新年のご挨拶2011、日本政府は本格的なデジタル社会への移行を模索できるだろうか

遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い致します。

録画していたダウンタウンの笑ってはいけない24時間も、無事に視聴完了。ノーマル再生スピードでバラエティ番組を楽しめるのは、お正月の幸せなひと時でございます。

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クリエーター情報なし
よしもとアール・アンド・シー

さて、今年は日本も色々と動きそうな気がします。

まあ、毎年同じようなことを言ってる気もしますが、火山の噴火や大地震が起きる前のように、エネルギーが貯まっていく感は高まっているかと。

電子政府について言えば、次の段階へ進もうと、世界各地で様々な試行錯誤が行われ、その成否が問われつつあります。

それは、「公共情報の連携」であったり、「市民中心サービス」であったり、「本格的なデジタル社会(情報知識社会)への移行」だったりします。

電子政府が発展していく中で、「国家としてのあり方」や「国としてのITガバナンス」が問われてきています。

都市国家型の小国、独立後の歴史が浅い小国などが、国民と政府が危機感を共有する中で、本格的な電子政府やデジタル社会への移行を試行錯誤しながら進めています。

そして、そうした社会実験的な試みは、電子政府サービスのランキングなどの結果に表れてきています。

IT立国エストニア―バルトの新しい風
前田 陽二,内田 道久
慧文社

他方、苦戦するのが人口5000万人以上を擁するような大国です。

国民の過度なプライバシー意識などにより、公共情報の連携や積極的な利活用が進まず、電子政府が停滞期や手詰まり感に入ってしまっている国々です。米国でさえ、電子政府に関しては求心力を失いつつあります。

こうした大国が、小国と同じようなアプローチでデジタル社会へ移行することは難しいでしょう。特に「機動性・移動性・流動性」に劣る大国は、新しい電子政府先進国グループとの差が急速に拡大していくことが予想されます。両者の間には、スピード感の差があるからです。

関連ブログ>>日本の電子政府が良くならない本当の理由(5):日本の競争力は20位、もはや二流国

作者が、日本の電子政府にとって必要なのは、「公務員改革」と「地方分権改革」と考えているのは、こうした世界的な動きを見据えてのものです。

関連ブログ>>電子政府の次世代戦略マップ、新しい日本を作る基盤としての電子政府へ

●日本は本格的なデジタル社会へ移行できるか

日本の現状を考えると、本格的なデジタル社会への移行は難しいと言わざるを得ません。共通番号制度の導入も、期待していた効果を上げられないまま負の遺産化してしまう可能性は、まだまだ高いでしょう。

とは言え、「電子政府コンサルタント」と言っている以上は、何らかの解決策を提案できなければいけません。

今できることとしては、政府CIO体制の確立だったり、電子政府推進法(基本法)などが考えられます。

しかし、これらは電子政府全体の戦略マップの中では、ほんの小手先手段でしかあり得ません。より重要なのは将来を見据えた国の形を描き、本格的なデジタル社会への移行を支援する制度設計を考えることです。

本格的なデジタル社会への移行を支援する制度設計とは、例えば次のようなものです。

1 デジタル社会に対応した「公共情報の利活用権」を確立させる
2 情報利活用を推進するための個人情報・プライバシー保護制度を整備する
3 公共データベースの管理体制を「国民の権利と義務」の視点で再構築する

国の責任で行うべきことは、国民や自治体が公共情報を利活用して、サービスやビジネスなどの新しい価値を生み出しやすくなる環境を整備することです。

より具体的に言えば、政府のトップが強力なリーダーシップを発揮して、

1 国と自治体と国民が一致協力して行うべきこと(バラバラや縦割り不可)
2 地域や自治体、国民や企業が自由競争の中で創意工夫しながら個性を発揮していくべきこと

の分類を、国民や自治体に対して明確に提示して、確実に実行していくことです。

テクノロジーの進化と共に、グローバル化、ネットワーク化、クラウド化が進んでいく中で、デジタル社会への移行を日本が拒絶することはできません。特に子供達の将来を考えれば、なおさらのことです。

今年も、「電子政府」という視点で、社会や政府を見ていきたいと思います。