ウェブは資本主義を超える 「池田信夫ブログ」集成、電子政府におけるITゼネコン問題
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著者の『池田信夫ブログ』は、日本語のブログとしては、質量共に他を圧倒している感があります。
人気があるのは、こうした良質なブログに飢えている日本人が多いということなのでしょう。
池田氏は、本書で電子政府についても触れていますが、核心を突いた内容は、電子政府に携わるものとして心強いものです。
いわゆる「ITゼネコン」の問題は、情報システムの政府調達として、本ブログでも取り上げてきました。
関連ブログ>>情報システムに係る政府調達制度の変遷(1):安値入札がもたらしたもの
なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断するでも、電子自治体市場への外資参入をITゼネコンが妨害する様子が描かれています。
電子政府における「ITゼネコン」の問題とは、
・特定ベンダー(約4社ほど)による寡占
・IT知識の無い行政によるベンダー丸投げ
・過剰な囲い込みによる固定化とコスト高
・下請、孫請けIT企業の労働環境の悪化
・ベンチャー企業等の新規参入の障壁
・IT企業の競争力の低下
といった状況を意味しています。
例えば、
官庁>>外郭団体>>ITゼネコン>>下請IT企業>>孫請IT企業>>ひ孫請IT企業や個人
といった順番で仕事が流れ、下へ行くほど、取り分も少なくなり、労働環境も悪化していきます。
システムやデータを移行する際に、個人情報等が漏洩することがありますが、「ITゼネコン側で、ひ孫請IT企業までは管理できない」といった事情と無関係ではありません。
インフラやハードの調達・利用コストが下がり、ブロードバンド環境が当たり前となった現在、今までのような政府の情報システムは必要ありません。
だいたい、中央政府や自治体の業務なんて、どこも似たり寄ったりで決まっているのですから、各業務のシステムをオープンシステムで調達して、ソースコードも全て公開して、自由に利用・改変できるようにすれば、現在の何十分の一の費用で、もっと使いやすいシステムが作れるわけです。しかも、日々改良されて、外資や中小企業の参入も容易となります。
こんなことは、以前から識者が指摘していることなのですが、行政もITベンダーも、色々と理由をつけて(説得力のある理由は聞いたことがありません)、手を付けようとしません。
そんな国民の利益になることをしたら、先に挙げた流れ
官庁>>外郭団体>>ITゼネコン>>下請IT企業>>孫請IT企業>>ひ孫請IT企業や個人
における「官庁>>外郭団体>>ITゼネコン」の利益が無くなってしまうからです。
つまり、電子政府における「ITゼネコン」の問題とは、ITゼネコン(民間企業)だけの問題ではなく、官庁や外郭団体の問題なのです。
電子政府を良くしたければ、まずは行政改革や公務員改革に手をつけましょうということですね。
このあたり、新政権の動向が気になるところです。