つぶやき電子政府情報(2014年12月13日):マイナンバー制度における地方公共団体情報システム機構とは

マイナンバーの負担のあり方が変
マイナンバーは国の事業だから関連する費用は国の負担で、自治体のシステム改修も国の負担。マイナンバーのためのサーバを運用する機構の費用も国が負担すべきなのに、機構に掛かる費用は地方負担。さらに変なのは、全額国補助なので、国から市に入ったお金を右から左へ機構に支出。国策の必要で作られた組織で結局は全額を国が負担するなら、地方をトンネルせずに国が直接、機構に支払えばいいはずと。理事長の報酬上限が月額119万8千円についても言及しています。
 
共産党の市議会議員さんのブログですが、地方公共団体情報システム機構の負担金は、確かに変ですよね。
 
総務省の天下り機関として有名な「財団法人地方自治情報センター」が、マイナンバー制度の導入をきっかけに形を変えたのが「地方公共団体情報システム機構」です。略称として、「機構(きこう)」や「J-LIS(ジェイリス)」と呼ばれています。
 
機構は、法律(地方公共団体情報システム機構法)で定められた「地方公共団体が共同して運営する組織(地方共同法人)」なので、その資本金は地方公共団体から出資されています。言ってみれば、全国の自治体が株主になった株式会社みたいなものです。さらに機構の運営に要する費用についても、同法で地方公共団体が負担することになっています。
 
ですから、市議さんが指摘しているようなお金の流れは、「市から機構へ、その市が負担する分の費用を支出する」という法律で定められた行為なのですね。
 
機構の業務範囲も法律で定められていて、マイナンバー制度に関する事務もその一つです。マイナンバー以外にも、住基ネットや公的個人認証など、自治体の情報システムに関する業務のほとんどを、機構が取り仕切っていると言って良いでしょう。
 
マイナンバー制度は、市議さんが言われているように国の事業ですから、国から市に対して補助がありますが、他の機構の業務も国の補助を受けるものが多いので、「国から市に入ったお金(補助)を右から左へ機構に(機構運営の自治体負担分として)支出」と見えることがあります。
 
役員の報酬及び退職金については、自治体の首長等で構成される「代表者会議」の議決を経る必要があるので、市の議会で「理事長の報酬が高いのではないか」といった議論を行い、その結論を踏まえて、機構の「代表者会議」に提言するのは当然に認められます。
 
財団法人(公益法人)から「地方共同法人」になったことで、機構の経営についても自治体の権限が強化されたのですが、依然として総務省の所管(総務大臣への届出等が必要)であり、その影響を強く受けているのが実態です。実際、機構の役員情報(PDF)を見ると、副理事長と理事の一人は旧自治省出身者となっています。
 
機構の役割は何かと言えば、「国や地方の税金を財源とする自治体情報システム市場のハブとしての機能」です。
 
国(総務省)の配下に機構があり、その機構に全国の自治体がぶら下がっていて、さらにその下にITベンダーやシンクタンクがぶらさがっているという「エコシステム(生態系)」が出来上がっているわけです。「ITや情報システム」の名目で集められた税金を、官民学の関係者に再分配するということです。
 
こうした「エコシステム」が良いか悪いかは賛否の分かれるところですが、各自治体がバラバラに情報システムを構築・運用している現状を考えると、「お金の分配」はそれなりに上手くやってきたものの、「費用対効果の高い効率的で持続可能な自治体の情報システム」は実現できなかったわけで、機構のガバナンスについても経営・運営についても課題が多いと言えるでしょう。
 

 
少子化ニッポンの超タブー、衆院選の本当の争点は“老人を捨てるか、若者を捨てるか”だ! 週プレNEWS
森田朗先生と山本一郎氏が、週刊プレイボーイで対談。社会保障改革は国民が最も関心を持っている問題のひとつでありながら、選挙の争点になっていない。どうしてもさらなる増税や社会サービスのカット、特に投票力のある高齢者層の負担を増やすという話になるから。税の「負担」として国民が払うお金と、国や社会から「給付」として受けるお金の配分のバランスが取れていないと制度は維持できないと。正論ですね。
 
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則に基づく国税関係手続に係る個人番号利用事務実施者が適当と認める書類等を定める件」に対する意見募集について (締切:2014年12月16日)
マイナンバー法の施行規則で定める「個人番号利用事務実施者が適当と認める書類」等については、個人番号利用事務実施者(行政機関等)が定めることとされているので、国税関係手続における本人確認方法について意見募集しますと。個人番号カード、運転免許証、旅券写真付住基カード、税理士証票、写真付身分証明書(社員証や学生証等)、電子証明書、納税証明書、公共料金の領収証、印鑑登録証明書などが本人確認書類として認められる予定です。国税に限らず、本人確認方法はほぼ「何でもでもアリ」なので、「厳格な本人確認」とは言えないのが「マイナンバー制度における本人確認の実態」であることを理解した上で、制度を運用していく必要があります。
 
番号制度に係る税務関係書類の情報提供スケジュール(PDF)
法定調書や年末調整関係書類(控除申告等)は年内に、申請・届出関係は年度末(26年3月末)までに、所得税・相続税・贈与税申告書は27年12月に、番号を記載する様式等の情報が提供される予定です。情報提供してから3-6か月ぐらいで、省令や法令解釈通達等による様式が確定されて、実際の使用が始まります。
 
 
株式会社ベネッセコーポレーションへの措置通知について
平成26年11月26日 一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
プライバシーマーク制度の付与事業者である株式会社ベネッセコーポレーション(登録番号:10190316(05))の個人情報の取扱いに関し、プライバシーマーク制度委員会による審議を経て「プライバシーマーク制度運営要領」の「プライバシーマーク付与に関する規約」第15条に基づくプライバシーマークの付与取消し措置とすることを決定し、同社にこれを通知しましたと。「プライバシーマークの付与取消し」にあたっては、弁明の機会を提供することになっていますが、ベネッセとしては「改善して出直します」ということなのでしょね。他方、プライバシーマークを付与・認定したJIPDECに対しては、特におとがめも無く、具体的な改善措置等も発表されていません。
関連>>プライバシーマーク付与に関する規約(PDF)
プライバシーマークの取り消し措置とはどのようなものですか。また、どのように捉えているのでしょうか。
2014/11/26 よくいただくご相談とその回答   ベネッセお客様本部
 
行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会(第8回)
平成26年11月11日
中間的な整理(座長試案)、個人情報保護制度に関する国際的動向、行政機関等が保有する個人情報の管理状況の点検結果報告、指針見直しの方向性など。
 
行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会(第9回)
平成26年11月28日
基本法と行個法の関係、民間部門における監督体制(大綱における指摘)、行政機関等における監督体制・権限に関する検討、行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律等に係る第三者機関の在り方など。政府としては「第三者機関への権限集中には慎重」というスタンスでしょうか。
 
 
 
 
行政機関等が保有するパーソナルデータに関する研究会(第10回)
平成26年12月9日
行政機関等が保有するパーソナルデータに関する執行・監督体制・権限の在り方について(座長試案たたき台)を公表し、二つの案を提示。
 
 
 

 
EU、米国版Google検索にも「忘れられる権利」の適用を迫る指針策定
「忘れられる権利(right to be forgotten)」は、その印象から言葉だけが独り歩きしやすいですが、実際には一定の条件下で認められる「削除請求権(right to request to erase)」であって、これまでにも認められていた権利を再確認した上で、インターネット等の現状を踏まえて、請求先の対象が広がったに過ぎません。
 
普通に考えれば、誰かに対して「このことを忘れろ」と強制できないこと(思想及び良心の自由)は明らかで、「表沙汰にするな」「削除しろ」と言っているのですね。様々なサービスが出ては消えるインターネット上では、こうした流れは自然なもので、最終的には妥当なものに落ち着くことでしょう。
 
関連>>Factsheet on ECJ’s ruling on the ‘right to be forgotten’(PDF)
 
General Data Protection Regulation – European Parliament
(53)  Any person should have the right to have personal data concerning them rectified and a ‘right to be forgotten ‘ where the retention of such data is not in compliance with this Regulation.
 
In particular, data subjects should have the right that their personal data are erased and no longer processed, where the data are no longer necessary in relation to the purposes for which the data are collected or otherwise processed, where data subjects have withdrawn their consent for processing or where they object to the processing of personal data concerning them or where the processing of their personal data otherwise does not comply with this Regulation.
 
This right is particularly relevant, when the data subject has given their consent as a child, when not being fully aware of the risks involved by the processing, and later wants to remove such personal data especially on the Internet.
 
However, the further retention of the data should be allowed wh for reasons of public interest in ere it is necessary for historical, statistical and scientific research purposes,the area of public health, for exercising the right of freedom of expression, when required by law or where there is a reason to restrict the processing of the data instead of erasing them.
 

 
Social and welfare issues – OECD
OECD加盟34ヶ国における、1980年から2014年までの(2012-2014は予測値)社会保障・福祉の支出(政府だけでなく民間も含む)データを提供するページ。一部の国で支出を減らしたケースもありますが、多くの国では歴史的に高いレベルで増加していく傾向にあります。どこの国でも「年金と医療」の占める割合が大きくなっていますが、日本では特に両者の急激な増加が予想されていますね。
関連>>社会保障給付費の推移(PDF)
 
 
 
 
 
 

 
「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」の決定及び意見募集の結果
平成26年12月3日 総務省行政管理局
8月にパブコメがあったものですが、庁内調整も終わり、ようやくお目見えとなりました。世界最先端IT国家創造宣言に基づき、新たに情報システムの企画段階から運用、廃止に至る一連の過程を通じて体系化した共通ルール等を定めるものです。
従前、府省ごとに作成する情報資産台帳によっていた資産管理を、新ガイドラインでは、政府情報システム管理データベース(ODB)を活用し、全政府共通のDB化。管理の実施に差異があった開発・運用過程の実績情報を標準化し、予算・契約情報と合わせて情報管理をルーチン化。また、DBによる情報集約により政府CIOを中心としたITガバナンスを強化すると。
関連>>電子政府サービスの廃止で問われる政府の説明責任
第58回 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議 平成26年12月3日
政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドラインなど。以前は持ち回りが多かった会議ですが、遠藤政府CIOの効果もあって、最近は出席が多くなってきたようです。
 
 
第7回 防災・減災分科会 平成26年12月4日
山岳での災害対策の課題、全国山域対応のオンライン登山計画(登山届)システム、災害時の医療、東日本大震災の教訓をふまえた新たな災害医療情報収集のあり方など。
 
横浜市のオープンデータ活用と挑戦–地域の課題解決と経済活性化を狙う
横浜市でオープンデータの活用推進に取り組んでいる政策局政策部政策課担当係長の関口昌幸氏へのインタビュー記事。「地域課題に対し、市民と行政がともに取り組むエコシステムを作っていく。その仕組みを民間団体が運営していることが重要だ。大学やNPO、企業に検討してもらいやすくするため、データを可視化し、どんなデータをどのように活用していくのか対話の場をつくる。最終的には(市に頼らなくても)民間が独自で解決できる仕組みにする見通し」、「これまでは企業やNPOは、(市にとって)委託や補助の関係でしかなかった。オープンデータを通じて同じ課題を共有し、協創的な取り組みができるようになった」と。
 
神戸市:オープンデータ一覧
施設情報、防災、観光・文化、統計情報など。特に記載のあるものを除いて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 2.1 日本(CC BY 2.1 JP)で提供。
 
[バッドデータ(4)]データ辞書を管理するシステムを整備する
データ定義をシステム的に管理する仕組みとして「A.分析基盤型」「B.データハブ型」「C.マスターデータ管理型」「D.開発支援ツール統合型」「E.用語集」の五つのバリエーションが挙げられる。一気に企業内の全データを対象とするのではなく、まずは重要なデータに対象を絞った上でデータ辞書を管理するシステムを構築し、成功事例を積み重ねていくべきであると。
 
学習・教育クラウド・プラットフォームのアイデア募集
平成26年11月28日 総務省
(1)学習クラウドに搭載すべき機能やその利用方法、技術的要件等について、未来の学習環境をイメージしたアイデア、(2)学習クラウドの学校、学習塾、フリースクール等における具体的な利用方法等のアイデアを募集。平成27年1月5日まで。
 
特別報告・視察 佐賀県ICT利活用先進事例:テレワークとICT授業など
在宅勤務とモバイルワークを実践している職員からは、「以前は『終わるまでやる』だったが、『いつまでに終わらせるか』を強く意識するようになり、実際に効率が格段に上がった」と。
 
企業向けシングルサインオンサービス「ID Federation」のトライアル提供を開始
~クラウドサービスやオンプレミスの業務アプリケーションを
1つのIDでシームレスに利用できるハイブリッド環境対応~
最近は、クラウド型のID連携(ID Federation)サービスも増えてきました。ID連携と言えば、まだまだ「シングルサインオン」というイメージでしょうか。