マイナンバーカードの受け取りで気になったこと、今後は普及に向けた開発環境の整備を

先日、ようやくマイナンバーカードを受け取りました。
 
昨年の12月に通知カードが届き、スマホで交付申請を済ませてから、実に7ヶ月が経過しています。
 
システム上のトラブルがあったり、予想以上に交付申請があったりでしたが、1000万枚以上のマイナンバーカードが交付されるのは、すごいことだと思います。
 
マイナンバーカードの受け取り予約は、インターネットからできますが、カードの受け取りは、本人確認書類等を持って指定された役所の窓口へ行く必要があります。
 
パスワード(暗証番号:PIN)の用意など事前準備をしていたおかげもあり、手続は10-15分ぐらいで終わりましたが、ちょっと気になったことがあります。
 
それは、「カードの券面事項を本人に確認させるプロセスが無い」ことです。
 
カード交付の際に、マイナンバーカードに書かれた名前や住所等に間違いが無いか、本人にその場で確認させるプロセスは、必要と思うのですが。。
 
エストニアのeレジデンシーカードを受け取る時は、もちろんカードの券面を確認してから受け取りました。
 
さらに、カードの交付時に「電子証明書の写し」(紙に印刷したもの)を渡されるのですが、担当職員から「これは要りますか?」と質問されました。
 
これも、電子証明書の内容(住所、氏名、生年月日等)を、本人に間違いが無いか確認させた方が良いと思います。
 
そう言えば、ネット上では「パスワードを職員に渡して入力させる(という場合もある)のがけしからん!」といった発言があるようですが、マイナンバーカードのようなICカードのパスワードは、パスワードだけ知っていても何か悪さをできるわけでもないので、特に問題ないと思います。パスワードは後で変更できますし。
 
それよりも、利用者にいくつものパスワードを設定させながら、 PINなし認証方式も採用するなど、ポリシーに一貫性が無い印象を受けます。
 
 
マイナンバーカードの普及については、日経BP社から良い記事が出てました。
 
マイナンバーカード普及のために仕様の公開を
 
この記事の中で、『電子署名に詳しいラング・エッジの宮地直人氏は「エストニアのIDカードの標準ソフトやドライバーは、オープンな開発環境を提供している」と指摘』とあります。また、「細かい仕様やソースまで全部公開しているので、開発者にとってこれほど勉強になるものはない」ともコメントされています。
 
なお、エストニアのIDカードについては、宮地さんによる「エストニアIDカード PKIマニアック解析」が面白いです。 
 
カードや電子証明書に関する情報公開については、同記事で「仕様をオープンにすることで、安全なIDカードの普及を図ろうとしている」とコメントされているセコムIS研究所の松本泰氏を始めとして、多くの関係者が求めてきました。「IC・ID カードの相互運用可能性の向上に係る基礎調査報告書(ニーズ編)」が出たのは2007年ですが、公的個人認証サービスが始まった2004年頃には、既に普及のためには技術仕様等の積極的な公開が必要と指摘されていました。
 
日経BPのようなメジャーな記事で、他国の例を示しながら、マイナンバーカードの仕様公開が取り上げられたは、とても良いことだと思います。
 
多額の税金を費やすのですから、「世界で使えるマイナンバーカード」を目指して欲しいですね。
 

 
Dutch government publishes updated 'Manual for the Law on the Re-use of Public Sector Information'
オランダの内務省が、「公共部門情報の再利用に関する法律」のマニュアル(Q&A形式で解説)を更新。コンタクト、アプローチ、データ、アカウンタビリティの4つでオープン化を進めると。
オランダでは、情報公開法(Freedom of Information Law)とは別に、EUのPSI指令に基づく 「公共部門情報の再利用に関する法律」を制定し2015年7月に施行しました。今風に言えば「オープンデータ法」でしょうか。確かに、情報公開法の延長で本当のオープンデータを進めるのはちょっと無理があるので、情報公開法をオープンガバメント対応に改正すると同時に、別途オープンデータを実務で進めるための法制度を確立させるのは良い方法だと思います。
関連>>Handleiding Wet hergebruik van overheidsinformatie
 
Dutch central govt. makes eInvoicing default option
オランダの中央政府では、2017年1月から、全ての公共調達の契約で電子請求書(eInvoicing)のみを受付けるようにすると。私の仕事でも、紙で請求書や領収書を発行するように求められることが多くて、どうにかして欲しいと思っています。
 
いよいよ動き出す医療等ID、2020年に本格運用へ
厚生労働省の高木氏が報告
2016年度中に具体的なシステムの仕組み・実務について検討し、2017年度から着実にシステム開発を実行する。支払基金・国保中央会の中で機関別符合と1対1となる“キーとなる識別子”を管理。原則変更しないキーとなる識別子から、地域医療連携用IDやデータ収集用IDなど用途別に生成する一時的な電磁符合を使うと。
 
遺伝子治療等臨床研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会(第3回医学研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議 配布資料) 平成28年6月23日
指針見直しの方向性案(匿名化、インフォームド・コンセント、匿名加工情報・非識別加工情報など)が出ています。
現行指針において「匿名化」の用語が用いられている規定について、個人情報保護法等との関係で、(対応表を保有していない場合に)非個人情報化として整理する必要がある場合と、指針上において上乗せで求める安全管理措置として整理できる場合とを区別し、指針の条文上、以下のように用語を使い分けてはどうか。
 
<三宅洋平氏落選>実態なき支持層が産み出した「選挙フェス」という都市伝説
選挙期間中、ネットを中心にさんざん目にした「三宅洋平ダークホース説」とは、単なる「都市伝説」でしかなかったことは事実だろうと。さすがの都民も山本太郎で懲りたということかな。
 
日本の選挙運動って異常だった!?世界との選挙とはこんなに違いが!
エストニアでは、屋外広告は一切禁止。全投票の約25%がインターネット投票と。「選挙カーを廃止する」という公約を掲げる政党が出てくれば、一票入れちゃいそう。
 
[FT]中国は南シナ海判決を受け入れよ(社説)
対応を誤れば、現在の超大国と将来の超大国との戦争が現実味を帯びてくる。まず必要なのは全ての当事者の自制と。
基本的に、大勝が決まっている候補には投票しないので、今回の参院選では自民党以外に投票しましたが、何だかんだ言っても、まともな安全保障政策を掲げているのは自民党ぐらいなんですよね。米国・アジア諸国はもちろん、欧州とも連携して、中国への警戒を強めて欲しいと思います。
 
<AV出演強要>業界健全化へ団体設立 元女優の川奈さん
「これまで出演者のための業界内部の団体がなかった。AV出演を肯定的にとらえながら、より良い環境で仕事ができるようサポートしたい」と。統一契約書の策定は、予防法務の観点から効果が期待できますね。業界全体が似非人権弁護士や団体の食い物にならないよう、(機能させるのが難しい)労働組合とも異なる本当の人権保護を考えた仕組みを模索して欲しいと思います。
 
Statement by Vice-President Ansip and Commissioner Jourova on the occasion of the adoption by Member States of the EU-U.S. Privacy Shield
Brussels, 8 July 2016
It is fundamentally different from the old 'Safe Harbour': It imposes clear and strong obligations on companies handling the data and makes sure that these rules are followed and enforced in practice. 
「EU-USプライバシーシールド」は、その効果が疑問視されていた「セーフハーバー協定」と異なることが強調されています。
関連>>EU、米国との「プライバシーシールド」を承認へ
 
「民泊サービス」のあり方に関する検討会の最終報告書 平成28年6月22日
・「家主居住型」と「家主不在型」に区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課し、適正な管理や安全面・衛生面を確保しつつ、行政が、住宅を提供して実施する民泊を把握できる仕組みを構築する。
・ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが適当である。
・国土交通省と厚生労働省の共管とすることが適当である。
・「届出」及び「登録」の手続はインターネットの活用を基本とし、マイナンバーや法人番号を活用することにより住民票等の添付を不要とすることを検討するなど、関係者の利便性に十分配慮する必要がある。 など
 
データヘルス計画(後期高齢者医療広域連合)
47都道府県の各後期高齢者医療広域連合がデータヘルス計画(保健事業実施計画)を策定。各地域における高齢者医療の現状がわかるので、自分が住む都道府県のデータヘルス計画ぐらいはチェックしておきたいところ。
関連>>医療保険者によるデータヘルスについて
 
法科大学院教育におけるICT(情報通信技術)の活用に関する調査研究協力者会議(第1回)
法科大学院におけるICT(情報通信技術)を活用した教育(遠隔教育、学修支援ツール等)の現状、本格的普及に向けた論点など。中央大学も色々やってるんですね。
関連>>「法科大学院教育におけるICTの活用に関する調査研究」報告書
 
「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議 中間まとめ 平成28年6月
デジタル教科書に関する基本的な考え方、デジタル教科書の導入に伴う関係制度の方向性、デジタル教科書を取り巻く環境の整備など。「デジタル教科書」という言葉は誤解を招きますよね。「教育分野のデジタル化」が進むのは自然な流れなので、あとは「教育従事者がデジタル化に対応できるか」ということでしょう。社会や子供たちのデジタル化に合わせて教育のデジタル化も進めて欲しいところですが、現実では教師や教育委員会のデジタル化がボトルネックになりそうです。
 
元ミス・ユニバース日本代表がはねのけた「反日」レッテル
「民族や国籍にとらわれる必要は全くないと学びましたし、私自身の視野も、とっても狭かったんだと実感しました。ひとたび世界に出てしまえば、ハーフなんて珍しくもなんともなかったんです」と。格闘技の世界では、色んな民族が混在しているハイブリッドな国が強いんですよね。
 
民法の一部を改正する法律(再婚禁止期間の短縮等)の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて
平成28年6月3日  法務省民事局
民法の改正で、
1 女性に係る再婚禁止期間を前婚の解消又は取消しの日から起算して100日に。
2 女性が前婚の解消若しくは取消しの時に懐胎(妊娠)していなかった場合又は女性が前婚の解消若しくは取消しの後に出産した場合には再婚禁止期間の規定を適用しない。
となったことに伴い、「前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過していない女性」を当事者とする婚姻の届出の取扱いについて、婚姻できる場合と婚姻できない場合を解説。
 
憲法改正と日本の行方、歴史的には旧法に固執すると破滅する
ヨーロッパでは改正は当たり前と。ちょっと極端な意見ですが、日本国憲法をコーランか何かと勘違いしている憲法学者とかも、ホント怖いです。どうして日本の憲法改正の議論には、中庸が無いのでしょうか。
関連>>主要国の憲法改正手続(PDF) 国立国会図書館調査及び立法考査局 2014年8月
調査国の中で最も憲法(基本法)改正が多いのは、スウェーデンの74回で、その次がドイツの59回となっています。
 
通商白書2016 平成28年6月21日
「通信・コンピュータ・情報サービス」は、情報通信技術の発展を背景に、全体の成長率も高く、先進国・新興国問わず新たなサービスが誕生しつつある。
IT企業の自動運転・金融等への参入、ビッグデータ解析による製品関連サービス等、産業構造に変化の兆しがある一方、自由な情報の流通等、新たな通商政策上の課題への対処が必要。
情報通信技術を活かした新たなサービスには優秀なIT人材の獲得が必須であるが、我が国での就業を希望する海外のIT人材は少ない。仕事満足度・給与水準の低さが背景にある可能性。
 
電子商取引に関する市場調査の結果 平成28年6月14日
国内消費者向けの電子商取引市場規模は13.8兆円に、企業間電子商取引の市場規模は288兆円に成長。オンラインバンキングの普及状況も調査して欲しいです。
 
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂  平成28年6月3日
新規論点として、「データ消失時の顧客に対する法的責任」を追加。
クラウドサービス事業者が顧客のために保管するデータの消失を防止する契約上の義務の違反により顧客のデータを消失させたときには、顧客に対して債務不履行によりデータ消失による損害を賠償する責任を負うと。
 
公共サービス改革基本方針の一部変更 平成28年6月28日
民間競争入札の対象となる公共サービスとして新たに15事業を追加。導入事例として、法務省刑事施設の運営業務、総合評価落札方式を採用した中央合同庁舎等の管理・運営業務、情報処理技術者試験事業など。
 
学校における外国人児童生徒等に対する教育支援の充実方策について(報告)
平成28年6月28日 文部科学省
外国人児童生徒の増加や、保護者の国際結婚などによる日本国籍の児童生徒の増加等により、公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒数は3万人を超え、その数は増加傾向にある。外国人児童生徒等のライフコースの視点に立った体系的・継続的な支援、ロールモデルの提示が必要と。
将来的に移民拡充を考えるのであれば、外国人児童生徒への教育支援を充実させる必要がありますね。
 
第31回レセプト情報等の提供に関する有識者会議 平成28年6月29日
レセプト情報等オンサイトリサーチセンターの試行的利用に関する中間報告、NDBオープンデータ、「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の改正(案)など。
NDBオープンデータは、これまで、研究者や行政機関が個別に提供を受ける以外に入手手段がなかったNDBデータを集計し公表することで、一般に入手可能とするもの。