国民IDと新しい電子政府(公共サービス)の進め方

国民IDは、上手に使えば電子政府を初めとした様々な分野の社会基盤となります。

今回は、作者が考える「国民IDと新しい電子政府の進め方」を紹介したいと思います。いちおう、海外の成功・活用事例等を踏まえての内容にしてあります。

提案する進め方には、大きく分けて、二つの段階があります。

一つ目は、「全ての国民が恩恵を受ける電子政府」で、もう一つは、「使った人だけが恩恵を受ける電子政府」です。

「使った人だけが恩恵を受ける電子政府」は、「全ての国民が恩恵を受ける電子政府」が実現していることを前提とするので、優先順位は「全ての国民が恩恵を受ける電子政府」の方が高くなります。

●全ての国民が恩恵を受ける電子政府

1)国民ID(社会保障番号・納税者番号等)の導入:番号で正確・迅速に住民を識別

2)住民データベースの統合(住民基本台帳、戸籍):自治体ごとの住民管理は非効率

3)国民IDと住民DBを核とした情報連携の実現:民間との連携も視野に入れて

4)情報連携による手続・事務処理の最小化:電子化の前に「廃止・省略」を徹底

5)手続・事務処理の最小化に応じた公務員の削減:情報連携の効果を国民に明示

今後の電子政府では、国民から信頼・支持を得るためにも、「公務員の人数や人件費削減」を重要な「成果指標」として設定することが避けられないように思います。また、「廃止・省略された手続数」も、「成果指標」として有効でしょう。

●使った人だけが恩恵を受ける電子政府

6)政府が保有する情報の公開と二次利用の促進:イノベーションやビジネスの機会に

7)ニーズと費用対効果を考慮したサービスの創出:民主導の新しい公共サービスへ

8)国民によるサービスの利用とより良い暮らしの実現:使うか使わないかは、本人次第

今後の電子政府では、「できる限り税金を使わずに、公共サービスの質を改善する」という方向へ進むのが良いと思います。「新しい公共」を実現する資金と人材の確保を支援することが、電子政府の重要な役割となるでしょう。

いずれにせよ、電子政府の目的が、最終的には「国民の生活をより豊かなものにする」であることに変わりはありません。

日本という国が、老若男女、多くの国民にとって住み良い社会となることを切に願います