番号制度の推進体制と検討状況
社会保障・税に関わる番号制度は、次のような体制の下で検討・推進しています。
(1)内閣官房:社会保障改革
社会保障改革や番号制度については、内閣官房を中心として関係省庁が連携・協力しており、専用ホームページも内閣官房のサイト内に設置されています。
政府・与党社会保障改革検討本部は、番号制度の根拠になる社会保障改革の検討本部です。内閣総理大臣が本部長で、本部長代理を内閣官房長官や社会保障・税一体改革担当大臣が務めます。その他、関係省庁の大臣、政府・与党の幹部などが構成員となっています。
政府・与党社会保障改革検討本部において、「社会保障・税番号大綱」や「社会保障・税に関わる番号制度についての基本方針」などが決定されました。
野田政権内閣では、「検討」の文字が取れた「政府・与党社会保障改革本部」へ移行したようです。
番号制度については、内閣官房サイト内の専用ホームページから情報発信しています。
特に重要で中心的な役割を担っているのが、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会です。実務検討会は、政府及び与党における社会保障改革の検討事項のうち、「社会保障・税に関わる番号制度の導入」を検討するために設置されました。
社会保障・税一体改革担当大臣が座長を務め、座長代理は内閣官房長官の指名する内閣官房副長官となっています。その他の委員は、内閣府副大臣、総務副大臣、法務副大臣、財務副大臣、厚生労働副大臣、経済産業副大臣、内閣府大臣政務官で、事務局長は内閣官房参与となっています。関係省庁のある程度実務がわかる政治家が参加しているようです。
番号制度創設推進本部は、主に広報活動を担当しています。番号制度については、幅広く国民運動を展開し、国民にとって利便性の高い社会が実現できるように、国民の理解を得ながら推進することが重要という考えに基づいて設置されました。
これまでの活動として、全国47都道府県における「番号制度リレーシンポジウム」の開催などがあります。2011年には「番号」名称の一般公募(PDF)を行い、個人に付番する「番号」の名称は「マイナンバー」に決まりました。
番号制度における個人情報保護や情報システム等の技術的な内容を検討しているのが、個人情報保護ワーキンググループと情報連携基盤技術ワーキンググループです。どちらのWGも、番号制度だけでなく「国民ID制度(内閣官房IT担当室で検討)」も対象としています。個人情報保護ワーキンググループの下には、情報保護評価サブワーキンググループがあります。
この他にも、情報連携基盤技術ユーザーサブWGや社会保障分野サブWGなどがありますが、そこでの検討状況等については積極的に公開されていません。
両WGの成果は、マイナンバー法や整備法案、関連ガイドライン、情報連携基盤等の関連システムの調達仕様等に反映されていきます。
社会保障・税に関わる番号制度に関する検討体制図
出典:社会保障・税に関わる番号制度について(政府説明資料:PDF)
(3)関係省庁における検討・推進体制
番号制度は全ての省庁や自治体に関係するものですが、特に関係が深い省庁では、番号制度(国民ID制度を含む)について独自の検討を進めています。
番号制度と関係が深い省庁は、次の通りです。
・総務省(自治体対応や付番管理、ICカード等)
・法務省(法人番号等)
・財務省(税分野における番号利用)
・厚生労働省(社会保障分野における番号利用)
・経済産業省(番号制度の民間活用等)
社会保障・税番号制度の法律事項に関する概要(案)では、次のように整理されています。
・番号制度に関する法律(マイナンバー法)の所管は内閣府
・個人番号の通知等及び番号カードの所管は総務省
・法人番号の通知等の所管は国税庁
・情報連携基盤の所管は内閣府及び総務省の共管
具体的な動きとしては、総務省における番号制度に係る地方税務システム検討会や地方公共団体における番号制度の活用に関する研究会などがあります。
番号制度の導入が進むにつれて、関係省庁の動きも活発になることが予想されます。