ちょっとだけ怖いかもしれない話、その1

朝晩、めっきり涼しくなり、夏も終わりが近づいてきた。

ということで、ちょっとだけ怖い(かもしれない)話をしてみようかと。

いわゆる「幽霊」なるものは、「まあ、いたとしても不思議ではないなあ」と思ってる。

「幽霊」や「霊魂」が「存在しないこと」を科学的に証明するのは、ほとんど不可能なので、科学者(らしき)人が、「そんなものは存在しない」と言ったとしても、それは科学者としての発言ではなくて、単なる個人的な憶測にしか過ぎない。

と、個人的には理解している。

だいたい、同じ状況でも「見える人と見えない人がいる」なんて曖昧なものを、物理学的なアプローチで解明しようとするのは、かなり無理があるように思う。

当面は、脳科学的なアプローチの方が、有効なのではないかなあ。

ともあれ、「幽霊」を見たという人の全てが、嘘をついているとは思えないので、とりあえずは信じてみて、楽しむのが良いと思う。

作者の周りにも、「幽霊が見える」という人が、何人かいた。

そのうちの二人ほど、紹介してみよう。

一人は、男性のA君。

作者が20代の頃、仲間内で「心霊スポット」を探検するのが、流行っていた。

A君は、特に霊感が強く、かなりはっきり見えるとのことで、「心霊スポットめぐり」には欠かせない存在であった。

深夜の小田原城へ行ったとき、

A君が、私のわき腹をチョンチョンと突付いてきた。

どうしたのかと尋ねると、小声で

「行きましょう。もう、行きましょう。」

と、かなり切羽詰ったような感じだ。

その様子にびびった私たちは、急いでその場を立ち去り、車へと戻った。

A君に、どうしたのかと再び尋ねると

「いや、着物姿の女の人が、ちょっと怒った感じで、Eさんの頭のあたりに・・・」

と、Eさん(女性)には聞こえないように教えてくれた。

さて、その後が大変。

車の中で、Eさんは体調不良を訴え、「頭が痛い、頭が痛い」と言うばかり。

やはり、「心霊スポット」へは近づかない方が良いなあ。

そんなA君は、日常的に霊が見えるらしく、とても困ると言う。

車を運転していたら、ある大きな道路の交差点に、お花が添えてあった。

「あ、事故があったんだな。やだなあ。。」

と思った次の瞬間、

その数メートル先のガードレールに、小学生低学年ぐらいの男の子が座っていた。

「う、人じゃないわ。きっと、事故にあった子だな。また、やなもの見ちゃったなあ。。」

と思いながら、自宅に着いた。

リビングに入ると、ベランダの窓から、その男の子がのぞいている。

「うわっ!」

と思わず声を上げると、スーッと消えていなくなってしまった。

うーん、こんな生活、作者だったら耐えられない

もう一人は、Cさんという女性の話。

彼女の場合、おばあちゃんが巫女さんだったそうで、なんでも「見える家系」らしい。

そのCさんと、無謀にも二人で有名な心霊スポットに行ったときのこと。

スポット近くのトンネルに近づくと、Cさんは

「ヒィー、ヒィー」と思いっきりおびえている。。

トンネルをくぐって、スポットの入口へたどり着くと

「ギャー、ギャー」と、前にも増しておびえきっている。

これは無理だと判断した作者は、車から降りず、その場でUターンして帰ってきた。

スポットから遠ざかると、Cさんは落ち着きを取り戻してきた。

作者が、「何を、そんなに怖がってたのか」と尋ねたところ

「だって、トンネルの上に、人がいっぱいいて、こっちをじっと見てるんだもん。」

「そ、それは怖いな。。。で、入口付近は、どうだったの?」

「あそこは、大変だったよ あんたは見えないから良いだろうけど…、車の周りに、どんどん集まってきて…、ガラス越しに大勢で…、こっちを覗き込んでるんだから。。。」

と、えらく怒られた。

いやー、ホント見えないで良かったわ

そんなCさんの日常も、かなり面白い。

アパートで一人暮らしをしていたCさんが、布団を敷こうと押入れを開けると

その上段に、30歳ぐらいの男性が、体操座りをしている。

「ま、またか」と思ったCさんは、

「今から私はちょっと留守にするから、帰ってくるまでに、立ち去ってください」

と語りかけ、そーっとふすまを閉めると、そのままコンビニへ。

雑誌を立ち読みして、15分ほどで帰ってきた。

で、恐る恐る押入れのふすまを開けると…

そこに、もう男性はいない。

ふー、これでひと安心。

と思って、ふと部屋の隅に目をやると

さっきとは別の男性が立っていて、こっちを見ている。

「もう、いやーん」

なんて生活。ちょっと楽しいかもしれない。。。

「そりゃー、欲求不満と妄想で、若い男が見えたんじゃないの?」

とおちょくると

「あんたは見えないから、他人事なんだよ。こっちの身にもなってみろ!」

と、また怒られた

Cさんが言うには、見えると、やっぱり寄ってくるそうだ。

そのたびに、「私は、ホントに役立たずの人間で、あなた様の何の役にも立ちませんよ」と説明するのが大変だったらしいが、年をとるにつれて、ほとんど見ることもなくなったそうだ。

いやいや、良かった良かった