言うか殺し合い)のシーンは、まるで本物を見ているかのよう。
作者の地元川崎でも、同年代に、エレベータ内で中国人数名が青龍刀で惨殺される事件があったなあ
作品全体を通して伝えられる人生哲学や倫理観は、ジャッキーと重なる部分が多い。
香港では「大兄貴(大哥)」と慕われ、映画界と裏社会との断絶に尽力してきた。そんなジャッキーが、50歳も過ぎた今、本作に出演したことは絶妙のタイミングであるように思う。
そう考えると、『新宿インシデント』は「ジャッキーらしくない作品」ではなく、「最もジャッキーらしい作品」ではないのかな