これからの電子政府を考える、「国民や公務員の痛みを伴う電子政府」にはオープンガバメントが欠かせない

電子政府の施策では、実施後のフォローが大切です。

ということで、これからの電子政府を考える観点から、たまには本ブログでも過去の投稿を振り返ってみたいと思います。

2010年05月16日:新たな情報通信技術戦略から読み解く、日本の電子政府はどうなる?

ここでは、短期・中期の視点で日本の電子政府がどうなるかを予測しました。

2010年度:政府の覚悟が試される時期
2011-2012年度:関連法案の提出で、各種施策が具体化する
2013年度:具体的な成果が求められる時期
2014年度以降:虚しさだけが残るか、それとも…

現在までは、割と順調に進んでいますが、やはり番号制度の成立がポイントになりそうです。併せて政府CIO制度の早期確立も望まれます。

これから具体的な成果につなげていけるか、国民全体で注視していきましょう。

2010年01月08日:海外におけるオープンガバメントの取組、今こそ電子政府の役割を見直そう!

ここでは、「社会の転換期を迎える日本では、そろそろ電子政府の役割を見直した方が良いでしょう。」と提案しています。

■今後の電子政府の役割

1. 政府の透明性を高め、政治と行政への信頼を取り戻す
2. 国民参加を促進し、民主主義の成熟度を高める
3. 改革を支援し、改革後の制度を支える基盤となる

・「行政サービスの改善」や「行政事務の効率化」を第一目的としない
・「ハコモノ電子政府」を繰り返さない
・「行政サービスの改善」や「行政事務の効率化」は、改革や政策を実現した成果と位置づける

先日、ツイッターで「ニュージーランドは隠れ電子政府推進国」と書きました。

その理由の一つは、行政改革を断行し「小さな政府」になったからです。

改革は痛みを伴うもので、改革後もプラスの面を広げ、マイナス面を少なくする調整が必要となります。ニュージーランドの行政改革に対しては賛否両論ありますが、少なくともインターネットを前提とした本格的な電子政府を進める前の1980-90年代に、一通りの行政改革を済ませられたことは、非常に幸運だったと思います。

日本の電子政府でも、ようやく「電子化の前に業務の見直し(廃止を含む)」が建前ではなくなってきましたが、本格的な行政改革については、まだまだこれからといった段階で、その実現可能性については厳しい状況にあります。

2010年01月23日:国家戦略としての電子政府を、電子政府はICT政策ではなく行政改革そのものである

ここでは、電子政府の役割見直しに続けて、「電子政府はICT政策ではなく行政改革そのものです。」と訴えています。

・「行政改革」を伴わない電子政府ほど、無駄なものはない
・行政改革が本格的に動き出しそうな時こそ、本来の電子政府を実現するチャンス

そして、

・税や社会保障の制度を変える中で、必要なものには投資する。
・政策の変更はもちろん、政権交代があっても資産として残るものには継続的に投資する。
・税金を使わずに済む方法(民間・海外の人やお金を呼び込む等)を考える

といった方向性が出てきたら、日本の電子政府にも光が見えてくるでしょうと書きました。

日本でも、さすがに「やばいだろう」という雰囲気が強くなり、社会保障・税の一体改革や公務員制度を含む行政改革が現実化しつつあります。

こうした傾向は、電子政府にとっては好ましいことです。

2010年11月25日:「電子政府で新しい行政サービス」の余裕など無い、「必要」に迫られた電子政府がやってくる

ここでは、これまでのように「電子政府で夢を語っていられた時代」が終わり、電子政府が「必要」に迫られて実施されることになると予測しています。

「ITを最大限に活用して、できる限り仕事を自動化・効率化していかないと、最低限の行政サービスさえも維持できなくなる」ということです。

「必要に迫られた電子政府」は、「国民や公務員の痛みを伴う電子政府」にならざるを得ないのですが、そうした痛みを共有することで緩和するのがオープンガバメントなのだと思います