風が吹くとき、選挙前に観ておきたい映画
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NHKのBS放送で、『風が吹くとき』が放映された。
ジミー・T・ムラカミが、珍作『宇宙の7人』と同じ監督とは思えないほど、洗練された演出をしているのに驚く。
なお、オープニング・テーマ曲は、デヴィッド・ボウイが歌っている。
原作は、「スノーマン」で有名な絵本作家のレイモンド・ブリッグズ。
一見すると、核戦争を題材にした反戦映画に思えなくも無いけど、その内容は「政府への極度な依存社会に対する警告」と理解した方がわかりやすい。
『黒い雨』のような映画は、原爆を体験した日本以外では描くことが難しいけど、「政府(権力)に翻弄される人々」というテーマであれば、イギリスの方が得意であろう。
本作が制作されたのが1986年。原作が発表されたのが1982年。
その頃はイギリス経済の低迷期で、その復活を目指してサッチャー政権による改革が断行されていた時期である。1982年には、フォークランド紛争も勃発している。
そうした時代背景から、本作のテーマを考えるのも面白い。
ところで、現在の日本国民は、本作の主人公に重なるところがある。
・善良で模範的な国民である老夫婦
・田舎町に引っ越して、のんびり年金生活
・政府の言うことは正しく従うべきだと考える夫
・主婦の仕事に生きがいとプライドを持つ妻
そんな彼らがたどった運命は。。。
自民党の細田博之幹事長による『それが国民の程度かも』発言は、作者自身にとって笑い事でも他人事でもない。
政府無しには生きられない日本国民である作者も、政府への過度な依存や期待は慎みたい。
政府のすることや言うことを盲目的に信頼することはしないが、「政府のすることだから」と内容を吟味すること無しに、短絡的に感情的に拒否することはしたくない。
ということで、選挙へ行く前に『風が吹くとき』を観ておくと良いかもしれないなあ
スノーマンレイモンド ブリッグズ竹書房このアイテムの詳細を見る |