つぶやき電子政府情報(2014年9月18日):個人情報保護法制の検討に米国やEUの専門家の参加を

国際水準との調和を急げ 鈴木正朝 新潟大学教授 :日本経済新聞
EU指令は、個人データの第三国への移転を、原則として「当該第三国が十分なレベルの保護措置を確保している場合に限って」認める内容だが、日本は改正大綱に定めた全ての事項を法改正したとしても、十分な水準に達することは極めて厳しいと。
 
個人情報保護法制の見直しにあたっては、具体的な目標を定めたチェックリストを作成し、国内外の専門家に評価・助言してもらう必要があると思います。特に、米国やEUの専門家の参加は必須で、国内の人材だけで議論しても、目的達成の実効性には限界があります。
 
規制が緩すぎる部分(ザルになっている)は規制を強化して、実効性の無い規制は廃止または代替措置を行い、EU指令・規則など海外の規制に対しては、粘り強く交渉して有利な条件(最低でも片務的にならない)を勝ち取る必要があります。
 
個人的には、次のようなことを整理して欲しいと思っています。
 
・プライバシー先進国とは、どんな国のことか
・目指すべき、お手本にするべき国はあるのか
・日本はプライバシー先進国を目指すのか
・EU内のどの国や人に対するアプローチが有効か
・EU指令・規則への対応は原則(EUの条件に合わせる)でいくのか、交渉による例外(米国式)を目指すのか
・個人情報の定義のグレーゾーン問題を解消するのか
・匿名化が十分と認めてもらえる基準や条件を明確にするのか
・再特定のリスクを低減する措置を定めるのか
・本人の関与をどこまで認めるのか
・本人の同意なくデータを第三者に提供できる条件を明確にするのか
・オプトアウト方式によるデータ提供を制限するのか(名簿業者の対応を含む)
・第三者機関の権限や機能を、どこまで強化するのか
・どのような条件で、日本から他国へのデータ移転を制限するのか
・1800の法律・条例が乱立する現状を解消するのか
 

 
第27回 特定個人情報保護委員会 2014年9月2日
特定個人情報保護評価書の特定個人情報保護評価指針への適合性・妥当性の審査(住民基本台帳ネットワーク及び番号制度関連事務全項目評価書)、地方公共団体における特定個人情報保護評価の実施見込み等について。
 
必要最小限の情報のみを保有すること、内部による不正利用の防止対策や不正アクセス対策を厳格に講じることを具体的かつ明確に特記事項として記載した上で個人のプライバシー等の権利利益に影響を与え得る特定個人情報の漏えいその他の事態を発生させるリスクを認識し、このようなリスクを軽減するための適切な措置を講じていることを確認の上、宣言していると。
 
 
 
 
 
地方公共団体等における特定個人情報保護評価の実施見込みでは、対象となる2,715団体のうち、実施時期を平成26年度中(27年3月まで)とするのが1,451団体ですが、1,035団体が実施時期を未定としています。
 
 
関連>>「特定個人情報保護評価書(全項目評価書)(案)」に関する意見募集の結果について(平成26年8月1日) 地方公共団体情報システム機構
山口県 税務課 特定個人情報保護評価・パブリック・コメント実施
尼崎市:マイナンバー制度導入にかかる特定個人情報保護評価(住民基本台帳事務における特定個人情報保護評価)
http://www.city.amagasaki.hyogo.jp/si_mirai/sprocess/public/pub_bosyu/031336.htm特定個人情報保護評価(PIA)実施に向けた準備作業について:日立コンサルティング
 

 
中間サーバー・プラットフォームの構築・運用業務 平成26年9月5日
「個人番号制度に係る公的個人認証サービスの文書審査業務委託」の入札公告
平成26年9月12日
個人番号カード交付申請書受付・発行及び発行管理業務等の入札公告 平成26年9月5日
マイナンバー関連のシステム調達も、そろそろ最後の追い込みでしょうか。
 
政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン(案)に対する意見
2014年9月2日 ウェブアクセシビリティ推進協会
新ガイドラインでユーザビリティは言及されているが、電子政府ユーザビリティガイドラインで記述されていたアクセシビリティに関する規定が欠落している。電子政府ユーザビリティガイドラインの制定後に成立し、2016年に施行される障害者差別解消法は、第七条で「行政機関等における障害を理由とする差別の禁止」を定めており、今の段階から、新ガイドラインでアクセシビリティへの対応について強調しておくことが適切であると。具体的提案が秀逸です。
電子政府サービスでは、企画や設計など初期段階から、「自分や家族・友人がこのサービス使ったら、どう思うか」を想像することが大切なのですが、アクセシビリティについても同じですね。
関連>>想像力の欠如? 盲導犬イジメや障害者ヘイトが頻発していた
「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン(案)」に関する意見募集
 
松本総務大臣政務官兼内閣府大臣政務官のカナダ、アメリカ訪問結果
平成26年8月12日
カナダ(トロント、オタワ)とアメリカ(サンディエゴ)に訪問。行政のICT化、政府情報システム・政府内ネットワークの統廃合、政府情報システム整備・推進の官民協力、秘匿情報の取扱い方法、テレワーク、無電柱化、災害関連情報システムなどについて意見交換したと。
関連>>総務省|大臣・副大臣・政務官
 
『人材不足分野等における人材確保・育成対策推進会議』取りまとめ
平成26年9月3日
労働・雇用分野でのマイナンバー利活用はあまり進んでいないのですが、今後の人手不足が予想される看護師等の有資格者の確保については、マイナンバーと資格者登録番号を紐づけて、最新の住所情報等を得ると共に、例えば「子育てが落ち着いた時期に、求人案内等をメールやハガキで通知する」といったことが可能になりますね。
 
 
「健康長寿社会」の実現を目指す! 健康・医療戦略:政府広報オンライン
平成26年7月22日に閣議決定された「健康・医療戦略」を、一般向けにわかりやすく紹介しています。2030年をメドに次のような社会を目指すと。
(1)効果的な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、老いることができる社会
(2)医療関連産業の活性化により、必要な最先端の医療等が受けられる社会
(3)病気やけがをしても、良質な医療・介護へのアクセスにより、早く社会に復帰できる社会
 
「きれいな謄本渡したかった」と言われても…戸籍謄本切り貼りした職員ら20人処分、京都
電子政府とは対極にある「紙文化」が起こした事件でしょうか。
 

 
医療等IDとは?
日弁連の情報問題対策委員会に配置された弁護士さんによる解説ですが、一部誤解もあるようです。
まず、今後の医療介護の情報連携や個人情報保護法制の見直しに現実的な実効性を持たせるためには、医療等IDについて、今のうちに具体的な結論を出してユースケースも検討しておくことが重要であり、決して時期尚早ではありません。
 
また、マイナンバー法で「個人情報保護影響評価」の実施が義務付けられているのは、「行政機関の長等」であり、一般の民間企業は対象外となっています。ですから、医療等IDがマイナンバーと結びついても、医療等IDを利用する病院や介護施設が「個人情報保護影響評価」の実施を義務付けられることにはなりません。国立・公立病院や私立の大規模病院であれば、義務化もありですが。
 
健康情報による差別問題については、米国の「健康保険及び雇用に関する遺伝子情報に基づく差別禁止法」などが参考になるでしょう。つまり、「差別が起きる可能性があるからデータを蓄積・利用しない」ではなく、「データを利用した差別行為を禁止する」というアプローチです。
 
社会保障費負担の増加や人口減少問題等が浸透する中で、プライバシーや個人情報保護の専門家であっても、「地域や組織を越えて個人を正確に識別できる番号」の必要性を否定する人は少なくなったと感じています。今後は、「どのように番号と付き合っていくか」、「どのようにプライバシー保護とのバランスを取るか」、「情報漏洩や不正利用等のトラブル防止や発生後の対応(被害の最小化・回復)をどうするか」といった、具体的かつ建設的な議論が進むことになるでしょう。
 
医療等IDの視認性については、個人的には、医療関連データの電子化が進んでおらず、完全デジタル化への移行期限も定められていない現状を考えると、医療介護分野においても視認性(マイナンバーのような「見える番号」)は必要と思います。その上で、医療・介護分野におけるデジタル化への移行が済んだ段階で、「見えない番号」への移行を改めて検討すれば良いのではないでしょうか。
 
関連>>米国の遺伝子情報差別禁止法(GINA)について(PDF)
厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等
 

 
マイナちゃんのマイナンバー解説
マイナンバー制度に関する基本的な疑問点にお答え。マイナンバーは一生使うものです。マイナンバーが漏えいして、不正に使われるおそれがある場合を除いて、番号は一生変更されませんので、マイナンバーはぜひ大切にしてくださいと。一般市民向けの説明も、少しずつ充実してきました。
 
社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)を紹介します
広報よこはま2014年9月号で、マイナンバー制度を紹介。自治体による一般市民向けのマイナンバー広報は、まだ珍しいですね。住民基本台帳カードは有効期限まで利用可能ですが、個人番号カードの取得を希望する人は、発行時に住民基本台帳カードを回収します(両方は所有できません)と。
関連>>横浜市総務局 社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)
横浜市の総務局しごと改革推進部しごと改革推進課では、平成26年9月1日から「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)のページ」を開設しています。内容は・・・まあこれからですね。
 
法務省☆キャラ☆グランプリ~初代H-1王者を決めるのはキミだ!~投票結果発表
初代H-1(エイチワン)王者は、青森地方検察庁の「あっぷり」に決定!
って、法務省だけでこんなにキャラクターがいるのね。。個人的には、奈良地方検察庁の「なっち」がツボ。
 
総務省所管独立行政法人の平成25年度業務実績評価 平成26年9月5日
情報通信研究機構、郵便貯金・簡易生命保険管理機構、統計センターの業務実績を評価。3法人とも、AA(中期目標を大幅に上回って達成)とA(中期目標を十分達成)の評価に集中しています。
関連>>総務省独立行政法人評価委員会
 
在宅ではちょっとお節介くらいがちょうどいい
在宅医療における薬剤師の役割は、薬局窓口と同様、複数の医療機関から処方された薬の飲み合わせチェック、患者へのインタビューを通じた副作用や服薬状況の確認などに加えて、処方薬の飲み残し(残薬)のチェックと、患者に適した剤形や一包化、服薬カレンダーの使用などの提案があると。日本薬剤師会の推計では、飲み残しの薬剤費は年間500億円近くに上ると。
他職種連携や育薬(薬をより使いやすく有効性及び安全性の高いものに育てていく取組み)といった視点に立つと、薬剤師が活躍できる場面が増えそうです。
関連>>在宅医療における薬剤師の役割と課題(PDF) 日本薬剤師会
在宅医療における薬剤師業務について(PDF)
平成25年度全国薬局疑義照会調査結果(PDF)
薬剤師による「疑義照会(薬剤師が医師の処方に疑問を感じて問い合わせること)」による薬代の削減額を年間82億円と推計。
 
職員による個人情報の業務外(目的外)アクセスに関する調査の結果について 堺市
2014年9月5日
平成26年5月30日に、職場の端末から業務上使用していたシステムにアクセスして特定の市民の個人情報を不正に閲覧し、私的に利用していた職員に対し、懲戒処分(停職3月)を実施。市として実態を把握し再発防止策を講じるため、同年6月に個人情報の業務外(目的外)アクセスに関する調査を行い、その結果を公表。
対象システムは、住基データと連動し個人情報を取り扱うシステム(福祉総合情報システムほか全18システム)で、IDが付与されている職員2,932名のうち4名が業務外(目的外)でのアクセスを行ったと回答。ヒアリング調査によるものらしいので、自己申告が無ければ、業務外(目的外)アクセスかどうか検知・判定できないのかな。
 
英領バージン諸島との租税情報交換協定が発効します : 財務省
2014年10月11日より発効。租税に関する国際標準に基づく税務当局間の実効的な情報交換の実施を可能とするもので、一連の国際会議等で重要性が確認されている国際的な脱税及び租税回避行為の防止を目的としています。
両締約者の権限のある当局は、この協定の対象となる租税に関する両締約者の法令の運用又は執行に関連する情報の交換を通じて支援を行う。そのような情報には、この協定の対象となる租税の決定、賦課及び徴収、租税債権の回収及び執行並びに租税事案の捜査及び訴追に関連する情報を含むと。
 
第15回経済財政諮問会議 平成26年9月16日
現下のマクロ経済状況、経済好循環の更なる拡大に向けた取組など。駆込み需要の反動減は大きかったものの、均してみれば増加しており、過去の成長パターンにかんがみれば、民需寄与の拡大が重要で、稼ぐ力を強化すべき。経済の好循環を持続させるためには、エネルギー生産・消費の効率化等に早急に取り組むべきと。
 
第36回規制改革会議 平成26年9月16日
規制改革会議の進め方、ワーキング・グループの進め方、規制改革ホットラインの集中受付、公開ディスカッションの進め方など。健康・医療、雇用、農業、投資促進等、地域活性化など5つのWGを設置。