番号制度の所管と組織

番号制度の所管については、制度の検討段階と導入・運用段階とに分けて考えると良いでしょう。

(1)検討事務局

番号制度の推進体制と検討状況で整理したように、番号制度の検討は内閣官房を中心に行われています。

その中心は、内閣官房の社会保障改革担当室です。これに、政府が進めるIT戦略の流れから来ている「国民ID制度」を担当する内閣官房IT担当室が加わり、社会保障改革担当室とIT担当室が共同事務局(事務局長:峰崎内閣官房参与)を設置しています。

体制図(情報連携基盤技術WGより)


情報保護評価サブWG追加後の体制図
社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会

(2)番号制度の所管と役割分担

検討段階では、様々な組織が連携・協力していますが、法律を根拠とした制度として確立するためには、正式な所管を定めた上で、関係省庁において役割分担を明確にする必要があります。

社会保障・税番号制度の法律事項に関する概要(案)では、次のように整理されています。

・番号制度に関する法律(マイナンバー法)の所管は内閣府
・個人番号の通知等及び番号カードの所管は総務省
・法人番号の通知等の所管は国税庁
・情報連携基盤の所管は内閣府及び総務省の共管

情報連携基盤の所管大臣、国税庁長官、市町村長及び機構は、マイナンバー法の施行の日前においてもマイナンバー法の事務の実施に必要な準備行為をすることができる。

とありますので、マイナンバー法が成立した後は、番号制度の所管である内閣府を中心として、各省庁が定められた役割ごとに導入準備を進めていくことになるでしょう。

(3)第三者機関の所管

番号制度を監視・監督する役割を担う第三者機関の名称は、「番号情報保護委員会」となる予定です。番号情報保護委員会は、いわゆる「3条委員会」で内閣総理大臣(内閣府)の所轄に属します。

制度の本格的な導入・運用に先駆けて、2013年頃の設置を予定しています。

(4)市町村長など自治体の役割

市町村長は、住民の個人番号を定め、書面により通知します。住民からの申請があれば、番号カード(住基カードの改良版を予定)も交付します。住民票コードや住基カードに関する市町村の役割と、ほぼ同じですね。

個人番号の通知等及び番号カードの所管は総務省であり、国の責任で実施されることを明確にすることからも、個人番号の通知、変更等の市町村長が処理する事務は「法定受託事務」とされています。

社会保障・税番号大綱では、番号生成機関として、地方共同法人(地方公共団体のガバナンスが強化された特別の法律に基づく法人)が出てきましたが、2012年1月現在、マイナンバー法におけるその位置づけについては明確になっていません。

地方共同法人は、住民基本台帳法に規定する指定情報処理機関を基礎とした団体を想定しており、具体的には「自治体+地方自治情報センター」=「公的個人認証サービスなども担う新しい団体」を想定しています。

地方共同法人については、総務省の利権(天下り等)とも関係が深いので、法律が制定されるまでにもう少し議論がありそうです。

(5)マイ・ポータルの所管と運営機関

社会保障・税番号制度の法律事項に関する概要(案)では、マイ・ポータルの所管と運営機関について定めていませんが、社会保障・税番号大綱には、「マイ・ポータルの運営機関は、情報連携基盤の運営機関と同一の機関とする。」とあります。

情報連携基盤の所管は内閣府及び総務省の共管となるので、マイ・ポータルの所管も内閣府及び総務省の共管であり、運営機関については内閣府及び総務省が定めることになりそうです。

政府の総合的な行政ポータルサイト「電子政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)」が、総務省行政管理局によって運営されていることを踏まえると、マイ・ポータルの運営も、総務省行政管理局などの行政機関が行い、実際の運用は民間に委託するといった形になることが予想されます。

その上で、マイ・ポータルが備える各機能について、民間サービス等との連携を進めていくことになるでしょう。