ちょっとだけ怖いかもしれない話、その2
今回は、作者自身の体験から。
作者は、いわゆる「霊能力」みたいなものとは、無縁の人間である。
けれども、「ちょっと不思議なこと」は、少しばかり体験している。
●足音
若かりし頃、とある心霊スポットへ遊びに行ったときのこと。
一緒にいたカップルがいなくなってしまったので、他の仲間たちを残して、友人(男性)と二人で探しに行くことになった。
先頭を歩く友人が持つ、懐中電灯の明かりだけを頼りに、後を歩く私。
緩やかな下り坂、落ち葉だらけの道とも言えないような道を、恐る恐る進む。
すると、後ろの方から、落ち葉を踏む足音が聞こえてきた。
ザクッ、ザクッ・・・
「誰か、後を追ってきたのかな?」
と思い、振り返るが誰もいない。。
気のせいか、と思い先へ進むと、またもや足音が。。
ザクッ、ザクッ・・・
振り返ると、やっぱり誰もいない。
これは、ちょっとヤバイ…と思って、先へ急ごうとするが
前を歩く友人も、薄明かりの中で足元も悪いため、なかなか進めない。
そうこうするうちに、後から聞こえる足音が、どんどん近づいてきた。
ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・
「お前、もっと早く進めよっ!」
あせった私は、友人を急かすのだが、のろのろと進むばかり。
終いには、私の背後にぴったり寄り添うように、足音が耳音で響く。
ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・
友人にも、足音がはっきり聞こえているらしく、二人共にパニック状態。
なんとか、坂道を転がるように下りると、足音も消えた。
うーん、一体あれは何だったのか。
ちなみに、私たちが探していたカップルは、近くの休憩場で見つかった。
二人は、みんなとわざとはぐれ、イチャイチャしていただけであった。
幽霊より、人間の方が、よっぽどタチが悪いのだ
●金縛り
ある夜、寝ていると、金縛りにあった。
その当時、金縛りは、別に珍しいことではなかったので
「ちょっと疲れがたまってるかな」
ぐらいに思ったのだが、いつもとちょっと感じが違うような。。
目を開けてみると、布団の右手に黒い塊が。
黒い塊なんだけど、なんとなく目鼻立ちもわかる。
なぜだかわからないが、男性(50代ぐらいのおじさん?)と思った。
どうやら、正座しているようだ。
おじさんは怒っているらしく、何やらブツブツと唱えている。
そのうち、私が見ていることに気がついたのか、おじさんと目が合ってしまった。
すると、正座したまま、ゆっくりとこちらに顔を近づけてきた。
耳元まで顔を近づけると、先ほどとは比べ物にならないぐらい大きな声で
怒鳴るようにブツブツと言い始めた。
「まったく…、お前らは…、いつも…」
ヒィー、もう勘弁してくれー
と思いながら、目をつぶり
般若心経の最初の方のフレーズだけ(しか知らない)を唱え続けた。
しばらくすると、金縛りが解け、恐る恐る目を開けると、おじさんはいなかった。
うーむ、「おじさん」というものは、幽霊になっても、愚痴っぽいらしい。
私も、気をつけなくちゃ