つぶやき電子政府(2015年8月23日):個人番号カードが官民共通のインフラになるためには

個人番号カードの普及に向けて、政府が力を入れています。住基カードが期待されるほど普及しなかったことの反省を踏まえて、初年度(2016年3月末まで)で1000万枚の目標を立てているようです(具体的な計画や責任者等は不明)。
 
自治体における「マイナンバーの独自利用」は、そのほとんどが「既存の業務を継続するため」ですが、個人番号カードの利用についても、そのサービス内容を見る限りは「住基カードの引継ぎ」であると言えるでしょう。
 
個人的には、個人番号カードは15歳以上の国民・住民に取得を義務付けて、官民共通の身分証明書としての地位を制度として確立するのが良いと考えています。そうすれば、住基カードのように「一部の民間サービスで本人確認書類として認められない」といったことも無くなります。

エストニアには、身元証明や身分証明書に関する法律「Identity Documents Act」があり、公的な身分証明書と認められるための要件が明確になっています。

具体的には、

・政府機関(state authority)が発行すること
・名前、生年月日、国民ID番号の記載があること
・本人の顔写真があること
・本人の署名があること

となっており、かなりシンプルな要件です。

エストニア政府が発行する「国民IDカード」は、この法律に定められた「身分証明書としての要件を満たしていること」が保証されるので、官でも民でも身分証明書として認められるのですね。

 
諸外国の例を見ても、5-7年ぐらいの計画を立てれば、日本の全国民・住民に対して、対面による適切な本人確認を行った上で配布することができるでしょう。
 
取得義務化の無いまま、とにかく枚数を増やすことに執着するあまり、個人番号カードの信頼性が低下することがないよう祈るばかりです。
 
個人番号カード総合サイト
メリットいっぱい個人番号カードと。カードの申請方法は、
① 郵送による申請
個人番号カードの申請書にご本人の顔写真を貼り、返信用封筒に入れて郵便ポストへ
② スマートフォンによるWEB申請
スマートフォンで顔写真を撮影し、所定のフォームからオンラインで申請
関連>>個人番号カードについて|総務省
 
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令第二十条ただし書の規定に基づき総務大臣の定める方法を定める件(仮称)を制定する告示案に対する意見募集
平成27年8月18日   平成27年9月18日(金)12:00(必着)
個人番号カードの交付申請書の提出について「署名又は記名押印を要しない方法」として、
(1)QRコードを用いてスマートフォン、証明写真機等から申請(送信)する方法
(2)地方公共団体情報システム機構のホームページから、交付申請書番号(申請書ID)を入力して申請(送信)する方法
を定めると。
関連>>個人番号カード総合サイト/個人番号カード交付申請
個人番号カード リーフレット(PDF)
 
 
 
【26カ国語対応】日本に住民票がある外国人の方へ、マイナンバー制度の周知文を26カ国語で作成しました。
マイナちゃん、26カ国語の勉強、大変だったでしょうね。
 
マイナンバー制度の開始に伴う居所情報の登録について(DV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者の方向け)(PDF) 警察庁 総務省
やむを得ない理由により住民票の住所地で受け取ることが出来ない方は、居所情報登録申請書を、「平成27年8月24日から9月25日まで」に住民票のある住所地の市区町村に持参又は郵送してくださいと。各自治体でも告知が始まっています。
やむを得ない理由により、住民票の住所地で「通知カード」を受け取れない方へ│大津市
鹿児島県奄美市/マイナンバー制度の開始に伴う居所情報登録申請について
関連>>総務省|マイナンバー制度と個人番号カード
東日本大震災の被災者、DV等被害者の方は、今お住まいの居所のある市区町村に出向き「個人番号カード」の交付申請ができます。
 
 
年金機構「旧社保庁より悪化」 情報流出で検証委指摘へ 
人事構造にゆがみ、意思疎通が不足
政府は10年に旧社保庁を年金機構に衣替えして立て直しを図ったが、三層構造は残った。さらに移行後に採用した職員との融合も進まず、「四層、五層構造になった」と。
日本年金機構ほど大きくなり過ぎた組織を改革することは、ほぼ不可能であり、わざわざ税金を使って維持・改革する必要はないでしょう。速やかに、透明性が高く適切なガバナンスが働く組織を設計・設立し、段階的に日本年金機構の業務を新しい組織へ移行(一部は民間企業へ委託)していくことをオススメします。
 
情報通信技術(IT)関係施策に関する平成28年度戦略的予算重点方針(PDF)
平成27年8月7日 内閣情報通信政策監
改定された「世界最先端IT 国家創造宣言」と「工程表」を踏まえ、政府全体の戦略的な IT投資を実現するための予算方針。
・情報システム整備における業務改革(BPR)の徹底
・情報システムの統廃合・集約化の推進
・運用コスト削減に向けた取組の強化
・投資の重点化及び投資対効果の明確化
・地方公共団体等情報システム整備・運用の効率化の推進
・適切かつ効果的な連携体制の確立 など
 
ニュースにならないほど日常化–中国の身分証番号に伴うトラブルの数々
利用者の写真と顔をチェックして番号を留めればいい対面式のサービスであれば、ニセの身分証で申し込めてしまう。また電話やインターネットで顔チェックなく登録できるサービスなら、ニセの身分証を用意する必要もない。画面に漏えいした他人の身分証番号を登録するだけでサービスが通ってしまうと。適切な本人確認手段が確立していない番号制度は、混乱のもとですね。
 
セキュリティ人材の確保に関する研究会(第1回)
セキュリティ関連人材の実践的な能力を客観的かつ継続的に保証できるような制度の検討を行う研究会(非公開、資料は公開)。情報処理技術者試験など各種試験の概要、資格登録制度など。
 
自治体情報セキュリティ緊急強化対策について
~自治体情報セキュリティ対策検討チーム 中間報告~(PDF)
平成27年8月12日 総務省地域力創造グループ
3回の会合を経て中間報告を発表。組織体制の再検討、職員の訓練等の徹底、インシデント即応体制の整備、インターネットのリスクへの対応、総務省の役割など。財政や人材の格差が大きい個々の自治体に対応を求めるのには限界があるので、データガバナンスを見直して、全国の自治体に散在する個人情報を分野別に集約し、国が責任を持って分散管理するべきでしょう。
関連ブログ>>デジタル社会に向けた抜本的な法制度改革とは
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マイナンバー見据え専門人材組織化で自治体のサイバー攻撃対策支援
 
「マイナンバー商戦」はここまで沸騰している
行政手続が面倒で複雑であればあるほど、行政書士や社会保険労務士など士業のビジネスモデルは安泰なのですが、マイナンバー制度が面倒で複雑であればあるほど、マイナンバー商戦は大いに盛り上がり、制度の運用開始後も、安定した収益をもたらしてくれることでしょう。
 
郵政3社、11月同時上場へ NTT以来の大型公開
郵政グループの収益が成長する余地は限られているのが現状。本業である郵便・物流事業は赤字が続いている上、グループ収益の約8割を占めるゆうちょ銀行も金利低下で運用収益が減っていると。そもそも郵政グループが金融業務を行う必要は無いわけで、昔から政府の都合の良い財布であり、現在は官製相場の原資としての役割を期待されているのでしょう。