つぶやき電子政府情報(2014年11月1日):医療分野における番号制度の「オプトアウト」に注意

第5回 医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会 平成26年10月22日
医療等分野での番号の活用に関する論点整理案が、全体像・参考資料と共に公開されました。これを見ると、医療分野で番号が使えるまでに10年ぐらいはかかりそう。。
 
 
意見にある「生涯にわたる健康情報の一元管理や利活用が求められており、個人の健康医療情報を時間軸・空間軸を超えて紐づける必要性は明らかである。番号による情報連携は、疫学研究でも、追跡性の観点から有用である」や「北欧諸国では、番号によって診療情報の共有を図り、効率性と利便性を確保している。医療保険財政が厳しさを増す中で、番号を活用した医療提供体制の効率化を目指すべき」の方向へ進むと良いのですが。
 
配布資料にある、日本医師会の意見を見ると、
 
医療等分野における番号制度の活用等に関する日医意見(PDF)
 
現在の日本における個人情報保護の状況、保護法のスタンスの下で、病歴等の医療情報に唯一無二性(一生涯にわたり1人1個)のある番号を紐付けることは認めない。医療等分野で用いる番号には、オプトアウトの権利と、番号等を一定の条件で変更する権利を付帯するべき。
 
とあります。この「オプトアウト」がクセモノで、その内容を正確に理解することが大切です。
 
例えば、(番号や情報連携の必要性をあまり感じない)健康な若い時に「オプトアウト」した人が、年を取って病気になった時に、やっぱり自分の過去の医療情報が必要と思っても手遅れ・・・では困ります。
 
つまり、特定個人の健康医療情報を時間軸・空間軸を超えて確実に蓄積した上で、その利用や情報連携について「オプトアウト」できるようにしておき、いざ病気になって本人が必要と思ったら、地域や分野を超えて利用や情報連携できるようにしておかないといけないのです。
 
いずれにしても、「全国がん登録」のように、国や社会の資産でもある「個人の健康情報の蓄積」は必要なので、そのことについて国民の合意を得て、明確な法制度として確立しておくことが重要です。
 

 
第4回 医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会
平成26年9月30日
利用場面について議論。NECが「医療等分野での番号活用の考え方と想定するユースケース(案)に対する番号の比較」を提供しています。番号の分類とメリット・デメリットで、「見えない番号」だけが、「人が介在しなくてもサービスが利用できる(バックオフィス連携)」としていますが、エストニアの例でもわかる通り、これは間違いですね。
 
 
「見える番号」でもICカードを使って処理すれば、職員の手入力も不要ですし、バックオフィス連携も確実に行えます。これに対して、氏名や住所などの「4情報」を識別子として使う場合は、「ゆらぎ」があるので、人が介在する必要が出てきます。
 
情報漏えいや不正利用のリスクについては、情報技術の進展により、識別子以外の情報で個人を特定・識別・名寄せする容易性が高まっているので、番号単体でリスクを比較してもあまり意味がありません。情報漏えいや不正利用のリスクについてこそ、しっかりユースケース(事象発生から事後対応、被害金額の試算、被害救済まで)を検討するべきでしょう。
 
 

 
韓国政府による国民総背番号制度、全国民の80%に相当する5000万人分のデータが流出
記事にもあるように、韓国の国民登録番号を含む個人データが漏洩しているのは、だいぶ前からの周知の話。セキュリティを含むデータの管理方法の定期的な見直しは当然のことですが、全番号の再割り振りをするのであれば、国民IDカードのICカード化や本人確認・身元確認など制度全体の見直しをした方が良いでしょう。
 
韓国や米国、あるいは北欧諸国の例を挙げて、日本のマイナンバー制度導入に反対している人たちは、あたかも諸外国の番号制度が破綻しているようなことを言います。実際にはそのような実態は無いので、そうした説得力の低い反対はあまり気にするものではありません。番号制度を廃止した国はなく、番号制度のせいで独裁国家になった国もありません。
 
民間を含めて広く利用される番号は、ほぼ100%の確率で漏洩しますので、番号漏洩があっても実害が起きないような制度設計が必要です。また、ICカードや電子証明書を利用しても、成りすましは必ず起きますから、これも早期発見や被害の最小化に努めるしかありません。情報漏洩や成りすましは、番号制度の有無に関係無く、今も起きています。しかし、番号制度の活用次第で、そうした情報漏洩や成りすましを低減することも可能です。
 
コストを考えずにリスクゼロを求める人たちはどこにでもいますが、番号制度を導入している国々は、一定のリスクを許容した上で、そのメリットを享受しています。そして、リスクを一定の許容範囲に収めるために、制度の改善や見直しを続けているのです。
 
関連>>アメリカ及び韓国における番号自体に係る規制・罰則について
韓国の個人情報保護法の内容と個人情報保護管理体系(PDF)
韓国で9月30日に施行された「個人情報保護法」の中身
韓国の個人情報保護総合支援ポータル(韓国語)
韓国地区におけるJALマイレージバンク 個人情報取り扱い方針
 

 
中堅・中小企業のマイナンバー対応に大幅遅れ、「まったく見当がつかない」6割強
年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層/管理職/社員を対象に、マイナンバー制度への取り組み実態に関する調査を2014年7月に実施。年商5億円以上~50億円未満の中小企業層では、「内容を理解しており、自社で対応すべき事項もすべて把握している」と回答した企業は18.0%に留まったと。
番号制度でビジネスするコンサルやITベンダー等も含めて、「自社で対応すべき事項もすべて把握している」企業なんて、まずいないでしょうね。実際には、来年2015年に駆け込み対応(マイナンバープチバブル)が起こるも、2016年1月の利用開始後に対応を進める企業も多く、「制度の運用の中で少しずつ対応していく」ことになるでしょう。
関連>>2014年 中堅・中小企業におけるマイナンバー制度への取り組み実態に関する調査(PDF) ノークリサーチ
特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)
民間企業における「マイナンバー」対応の具体的な内容と注意点
NHK NEWS WEB 近づく『マイナンバー』通知
 
TKC、栃木県大田原市で番号制度(マイナンバー)対応の地方公共団体向け基幹クラウド
10月15日より栃木県大田原市の協力のもと、番号制度、いわゆるマイナンバー制度に対応した地方公共団体向け基幹業務システム「新世代TASKクラウド(番号制度対応版)」のパイロット運用を開始。番号制度への対応に加えて、新人や外部委託者など業務に不慣れな利用者でも迷わず正しい処理を可能とするガイド機能などの機能強化を図ったと。
住基・税務・財務の基幹系システムを共同利用を進めていた自治体は、マイナンバー対応でも孤立せずに済みますね。
 
決済サービス高度化の背後に米国はサイバー攻撃、日本はオリンピック?
米国はICチップカードの普及が世界で最も遅れている国であり、結果として磁気ストライプカードの偽造による犯罪に狙われ続けていると。確かにクレジットカードは、オンラインショッピングよりも実店舗での利用時に気をつけることが多いかも。
関連>>Obama大統領、クレジットカードの保護を強化する大統領令に署名
欧州のレストランでは、自分の目の届かない所にカードを持って行かれることはなく、ウェイターがテーブルに決済端末を持ってくると。これは日本でも浸透して欲しい。
 
第2回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 平成26年10月17日
構想区域の設定の考え方、2025年の医療需要と各医療機能の必要量の推計方法など。
 
第3回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会 平成26年10月31日
2025年の医療需要の推計方法、有識者によるプレゼンテーション(在宅医療)など。
 
フィンランドの切れ目ない家族支援「ネウボラ」
妊娠、出産から子育てまで家族を支援し続けるフィンランドの育児支援サービス
フィンランドでは、どの自治体にも保健師や助産師がいる「ネウボラ」という子育て支援施設があり、妊娠から出産、子どもが生まれた後も基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供してくれる。妊娠の兆候があったら病院ではなく、自分の地域のネウボラへ向かうと。電子政府でも、官民や分野を越えたシームレスなサービス提供は課題の一つですが、オフラインサービスのワンストップ化が進むと、電子政府サービスも自ずとシンプルになっていくでしょう。
関連>>フィンランドの出産・子どもネウボラ(PDF)
フィンランドにおける妊娠・出産期の支援について(PDF)
 
成り済ましで情報開示命令 フェイスブックに東京地裁
SNSでの成り済ましは有名人に多かったが、最近は嫌がらせなどの目的で一般人も被害に遭うケースが増えていると。情報開示命令が出たのは良い傾向ですね。
 

 
本当に「かわいそう」なのは誰なのか? Chikirinの日記
財源を明示しない「かわいそう論」は、常に若い世代への負担押しつけに帰結するので、お年寄りを殊更に強調する番組」は害がある。私たちはこれ以上、若者と子供達からお金をむしり取り、今の「かわいそうなお年寄り」のために使うべきだと、思っているのでしょうかと。
 
無責任な「かわいそう論」は、私も好きではありませんが、この投稿に対して「いいね」が他の投稿と比較して特に多かったのが気になりました。「世代間対立を煽るな」といった意見もありますが、高齢化先進国を見ても、財源を示さない「かわいそう論」は「問題の先送り」となり、最終的には世代間対立を大きくするようです。
 
関連>>ドイツの財政黒字達成は、なぜ批判されるのか
ドイツは2009年に、「債務ブレーキ(Schuldenbremse)」という新しい規則を憲法(基本法)に加えた。納税者の間にも、「政府が巨額の債務を負うことは、将来の世代に多額の利払いの負担を課すことになる。これは、将来のドイツ人の行動の自由を奪うことになるので、無責任だ」という考え方が強いと。
国民総背番号制に賛成する医師が、外国人看護師の受け入れに反対するわけ (ダイヤモンド・オンライン)
北原先生の本は読んだことがありますが、医療地産地消の観点から、外国人看護師の受け入れには反対なんですね。
 

 
香港の医院管理局、薬のサプライチェーン管理をクラウドで改善
香港の医院管理局では、購入量の86%にあたる26社の医薬品供給業者がクラウドベースのサプライチェーンに参加して、サプライチェーン全体にわたって医薬品のトラック&トレース(追跡/所在確認)が可能になったと。実現にあたっては、GS1 Hong Kongのサプライチェーン管理システム「ezTrade」(GS1の規格に準拠したクラウドベースのB2B電子商取引システム)を採用。
 
平成25年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」等結果について
平成26年10月16日 文部科学省
調査項目は、暴力行為、いじめ、出席停止、不登校、高校中途退学、自殺(学校から報告のあったもの)教育相談など。まだまだ隠れている事案は多いと思いますが、以前よりは隠蔽等が減ったのでしょうか。
関連>>いじめの実態-これが“いじめ”   茨城県教育委員会
生徒指導等について:文部科学省
 
「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』」(SciREX)ホームページについて
独立行政法人科学技術振興機構が運営するSciREXホームページでは、「政策のための科学」の概要、文部科学省及び関係機関で行われている取組、イベント情報、成果・資料などを掲載してますと。データ・情報基盤では、政策形成及び調査・分析・研究のためのデータを体系的・継続的に蓄積。
 
「赤ちゃんだってライフログ」、電子母子手帳やSNSとの連携を村田が提案
ベビーカーなどに吊るして使うことを想定したペンダント型端末「日記ツール」と、乳児の腕や足に装着して使うリストバンド型端末「ベビーバンド」を提案。これらと連携するスマートフォンアプリも披露と。ウェアラブル端末によるライフログは、全ての世代にニーズがありそうです。
 
[ITpro EXPO 2014]「法律を最先端にして世の中を変える」
平井自民党IT戦略特命委員長
マイナンバー制度では「もっと国民が欲しがる使い勝手の良い番号にして社会のプラットフォームに育てたい」と語り、2016年1月から利用できるICチップが入った個人番号カードについて、発行手数料を取るのではなく、「予算折衝をして基本的に無料にしたい」と。
 
お・も・て・な・しは日本人の自己満足か
日本の観光産業はGDP38兆円分の成長余地がある
お客さんは通常、20年に1度くらいしか工事をしないので、業者は工事の直前に来て、終わったら20年来ません。でも自分たちのやった仕事を20年間全く見ないというのは無責任だと思います。全く行かなければ先方も「次もやってもらいたい」とは思わないですよね。京都は世界一の観光スポットだと言われるけど、なぜ年間200万人しか来ないのか。あれほどの文化財を有しているのに、大英博物館に来る外国人の数の半分にもならないと。
「伝統技術」や「おもてなし」に対する考え方は明快で、これからの日本にとって必要な視点ですね。電子政府サービスでも、まだまだできることが沢山あると思いました。
関連>>「このホテルはもうダメだな」と思う瞬間
「フツーのこと」の集積が風格を生むと。