ICPFセミナー「マイポータルとトラストフレームワーク」のご案内(2014年10月3日18時半:市ヶ谷)

情報通信政策フォーラム(ICPF)主催のセミナー「マイポータルとトラストフレームワーク」のご案内です。

今回も贅沢な講師陣で、楠さんと満塩さん、お二人の政府CIO補佐官にご登壇いただきます。皆さまからのご参加をお待ちしています。

日時:10月3日金曜日 18時30分から20時30分まで
場所:アルカディア市ヶ谷(私学会館)
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
講師:楠正憲氏(内閣官房 政府CIO補佐官)
   満塩尚史氏(経済産業省CIO補佐官)
日時:10月3日(金曜日) 午後6時30分~8時30分
場所:アルカディア市ヶ谷(私学会館)
参加費:2000円(ICPF会員は無料)
定員:50名(先着順)
申し込み:こちらのサイトからお願いします
http://kokucheese.com/event/index/217309/


せっかくなので、今回のセミナーの背景について、少し説明しておきます。

マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)では、来年の2015年10月に市町村による住民へのマイナンバー(個人番号)通知があり、2016年1月からマイナンバーの本格的な利用が始まります。マイナンバーの利用と同時期に、希望者への個人番号カードの交付も始まり、2017年1月には、マイ・ポータルの運用開始となります。

マイ・ポータルには、インターネット上で自分自身の個人情報の内容や利用履歴などを確認できる機能があり、マイ・ポータルへのログイン手段として、個人番号カードが利用される予定です。

関連ブログ>>マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)のスケジュール番号制度の概要(PDF:4.1MB)

トラストフレームワークは、直訳すれば「信頼の枠組み」となりますが、ここでは「ID(アイデンティティ)連携トラストフレームワーク」を意味します。

経済産業省では、政府のIT戦略に基づいて、「ID連携トラストフレームワーク」の整備を進めています。経済産業省の専用ページでは、次のような説明があります。

ID連携とは、異なる組織間でユーザのID(アイデンティティ)データを連携し、サービスの質の向上を図る仕組みのことです。
現在、様々な企業で個人向けのITサービスが提供されていますが、それぞれID/パスワードが異なっており、サービスごとに登録や本人確認を行わなければならないと言った問題があります。また、同じID/パスワードを複数のサービスで使い回すことが多くなっており、情報セキュリティの脆弱な企業から漏れた情報が、ほかのサービスへの不正アクセスに用いられるという問題点も生じるようになってきています。
企業ごとにユーザーの登録・認証を別々に行うのではなく、アイデンティティ情報を企業間で交換することとすれば、この問題を解決できます。しかしながら、異なる組織間でのIDデータのやりとりには、個人情報の悪用や漏洩のリスクがあります。したがって、どんな組織とでも連携するのではなく、ポリシーやルールを明確にした上で、信頼できる組織を認定し、それらを連携させる「ID連携トラストフレームワーク」の仕組みが必要です。

 

簡潔に言えば、

・「ID連携」は、インターネット上の異なるサービス間で、プライバシーに配慮しながら、特定のユーザーに関する情報(属性情報:広い意味での「個人情報」)を交換・連携する仕組み

・「ID連携トラストフレームワーク」は、ID連携の信頼性・安全性を強化・担保する仕組み

となります。

ID連携と聞くと、「あ、シングルサインオンね」と考える人も多いと思いますが、経済産業省の取組みでは、SSO(シングル・サインオン)などの認証連携を「Identifier(識別子)連携」として、「ID(アイデンティティ)連携」と区別しているようです。

本来の「ID連携」は、単なる「シングルサインオン」ではなく、個々の行為や取引(トランザクション)の性質に応じた、その都度毎の本人の選択・同意による個人情報の提供・連携を目指したものと思うので、「シングルサインオン」との区別は悪くないと思います。

関連>>「ID連携トラストフレームワーク」の構築のための実証事業(概要版)(PDF)

 

「マイポータル」と「ID連携トラストフレームワーク」が、どのように関係するかと言えば、「官民サービスの連携」や「官民が保有する個人情報の連携」といった意味があります。

例えば、確定申告では、医療費控除や生命保険料控除などで、民間が発行する書類(個人情報を含む)を税務署に提出する場合があります。

病院・生命保険会社>>本人>>税務署 という流れです。

これが、本人の指示の下で、病院・生命保険会社>>税務署 となれば、本人の負担は減ることになります。

住民票の写しや戸籍謄本などの役所が発行する証明書も、その一部は、本人が民間企業等へ提出しています。

これも、本人の指示の下で、市町村>>民間企業 となれば、本人の負担は減り、かつ必要最低限の情報提供で済ませることができます。

関連>>マイポータル/マイガバメントについて(PDF:内閣官房IT総合戦略室)

マイポータルも、トラストフレームワークも、その実現や普及については、かなり難しい課題を抱えています。政府がどのように取組んでいくのか、私自身も見守っていきたいと思います。