アイデンティティと暴力: 運命は幻想である

アイデンティティと暴力: 運命は幻想である
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勁草書房

本書のアイデンティティは、ID(アイデンティティ)連携とかとは異なる、もう少し広い概念的なお話し。

アイデンティティは与えられたものではなく、理性によって「選択できる」として、「選択できる」ことの重要性を説いています。

アイデンティティを「自分を支えてくれるもの」と考えた場合、一つのアイデンティティに依存するのは危なっかしいので、選択し変更しながら、いくつものアイデンティティと付き合っていく方が健全でいられるように思います。

今後の日本では、公務員改革が進められると思いますが、「公務員」という社会的(職業的?)アイデンティティを与えられたものと考えるか、それとも、自分がどんな「公務員」になるか公務員自身が選択できるかといったことは、けっこう重要と思います。

また、どのような「日本人」でいるか、子供たちの将来を考えて、どのような「大人」として行動していくかも、なかなか難しいところです。

日本の経済や財政が厳しくなっていくほどに、高齢者と若者、公務員と民間などの間にある「対立」が激しくなっていくことでしょう。

そうした中で、本書で語るセンのような考え方に触れておくことは、改めて大切と思うのでした