社会保障・税に関する番号制度についての基本方針(5)、番号制度だけでは問題を解決できないけれど
社会保障・税に関する番号制度についての基本方針(4)、不正行為が起きることを想定した制度設計をの続きです。
●番号制度構築に際しての留意点
・番号制度は、既存の事務や業務そのものの見直しを可能とする基盤になる
・番号制度を活用して、業務のあり方の見直しに取り組んでいく
・システム最適化も併せて検討していく
・バックアップ体制やバックアップシステムを整備する
・不具合発生時に手作業等で対応できる範囲内の業務等を想定した制度設計とする
★作者コメント
行政の事務で重要なのは、事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント (BCM) と思います。これは、政府クラウド活用でも重要になる考え方です。
例えば、番号を「見える番号」「人が目視で理解できる番号」とすることで、手作業等への対応が容易となり、災害発生時の事業継続という観点からは好ましいと言えます。
冗長性や疎結合といった考え方も、事業継続性の向上に有効でしょう。
「既存の事務や業務そのものの見直し」は全くその通りと思います。番号制度を生かすも殺すも、制度導入をきっかけとして、どれだけ「既存の事務や業務そのものの見直し」ができるかにかかっています。
(3)「番号」で何ができるのか
・番号は、社会保障と税分野の利用場面を想定して制度設計を進める
・必要な範囲において、「番号」を利用できる者を特定する
・地方公共団体の意見等を参考にして、利用場面の拡大を目指す
●できることの構成
1.社会保障分野でできること
2.年金分野でできること
3.医療分野でできること
4.税務分野でできること
5.申請・申告等の負担が軽減できるもの
5-1 給付等の申請
5-2 自己負担割合・自己上限負担額の決定
5-3 国税・地方税の申告等
★作者コメント
「番号で何ができるのか」は、議論があるところです。なぜなら、「番号が無ければできないこと」を証明するのはとても難しいからです。つまり、どんな活用事例であっても、「それなら番号が無くてもできるよ」と言われてしまうのです。
しかし、「それなら番号が無くてもできるよ」と言う人たちは、実際の成功例を持っているわけではなく、机上の空論の域を出ていません。これに対して、多くの先進国では、番号制度を前提とした社会システムが構築され機能しています。
「中央政府や自治体が現実に抱える問題に対して、番号制度があることを前提とした場合、どのような解決方法が考えられるか」という視点が大切でしょう。
次回から、各活用例を詳しく見ていきたいと思います。