i-Japan戦略2015を読み解く(1)、希望が持てる社会を目指そう
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)が決定した、i-Japan戦略2015(PDF)が公開されています。IT新改革戦略を受け継ぐもので、2015年までの日本政府によるIT戦略として位置づけられます。
簡単に整理すると、次のようになります。
2009年7月6日:i-Japan戦略2015
2015年まで。「三か年緊急プラン」を一体のものとして包含する。
2009年4月9日:デジタル新時代に向けた新たな戦略 三か年緊急プラン
「i-Japan戦略2015」に先行して実施。毎年度変更し、年度ごとの重点計画に反映させる。
2006年1月19日:IT新改革戦略
新戦略に矛盾しない範囲で、2010年までは有効。
電子政府の今後を占う上でも重要な戦略なので、何回かに分けて、この「i-Japan戦略2015」を読み解いてみたいと思います。
●ビジョン(将来の社会像)
i-Japan戦略2015のビジョンは、次のようになっています。
(1)Digital Inclusion
デジタル技術が
・社会の隅々に行き渡る。
・「空気」や「水」のように抵抗なく普遍的に受け入れられる。
・経済社会全体を包摂する存在となる。
(2)Digital Innovation
デジタル技術・情報により
・経済社会全体を改革して、新しい活力を生み出す。
・個人や社会経済が、活力を持つ。
・個人や社会経済が、新たな価値の創造・革新に、自発的・前向きに取り組める。
・企業が、低コスト高収益の体質になる。
・環境・資源制約と持続的経済成長が、両立する。
・日本が、国際社会と協調し連携し共生できる。
前半はわかりにくいですが、後半のイノベーション(革新)視点は悪くないと思います。このままでは日本の見通しは暗いという雰囲気が漂っている以上、少しずつでも良い方向へ変わっていくことを示しておかないと、ますます暗くなってしまいますから。。。
ビジョンの策定は難しいものですが、それを読む人が「なるほど」と納得して、頭の中で思い描けることが大切と思います。
ちなみに、旧戦略のIT新改革戦略では、「めざすべき将来の社会」を次のよう
に掲げていました。
・活力のある少子高齢社会
・環境・エネルギー問題への貢献
・安全・安心な社会の実現
・行政、企業、個人の新しい姿
・情報格差(デジタル・ディバイド)のない社会
・世界に発信する誇れる日本の実現
さて、もし作者が戦略策定に関わっていたら、次のようなビジョンにしたことでしょう。
1 子供からお年寄りまでが、将来に希望を持って生活できる
2 誰もが、様々な機会に触れ、色んなことに何度でも挑戦できる
3 世代間で交流し協働する機会が増え、お互いの理解が深まる
4 足を引っ張り合うのではなく、お互いに学び高め合うことが当たり前になる
5 国民が、政治や行政に関心を持ち、自ら積極的に参加するようになる
6 公務員が、国民に奉仕する存在として、尊敬され感謝されるようになる
7 上記を実現するために、情報通信技術(ICT)を最大限に活用し、必要となる基盤整備や制度改革を速やかに実施する。
うーん、ちょっと欲張りすぎかなあ