ダニエル・カーネマン心理と経済を語る

ダニエル・カーネマン心理と経済を語る
クリエーター情報なし
楽工社

行動経済学は、まだまだ発展途上と思いますが、どちらかと言えばとっつきにくい経済学に、心理学的な要素が加わることで、より多くの人々の関心を集めやすくしてくれる効果があると思います。

人は基本的には合理的な行動を取ろうとするのだけど、実際にはそう上手くはいかず、色んな心理的要素が働いて、客観的に見れば愚かと思える行動をとってしまう。

そんな考え方は、自分の行動に置き換えてみても、多くの人が共感できるのではないでしょうか。

大事なことは、自分から見て「あの人は、なんであんな訳がわからないことをするんだ!」と一方的に思い込まずに、少なくともその人にとっては合理的と思える判断があっての行動であると認識した上で、その対応策などを考えたりすることだと思うのですが、自分の未熟さもあって、ついつい「まったく、信じられない!」と思っちゃうのが常なのであります

電子政府を考えてみても、民間等の視点からすると、どうにも不可解なサービスができあがってしまうことがありますが、元をたどって経緯を観察してみると、そんなサービスができてしまったのも、ある意味仕方が無いと思ってしまいます。

本書の後段でカーネマンが提唱する「不快指数」などは、電子政府サービスを良くするためだけでなく、行政改革などでも使えそうです。

「公務員が取ってしまう行動」を考えても、その行動を取らないことで、どのような不快を感じてしまうのかを明らかにすることで、問題の本質が見えてくるかもしれません。

しかし、問題の本質が見えれば見えるほど、その解決の難しさを感じてしまうのが、今の日本なんですよね