電子政府サービスの利用と利用者IDの関係、決め打ちせずにあるものを最大限に活用する

LV: Services of Latvija.lv portal now available via online banking at a fifth bankによると、ラトビア共和国の電子政府ポータルでは、新たに5つの民間金融機関と連携して、オンラインバンキングの利用者が電子政府ポータルにもアクセスできるようにしたそうです。

オンラインバンキングの利用者を電子政府ポータルに誘導する施策は、欧州等で良く見られるものです。オンラインバンキングと電子政府サービスには確かに類似性があり、サービス連携に馴染みやすいという面があります。

しかし、より重要なのは「既に普及しているオンラインサービスの利用者eID(IDアカウントとパスワードなど)を活用する」という視点です。

つまり、一定の基準を満たした本人確認を行っている利用者eIDであれば、電子申請や電子申告など本人確認が必要な電子政府サービスも民間サービスと同じように利用できるようにすることで、敷居を下げて使いやすくすることが大切なのです。

日本の場合、オンラインバンキングの他には、楽天やヤフーといったショッピングやオークションで使われている利用者eIDを活用することが考えられます。携帯やスマートフォンによるソーシャルサービスの利用者eIDにも可能性が在ります。高齢者が増えることで健康志向が高まり、一定の本人確認を前提とした健康・医療のオンラインサービスが普及すれば、そこでの利用者eIDを活用しても良いでしょう。

重要なのは、「国民や市民が日常的に利用する手段により、電子政府サービスを利用してもらう」ことであり、利用者に選択肢を提供し、一定のルールの下で民間企業との連携を進めることです。

間違っても、「個人番号カードだけ」「公的個人認証サービスだけ」といった「行政視点の決め打ち」だけはしないようにして欲しいと思います。