つぶやき電子政府(2015年9月7日):デジタル社会では、コンピュータが「主」で、人が「従」になる

生活保護制度適正化検討部会報告書(PDF)
2015.8.20  NPO 法人 EABuS
生活保護制度の現状と課題がわかる報告書。生活保護制度における情報連携と共有を実現するためには、各関係分野でのマイナンバー導入が必須であるとしています。提言の骨子は次の通りです。
 
提言1 マイナンバーによる関係機関・団体への保護要件調査範囲の更なる拡大を図る 
提言2 福祉事務所のチームプレーおよび福祉事務所間、官民関係機関、支援団体等との協業の実現
提言3 ケースファイルや面接記録等被保護者情報の生活保護施策等への活用
提言4 自立就労の具体的インセンティブの導入
提言5 被保護者に関する就業支援体制の一本化
 
 
学校の先生もそうですが、生活保護制度でも、担当職員の過度な「多能工」化が、業務効率や透明性の低下、担当者の疲弊などを引き起こしているように思います。
 
EABuS報告書にある「情報共有によるチームプレー」は、デジタル社会への対応としても、一つのヒントになります。
 
現在、クラウドソーシングのような形での分業が進んでいますが、これは通過点と言えるでしょう。
 
情報共有が進んだデジタル社会では、基本的な作業はコンピュータによる自動処理となります。現在は人が行っているようなコーディネータ(調整役)をコンピュータが行い、どうしてもコンピュータだけでは処理できない作業のみ、その作業に適した人へコンピュータが割り当てます。コンピュータが「主」で、人は「従」という関係です。
 
もちろん、コンピュータが「主」で人が「従」となるのは、「ある業務を処理する」上でのお話しです。そのコンピュータよりも上位の立場で意思決定を行うのは、あくまでも「人」であり、人がコンピュータに支配されるといった話ではありません。
 
実例として、電子政府サービスの一つ「記入済み電子申告」があります。コンピュータが必要な情報にアクセスして、確定申告書を自動作成してくれるサービスで、コンピュータだけではできない「最後の内容確認」だけを「その作業に適した人(=申告者本人)」にお願いします。
 
デジタル社会への移行に伴い、「情報共有によるチームプレー」でも、チームを構成するメンバーは、コンピュータ(データベースとアプリケーション)の割合が多くなっていきます。
 
現在の日本では、電子政府を進めれば進めるほど、業務とそれに関与する人も増えて、業務処理時間は短縮しないし、コストも減っていないといった悪循環が目立ちます。
 
もしそうであるならば、その電子政府は間違った進め方であり、その延長線上に「デジタル社会への対応」は無いということです。
 
マイナンバー制度では、複数の組織間で情報連携を行うために、情報提供ネットワークシステムという新しいインフラを構築しました。しかし、情報提供ネットワークシステムの基本的な考え方は、「紙ベースで行っていた業務の電子化」を支援するというものであり、その延長線上に「デジタル社会への対応」はありません。
 
ある組織の職員が端末を操作して他の組織へ情報の照会を行い、照会先の組織の担当者が該当する情報を探して、照会元の組織へ情報を提供する。提供された情報を使って、職員が業務を処理する・・・
 
つまり、「コンピュータを主メンバーとするチームプレーによる業務の自動処理化」ではなく、「人海戦術による情報のやり取り」に過ぎないのです。
 
こうしたやり方を続ける限り、せっかくのマイナンバーも宝の持ち腐れになってしまうでしょう。
 

マイナンバー(社会保障・税番号制度)に関する世論調査(平成27年7月)
平成27年9月3日 内閣府政府広報室
全国20歳以上の日本国籍を有する者3,000人を対象に実施(有効回収数1,773人、回収率59.1%)。調査項目は、マイナンバー制度の認知度、マイナンバー制度に対する懸念、個人番号カードの認知度、法人番号の認知度、マイナンバー制度に対する期待など。
この半年で、認知度はかなり高くなったようです。
 
・内容まで知っていた 28.3% → 43.5% (増)
・内容は知らなかったが,言葉は聞いたことがある 43.0% → 46.8% (増)
・知らなかった 28.6% → 9.8% (減)
 
懸念については、国家による一元管理・監視よりも、不正利用による被害への心配が増えています。
 
個人番号カードの取得希望は回答者の約4分の1と、かなり高くなっています。 
 
・個人番号カードの取得を希望する 24.3%
・個人番号カードの取得を希望しない 25.8%
・現時点では未定 47.3% 
 

 
レセプト情報・特定健診等情報データベースシステムにおける収集・保存データの不突合の状況等について
平成27年9月4日 会計検査院
レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)で、特定健診とレセプトのデータ突合に不具合があることは、かなり以前から指摘されていましたが、会計検査院から意見が出たことで、メディアで広く報道されました。今回の意見にも、次のように書かれています。
 
厚生労働省は、遅くともこの24年2月の時点では、NDBシステムにおいて両データの不突合が生じている事態を把握していたことになる。しかし、当時、上記のような不突合が生じている原因について、被保険者の加入する保険者の変更等によるものではないかと推測したり、突合の精度には限界があると説明したりするなどしていて、事態の原因究明と改善に向けた調査等を速やかに実施していなかった。
 
国のデータベースに入る前に元データを匿名化処理するのであれば、マイナンバーや医療等IDのような重複しない識別子が必要ですね。
 
関連>>レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)について(PDF)
平成26年11月6日 厚生労働省保険局医療介護連携政策課 保険システム高度化推進室
28億円メタボ健診システム不備 データ8割活用されず
メタボ健診、効果測れず…患者情報システム欠陥
 
 
 
 
医療分野等ID導入に関する検討委員会 中間とりまとめ (PDF)
平成27年7月 日本医師会 医療分野等ID導入に関する検討委員会
内閣官房、総務省、厚生労働省、経済産業省もオブザーバー参加した検討会の中間まとめ。医療分野におけるマイナンバーの取り扱い、医療等IDの考え方、医療等IDの発番方法、医療等IDの記載・格納媒体、移行期の取り扱い、今後の検討事項など。
 
基本的な考え方は
1. 一人に対して目的別に複数の医療等IDを付与できる仕組みを検討する
2. 本人が情報にアクセス可能な仕組みを検討する
3. 情報の突合が可能な仕組みを検討する
4. 医療等IDに関しての法整備の検討をする
 
発番方法や記載・格納媒体なども含めて、世界に類を見ない仕組みですが、これらを実現するとなれば、「医療等ID特需」がやってくるのは間違いないでしょう。
 

 
軽減税率:代替案 給付金、酒除く食品対象 所得制限検討 財務省
毎日新聞 2015年09月06日 東京朝刊
政府は来年1月から交付を始めるマイナンバーカードを活用し、買い物の際にいったん10%の消費税を支払う一方、このカードを提示してもらうことで購入履歴を把握することも想定すると。普通に考えれば、中途半端な折衷案は止めて、給付付き税額控除の導入が良いでしょうね。
 
衆議院、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案を一部修正して可決、成立
2016年1月に「個人情報保護委員会」が発足し、新たな個人情報保護法を所管。マイナンバー法改正で、行政機関が預貯金口座や特定健康診査(メタボ健診)などの管理にマイナンバーを利用できるように。日本年金機構は一定の期間、マイナンバーの利用や特定個人情報の照会、提供を行わないと。
 

 
平成28年度内閣府重点施策について
歳入増に向けた取組
・マイナンバー制度を活用した徴税コストの削減
公共サービスのイノベーション
・マイナンバー利活用範囲の拡大
・個人番号カードの普及・利活用の促進
 
戸籍事務、旅券事務、さらには在留届など在外邦人の情報管理業務に加え、証券分野等において公共性の高い業務を中心に、マイナンバー利用の在り方等について検討を進め、必要な措置を講ずる。
 
平成28年1月から国家公務員身分証との一体化を進め、あわせて、地方公共団体等の職員証や民間企業の社員証等としての利用を促す。また、個人番号カードのキャッシュカード等としての利用やATM 等 からのマイナポータルへのアクセスの実現に向け、民間事業者と検討を進める。
 
個人番号カードを健康保険証として利用することを可能とするほか、印鑑登録者識別カード等行政が発行する各種カードとの一体化を図る。加えて、各種免許等における各種公的資格確認機能を個人番号カードに持たせることについて、その可否も含め検討を進め、可能なものから順次実現する。
 
マイナポータルにおいて年金・国税・地方税等に関する各種行政手続を一括的に処理できるようなワンストップ型サービスの提供をするとともに、ワンクリック免除申請の導入等を実施していく。また、源泉徴収票と給与支払報告書の様式・データ形式を統一化し、一括作成・提出を可能とする仕組を構築する等の取組を行う。
 

 
総務省のミッションとアプローチ2016 -2016年度総務省重点施策-
平成27年8月28日
I.地方創生と経済好循環の確立
II.くらしやすく・いきいきとした社会の実現
III.安心・安全な社会の構築
IV.未来につなぐ、行政基盤の確立
電子政府関連のアプローチとして
6.番号制度の円滑な導入と利活用の促進
12.行政のICT化・BPR推進と効率的で質の高い行政の実現 など
 
freee、35億円を調達–法人への導入が好調、営業や開発など100人採用へ
マイナンバー対応の簡便化や電子帳簿保存法への対応など、サービスの利便性を強化するための開発に注力する。マイナンバー対応については「単にマイナンバー管理をするだけでなく、給与計算や会計とシームレスにする」と。
 
川崎市:中学生死亡事件に係る庁内対策会議の報告について 2015年8月25日
ニュース等では取り上げられませんが、再発防止の観点からは、こうしたフォローアップこそ大切ですね。
・ 子どもにとって、安心して過ごせる場所をさまざまな形で提供できるまちづくりが望まれる。
・ 居場所とは単に空間的な場所を指すだけでなく、場において安心して結べる人間関係をも指している。子どもの居場所にいる大人が居場所について正しく理解し、子どもと向き合える意識を高めることが必要であると。 
 
SGI 2015 Survey: evidence-based country comparisons
持続可能な統治指数(SGI:Sustainable Governance Indicators)の調査レポートが出ています。各国における政策の実行力・実績(Policy Performance)、民主主義の質(Democracy)、統治能力(Governance)を評価するものですが、日本の評価は総じてあまり高くありません。上位の国は、スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国、スイス、ドイツなど。エストニアも、政策や民主主義ではトップ10に入っています。
 
国会前デモは、そもそも『デモ』ではなかった?!
定められた法律・ルールの元で権利は行使されるべき=公道を使いたいなら、きちんとデモ申請すべしと。
 
「医薬品産業強化総合戦略~グローバル展開を見据えた創薬~」を策定
平成27年9月4日
骨太の方針2015も踏まえ、「後発医薬品80%時代」において、「国民への良質な医薬品の安定供給」・「医療費の効率化」・「産業の競争力強化」を三位一体で実現するための医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な戦略であり、「革新的医薬品・医療機器創出のための官民対話」等での関係者の意見も踏まえて策定。
 
「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」提言取りまとめ
医療保険財政の節減に向け、医療の質を落とすことなく、患者の負担を軽減することが出来る後発医薬品が医療現場に安定的に供給され、使用されることが重要と。
「トレーサビリティ確保を図る観点から、まずは変動情報を含んだ新バーコード表示を行ったうえで、最終的には全ての医療用医薬品に対する強制力のある措置に基づく必須表示とするなど、適切な流通を確保する等の方策を考えてはどうか」といった意見も。
 
平成26年度 医療費の動向-MEDIAS-
平成26年度の医療費は、前年度に比べて約0.7兆円増加し、40.0兆円(39.9556 兆円)に。診療種類別では、入院16.0兆円(構成割合 40.2%)、入院外13.8兆円(34.5%)、歯科 2.8兆円(7.0%)、調剤7.2兆円(18.0%)。
関連>>我が国の国民医療費の推移
 
スマートフォン連絡帳で園と保護者がリアルタイムコミュニケーション、政府への報告も便利に
韓国では、園内での子供の一日の生活記録と園から保護者への連絡事項を、スマートフォン・タブレットPC・パソコンで確認できるようにしたサービス「スマート連絡帳」が人気。韓国では保育士も保護者も100%スマートフォンを持っていて使い慣れているので、スマート連絡帳を導入する際に特に問題はなかったと。
 
個人番号の通知と個人番号カードの交付に関する事務処理について(PDF)
総務省自治行政局住民制度課
通知カード及び個人番号カードの様式等、通知カード・個人番号カード関連事務の委任等、個人番号の通知に関する事務処理、個人番号カードの交付に関する事務処理など。個人番号カードの申請時に本人が悩みそうなのは、「電子証明書の希望の有無」と「4種類の暗証番号の設定」でしょうか。
 
 
社員・職員のマイナンバーはどうやって集める?
企業などが従業員の本人確認を行う場合は、身元確認の書類を提示してもらう必要はない。入社時などに、運転免許証や顔写真付き学生証などで本人確認を済ませてあり、顔を見ることで明らかに本人であることを知覚できるなら、通知カードだけを持ってきてもらえばよい。
 
自治体情報セキュリティ対策検討チーム 中間報告
平成27年8月12日 総務省地域力創造グループ
組織体制の再検討、職員の訓練等の徹底、インシデント即応体制の整備、インターネットのリスクへの対応、総務省の役割など。
 
ウェブサービスに関するID・パスワードの管理・運用実態調査結果
平成27年7月30日 総務省
最終的に協力を得られた28社からの回答を集計。
・約9割のサービスで3種類以上の文字種をパスワードとして利用できる
・パスワードの最大桁数が12桁未満のサービスが約4分の1存在する
・パスワードのハッシュ化の実施率が低い
・同一IPアドレスからのログイン試行回数制限の実施率が低い
・2段階認証については約4割の導入
・リスクベース認証は3割以下の導入

“つぶやき電子政府(2015年9月7日):デジタル社会では、コンピュータが「主」で、人が「従」になる” に1件のコメントがあります

  1. 脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場

    アメリカの属国、つまり家来国家 日本! アメりカの洗脳広告代理店、電通による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、マスコミを使った偏向報道で、見事な国民洗脳をされ続ける日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! さらにネット洗脳システムのツイッターやフェイスブックの利用、まとめサイトには注意が必要である。 我々はハッ、と気付いて、常に注意深く、用心して、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!

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