つぶやき電子政府情報(2014年11月17):マイナンバーの利用分野拡大の優先順位を考える
マイナンバーの利用分野拡大という“半年前の宿題”の出来栄えは?
日経BPガバメントテクノロジーの井出さんが、マイナンバーの利用分野拡大の進捗状況を整理されています。
記事にあるように、マイナンバー法の附則第6条には、「施行後3年をめどに利用範囲の拡大を検討する」とあります。「施行後3年」は、住民への番号通知が開始から3年後なので、2018年の検討となります。しかし、この検討時期を前倒して、2018年までに利用範囲拡大を具体的に確定させて、2018年度内にマイナンバー法の改正案を国会へ提出、2019年に改正法の成立・施行しようというのが現在の考え方となっています。
全体のスケジュールは、マイナンバー等分科会中間とりまとめのロードマップ(PDF)で確認できます。
中間とりまとめにある5つの事務分野(1)戸籍事務、(2)旅券(パスポート)事務、(3)預貯金口座への付番、(4)医療・介護・健康情報の管理・連携、(5)自動車検査登録事務については、次のような優先順位付けが望ましいでしょう。
(1)医療・介護・健康情報の管理・連携
(2)戸籍事務
(3)預貯金口座への付番
(4)旅券(パスポート)事務
(5)自動車検査登録事務
医療・介護・健康情報は、今後の本格的なデータの蓄積・統合・活用が始まる前に、早急に患者一人ひとりを識別できる番号制度を導入する必要があります。マイナンバーで管理することが合理的・効率的ですが、それが難しい場合、まずはマイナンバーにリンクした識別番号(見える番号)を導入し、医療・介護分野の電子化・デジタル化の状況を踏まえて、いわゆる「見えない番号」への移行も可能としておくのが良いでしょう。
戸籍事務は、現在の「戸」単位の国民登録管理から、電子データの流通を前提としたデジタル社会対応型の「個人」単位の管理へ進むために、戸籍に記載される一人ひとりに対してマイナンバーを付番することが必要です。この作業が完成すれば、将来的には、戸籍を廃止して、住民基本台帳と統合した「住民登録管理データベース」へ移行することが可能になります。
預貯金口座への付番は、記事にあるように「預貯金の保護」や「不正受給や犯罪等の防止」といった観点から必須です。社会保障制度を維持するために、将来的には、「資産に対する課税」の拡大もありえます。時間がかかることなので、できるだけ早期に銀行による実施を義務付ける法改正等が必要です。実施に必要とされる300億円は、銀行業界全体からすれば、全く些細な金額です。銀行が恐れているのは、費用・事務負担ではなく、大口預金者の国外逃避など別のことでしょう。
関連>>第6回 マイナンバー等分科会 平成26年11月11日
各府省の取組状況や中間とりまとめに対する検討状況を紹介。個人番号の利用範囲拡大、マイナンバー制度全体の進捗、個人番号カード、法人向けポータル、マイポータル/マイガバメント(仮称)など。市町村においては、27年10月の番号通知に向けて、26年度中に既存住基システムの改修を終えて、「テスト・準備」を確保しておく必要がありますね。
サイバーセキュリティ基本法案
第一八六回 衆第三五号
2014年11月6日、衆議院本会議で可決成立。「サイバーセキュリティ」なるカタカナ用語が法律名になるのは珍しいですね。全35条、附則4条。総則、サイバーセキュリティ戦略、基本的施策、サイバーセキュリティ戦略本部の四章で構成。内閣官房長官がサイバーセキュリティ戦略本部長に。以下のように、サイバー戦争への対応についても規定があります。
附則第3条 政府は、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第二十四条第一項に規定する緊急事態に相当するサイバーセキュリティに関する事象その他の情報通信ネットワーク又は電磁的記録媒体を通じた電子計算機に対する不正な活動から、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるもの等を防御する能力の一層の強化を図るための施策について、幅広い観点から検討するものとする。
関連>>サイバーセキュリティ基本法案の概要 情報セキュリティ政策会議
サイバーセキュリティ基本法が成立、2020年東京五輪に向け対策強化
橋下・維新改革の6年を振り返る
橋下改革の業績評価は、議会の承認を必要としないものについては80~90点、そうでないものについては10~20点と評価。先日の読売新聞の調査でも橋下徹の支持率が56%で悪くないと。「住民や有権者の評価は悪くない」のは、佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長と似てるかもしれませんね。
関連>>「感情ではなく数字を基に経営すれば、成果は数字で表れる」—樋渡・武雄市長が講演
武雄市の最大の特徴は、街づくりの計画から実践、評価に至るまで徹底して数字を用いていることだと。
ICT先進県佐賀の見学ツアーに参加してみた
紙と鉛筆を使わない授業を体験し、武雄市図書館も訪問。筆者にとっては、初めてづくしの図書館だったと。
浜松市、「行財政改革日本一」を目指して公共施設削減や資産の有効活用を推進
公共施設の維持に要するコストは今後50年間で合計1兆3000億円に。2008年に市の保有資産の情報を一元化したデータベースを整備。資産を施設面(ハード面)だけでなく、機能面(ソフト面)と資産価値の面からも評価し、行財政改革の計画立案。2014年までに公共施設の20%をスリム化し、保有資産の有効活用も進めると。本来は、資産管理も広域で行い、地域間で共同利用・分担できるようにした方が良いですね。
関連>>市資産の活用/浜松市
浜松市は保有する公有財産の有効活用やコスト削減などを行う手法として、ファシリティマネジメトの考え方に基づいた資産経営に取り組んでいます。
静かに始まる歩道橋「リストラ」 札幌市、一部撤去へ
廃校施設活用状況実態調査の結果について
行田市、誤って別人の預金口座差し押さえ 読み仮名と生年月日が同じ
時々ニュースになる「別人の預金口座差し押さえ」ですが、マイナンバーと預金口座を紐づければ、まず起きないでしょう。こうした間違いは、被害者本人が困るのはもちろんですが、事務処理に係るコスト(人件費だけで数十万円?)もバカになりません。
エコハウスのウソ 実は少ない冷房の電力消費:日本経済新聞
夏を重視するあまりに「冬への備え」がおろそかにされる。エネルギー消費が多いのは、給湯や照明・家電で、冷房は各地域でごく少ないと。古いマンションに住んでいた時は、冬の寒さ対策が大変でした。
学校を悪くしたのは、だれか 文科省でたらいまわしにあう
学校を不毛にしているのは、教員自身の嫌われたくないというムラ意識でもあり、必要なのは、「これは私の仕事ではありません」と言える嫌われる勇気。元凶は、われわれ教員のムラ意識としかいいようがないと。自分が高校の時は、「これは私の仕事ではありません」と言える先生がいて、私はけっこう好きでした。サービス残業で気になったのは、「個々の学校のカリキュラムと関係のないイベントの設営(自治体をあげての体育大会、文集の編集、美術展覧会の準備で終電、休日出勤)」という記述。一見すると経費があまりかかっていないようなイベントや行事も、その多くが「(できればやりたくない)ただ働き」によって支えられているんですよね。
検索結果とプライバシーに関する有識者会議 Yahoo! JAPAN政策企画
検索結果に表示すべきか、削除すべきかに関する判断にあたっては、削除を求める方々の置かれた状況を十分に踏まえつつも、検索サービスに対する信頼と透明性を確保すること、そして、私たちの社会における「表現の自由」や「知る権利」とプライバシーという多様な価値をバランスよく反映したものであることが必要と。
ベネッセ事件と米データブローカーに学ぶ名簿業者規制
犯罪組織もビッグデータ解析をしてデータを精査し、ターゲットを絞る段階に。インターネットのサイトに生年月日を書いただけでも、IPアドレスで地域が特定されて、既に漏れたデータで個人名や住所が照合されやすい。国内の未成年者の多くが、そんなリスクを抱えた状態に置かれていると。
国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成26年9月末現在)
平成26年11月10日 財務省
前年度末より14兆円増えて、内国債は867兆8,240億円に。
ICT街づくり推進会議 共通ID利活用ワーキンググループ(第5回)
平成26年11月10日
平成25年補正予算と平成27年度予算要求について。配布資料は、放送・通信分野等における公的個人認証サービス民間活用事業、公的個人認証サービス利活用推進事業(素案)と、いよいよお金を使う話がメインになってきました。実証ユースケースとして
・CATVをユーザインタフェースとしたヘルスケア情報等の提供
・医療機関受診時におけるオンラインでの資格確認及び処方箋情報の照会
・医療機関受診時におけるオンラインでの資格確認及び支払い
・ポータルによる手続きのワンストップ化(住所変更手続き)
関連>>ICT街づくり推進会議 共通ID利活用サブワーキンググループ(第8回)
医療分野でも始まったビッグデータ活用、広がる期待と残された課題
医療におけるビッグデータにかかわるあらゆるところで、用語の統一や標準コードの活用、その他標準規格の活用の確立が必要。データから産み出した答えの確からしさを検証することも必要と。
医師・歯科医師・薬剤師の皆さまに届出のお願い
我が国に居住する医師・歯科医師・薬剤師の方は、2年に1度12月31日現在における住所地、従業地、従事している業務の種別等、医師法、歯科医師法、薬剤師法で規定されている事項について、当該年の翌年1月15日までに届け出ることが義務付けられていますと。医療従事者を識別する番号制度を導入して、勤務先(これも識別番号で管理)からのオンライン提出を義務付けておけば、こうした届出制度も不要になると思うのですが。
日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会報告書
平成26年10月16日
「健康な食事」とは何かについて、健康、栄養、食品、加工・調理、食文化、生産・流通、経済など多様な側面から、構成する要因を踏まえ、整理。生活習慣病の予防に資する「健康な食事」を事業者が提供するための基準を策定。「健康な食事」を普及するためのマークを決定。おいしさや楽しみについては、「誰と食べるか」も大切ですね。
外部連携APIに係る仕様等を公開しました。
2014年10月27日 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ
「電子政府の総合窓口(e-Gov)における外部連携APIの整備に関する計画」(平成26年6月)において今年度第3四半期に公開するとしていたe-Gov電子申請システムの外部連携APIに係る仕様を、留意事項やFAQ等と共に専用ページで公開。
関連>>外部連携API仕様公開
企業が行うべき準備作業は多い
年内には体制づくりや予算確保に着手すべき
従業員と関係者のマイナンバー取得・管理が必要、各種手続でマイナンバーへの対応が必要、本人確認手続きが必要、情報の安全管理や廃棄・削除が必要と。
関連>>マイナンバー対応は7割の企業が「始めていない」、乏しい認識、広がる危機感
業務に大きく影響するマイナンバー
過激派に加わる学生、今どきの理由 対策に本腰の大学も
未成熟で社会経験の少ない学生を取り込むのは、万国共通、過激派組織の常套手段。その手口も巧妙です。若者が都合の良い捨てゴマにされないためにも、マスコミ報道で、その存在と危険性を知ってもらう必要があるでしょう。
会計検査院法第34条の規定による処置要求(26年10月30日(1))
国民年金の第3号被保険者の年金記録不整合問題への対応についての是正改善の処置要求。
日本年金機構において、転出先年金事務所に種別変更の処理を引き継ぐ場合の具体的な引継方法等を事務取扱要領等において明示し、各年金事務所に種別変更の処理を事務取扱要領等に従って適切に行うことを周知徹底するよう、また、厚生労働省において、不整合期間を有する者に係る種別変更の処理状況を適切に把握して、機構に対して必要に応じて指導を行うよう是正改善の処置を求めると。
資格要件については、本人の届出を前提とした処理では限界があるので、マイナンバーを活用した情報連携による自動処理化を進めて欲しいところです。
年金記録問題に関する日本年金機構等の取組に関する会計検査の結果について
年金記録問題発生以降、厚生労働省及び機構が支出した対策経費は3873億余円となっており、最も支出額が多いものは「紙台帳とコンピュータ記録の突合せ関係」の1891億余円となっている。
厚生労働省は、未統合記録約5095万件の状況について、26年3月末時点で、基礎年金番号に統合済み又は一定の解明がなされた年金記録約3012万件を「解明された記録」として、ねんきん特別便等を送付したものの未回答となっているなどの年金記録約2083万件を「解明作業中又はなお解明を要する記録」として整理している。
カリスマリーダーなき後の崇高な理想と現実
全国で唯一議員報酬を日当制にした矢祭町の「今」
電子政府関係者の間では、矢祭町は、唯一の住基ネット不参加自治体として有名ですが、行財政改革の自治体としても有名です。日当制の導入により、純粋な議員活動とグレーゾーンの議員活動を峻別。本議会と委員会、全員協議会や行政視察などに限定して議員に日当を支給し、自宅での調査や研究、準備、住民との話し合いや研修などは対象外に。記事では、議会力の向上をいかにして担保するかという視点が欠落していると指摘しています。
関連>>矢祭もったいない図書館
健全財政で少子化知らず!下條村の驚くべき“村民力”
下條村の行財政改革は順調に成果を上げているようです。