つぶやき電子政府情報(2015年1月27日):27年度予算案にみるマイナンバー制度の費用は約1170億円
各省庁における平成27年度の予算案が公開されて、マイナンバー制度に関する予算も明らかになってきました。なお、予算案が正式に決まると、予算書・決算書データベースに登録されます。
平成27年度予算政府案
各府省の予算や決算の情報
などを見ていくと、だいたい次のようになっています。
■内閣官房
社会保障改革担当室(番号制度)63億円
(情報提供ネットワークシステム及び情報提供等記録開示システムの開発等を行うために必要な経費として)
情報通信技術(IT)総合戦略室8億円(パーソナルデータ利用促進等)も関係ありますね。
■内閣府
社会保障・税番号制度の啓発・広報 5億円
■総務省
個人番号カードの発行等の実施 488.5億円
地方公共団体の情報システムの整備への支援 127.5億円
■財務省
法人番号付番等に係るシステム経費 29.0億円
法人番号通知発送等経費 6.4億円
■文部科学省
より柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の導入に向けた対応の加速
<システム開発・改修費> 1.5億円 (平成26年度補正予算 6.6億円計上)
■厚生労働省
医療保険分野における番号制度の利活用に関する調査研究事業 1.1億円
社会保障・税番号制度導入のための取組 441億円
(地方公共団体及び医療保険者等で必要となる社会保障分野のシステム改修等に要する費用に対しての補助等)
これらを合計すると、約1,170億円となります。マイナンバー制度の整備費用は、約2500-3000億円と言われていますので、番号の通知が始まる27年度だけでかなりの費用が計上されそうです。
マイナンバー制度の導入で最もお金がかかるのが、自治体等における既存の情報システムの改修費用で、これに新規のシステム(マイナンバーや法人番号の生成・管理、組織間の情報交換を行うシステム等)の開発費用が加わります。個人番号カードを無料化したり、健康保険証として使えるようにすると、さらに費用が増えてきます。
上記の中で、特に金額が大きい総務省の予算を、もう少し詳しく見てみましょう。
平成27年度総務省所管予算(案)の概要 平成27年1月14日
平成27年度の予定額16兆3,428億円。地方分権や行政改革といった観点からも、総務省(国)が地方に分配するという方式は、そろそろ変えた方が良いですね。石破茂地方創生大臣が言うように、地方自治体間の競争を求めるのであれば、なおさらです。
電子政府関係では、次のようになっており
・ICTによる地域の活性化89.2億円
・ビッグデータ・オープンデータの活用13.6億円
・世界最高レベルのICT基盤の実現403.9億円
・行政のICT化の推進93.6億円
・個人番号制度の導入と個人番号カードの利活用促進639.9億円
・ICTの安心・安全の確保476.0億円
・効率的で質の高い行政の実現701.2億円など
この中の、「個人番号制度の導入、個人番号カードの利活用促進」639.9億円の内訳は、
(a) 個人番号の付番の実施 14.2億円
(b) 個人番号制度の導入及び利活用の検討 0.2億円
(c) 個人番号カードの発行等の実施 488.5億円
(d) 個人番号カードの普及・利活用の推進 0.4億円
(e) 公的個人認証サービス利活用の推進 5.5億円
(f) 情報提供ネットワークシステムの運用に向けた準備 3.6億円
(g) 地方公共団体の情報システムの整備への支援 127.5億円
昨年まで番号制度予算の大半を占めていた「地方公共団体の情報システムの整備」に代わって、「個人番号カードの発行等の実施」が最も多額になっています。一部の報道では、個人番号カード無料化の予算としていますが、今のところカードの発行手数料についての公式な発表は無いようです。
なお、平成26年度総務省所管補正予算では、社会保障・税番号制度に関する情報システム整備事業(自治体の関連システム改修支援)409.5億円が計上されています。
マイナンバー制度の整備費用は約2500-3000億円とされますが、毎年の維持費用は別途かかります。住基ネットの例を考えても、数百億円はかかりそうです。それだけの費用に見合った効果を生み出すためには、制度を運用する中で、定期的な評価・見直しをしていく必要がありますね。
関連>>マイナンバーに640億円 徴税強化、給付抑制に利用
個人番号カードを無料に マイナンバー制度、普及促す
マイナンバー制度の円滑な導入・定着に向けた緊急提言(PDF) 自民党 マイナンバー利活用推進小委員会
個人番号カードの無料化を提言し、「健康保険証としての利用ロードマップ案」を提示しています。
個人番号カード、保険証に 税管理、病院で使用も マイナンバー制度
厚生労働省は19日、社会保障と税情報を一元的に管理するマイナンバー制度で国民に配布される個人番号カードに、健康保険証と同じ役割を持たせる方針を固めた。運用開始は早くて2017年7月以降と。かなり先の話ですが、いちおう予定通り進んでいる感じです。健康保険の資格確認は、現行のマイナンバー制度でも十分に対応できるので、早期の実現を期待します。
関連>>「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の中間まとめ
生活保護費のプリペイドカード支給では、生活保護利用者の行動は改善できず、不正受給対策もできない
みわよしこ氏は、生活保護制度に関しては専門家ですが、ちょっと視点がずれている感じがします。クレジットカードの利用で恩恵があるのは、ここで言われているような「家計管理能力のない人、浪費癖のある人、ギャンブル依存症の人」ではなくて、「家計管理意識の高い人たち」だと思います。私自身も、クレジットカードを利用する理由の一つが、「家計管理がしやすくなるから」です。大阪市の場合、「希望者」に対してプリペイドカードで支給するということですから、その場合は「家計管理意識の高い人」である可能性が高いでしょう。
生活保護費のプリペイドカード支給で重要なのは、次の5点と考えます。
1.目的を明確にすること
2.対象者を絞り込むこと
3.費用対効果を比較検証すること
4.現在の運用と比べて費用が高くなる、期待されたほどの効果が無い等が明らかになった時点で、本導入を中止すること(撤退戦略を確立しておくこと)
5.上記の手法やプロセスについて、透明性・公開性を確保し、情報公開を徹底すること
個人的に一番危惧するのは、今回のような社会保障制度問題の解決に向けた試行錯誤に対する、「プライバシー侵害」や「人権侵害」の名の下での糾弾を恐れて、実証フィールドを提供する自治体が少なくなってしまうことです。そうした事態は、生活保護受給者に対する偏見や攻撃を助長するだけでしょう。
関連>>Visaプリペイドカードで大阪市の生活保護費支給、NTTデータなど4社がモデル事業
大阪市の「プリペイドカードによる生活保護費支給」は官製貧困ビジネス
情報理工R2P/GCL共催シンポジウム「マイナンバーとビッグデータ」
マイナンバー制度の民間利活用、マイナンバーの民間利活用における法的課題、ビッグデータとマイナンバー制度、ビッグデータ時代の個人情報の利活用など、興味深いテーマで講演者も豪華です。2015年3月16日(月)13:30-17:30、東京大学本郷キャンパスで開催。参加費無料(事前登録が必要)。
(説明文表示あり)事業者向けマイナンバー資料(平成27年1月版)(PDF)
解説付きの事業者向けマイナンバー資料(民間事業者の対応)が公開されました。現在は、内閣官房・内閣府、特定個人情報保護委員会、総務省・国税庁・厚生労働省がそれぞれ情報提供しているので、関係省庁共同名義の資料を提供するのは良いことですね。
関連>>事業者向けマイナンバー広報資料(平成27年1月版)(PDF)
iPhoneのテザリングがいっそうラクに使える方法2015年1月19日
iPhone&マックユーザー必見!スマホに触れずに簡単テザリング
おおっ、これは知らなかった。外出先でiPadをネット接続するとき、けっこう面倒なんですよね。さっそくiPhoneとiPadで設定しました(^^) なお、iPadのwifi選択画面にテザリング接続を表示させるためには、iPhone側の「Bluetoothをオン」にする必要があります。
いよいよマイナンバーの通知が始まる
マイナンバー制度への民間企業の実務対応について KPMG
KPMGと聞くと、監査法人系のコンサルというイメージが強いですが、税理士法人や社会保険労務士法人も抱えているんですよね。まさにマイナンバー特需の恩恵が期待できる企業の一つかと。
コンビニバイトが「派遣」に変わる
マイナンバーが揺さぶる企業の採用活動
マイナンバー制度をビジネス機会と捉える業界では、本人確認や特定個人情報の管理を含めた人事・給与・総務関連業務のアウトソーシングや関連サービス・システムの市場規模拡大に期待しています。特にマイナンバー制度の導入期である今年から来年にかけて(2015-2016年)には、こうした動きは活発化するでしょう。
DBセキュリティ見直しにも影響するマイナンバー安全管理の“要件”と“盲点”
権限管理/アクセス制御によって、「ある特定の権限を持つ人だけに、マイナンバーが含まれている表や列へのアクセスを許す」といった制限をかけなければ、不用意/不正なSQL操作により、どのシステム(アプリケーション)からもマイナンバーを検索/参照できてしまう可能性がある。これは、マイナンバー制度上、絶対に避けなければならない。特権ユーザーも含めた厳格な権限管理/データベースアクセス制御が必要と。
こうした記事を見るにつけ、世界に類をみない番号制度を日本が採用しつつあることを再認識すると共に、一体何を守ろうとしているのかと思います。。
医療保険の支払等にも使われるので、「マイナンバーの利用範囲は行政手続きのみ」というわけではありませんが、マイナンバーを含む特定個人情報の取り扱い制限が厳しいことは確か。特定個人情報に対する「アクセス制御」「アクセス者の識別と認証」「外部からの不正アクセス防止」「情報漏えい防止」といった措置が推奨されますが、全ての企業や事業主が対応するのは困難なので、制度を運用する中で調整されていくことになるでしょう。
関連>>特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン
『データベースセキュリティガイドライン 第2.0版』DBSC
法務省:戸籍制度に関する研究会
マイナンバー制度の利用範囲拡大の方向性を受けて、平成26年10月に立ち上げ。検討課題として、戸籍情報システムの一元化(クラウド化)も挙がっています。戸籍の見直しは、日本がデジタル社会へ移行するための第一歩です。
関連>>個人番号の利用範囲拡大の検討状況について(PDF)
15年度予算案、くらし・経済こう変わる :日本経済新聞
日経的な視点で、わかりやすく整理してありますね。社会保障費膨らみ年金に初の抑制策、公共事業は新幹線と防災に力点、「安倍カラー」鮮明で防衛予算は最大に、「地方創生」に手厚い配分、財政再建はなお険しい道と。
平成27年度予算:文部科学省
○大学等奨学金事業の充実(無利子奨学金事業) 748億円の中で
◆より柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の導入に向けた対応の加速
奨学金の返還の負担を軽減し、返還者の状況に応じてきめ細やかに対応するため、所得の捕捉が容易となる社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入を前提に、返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」の導入に向けて、詳細な制度設計を進めるとともにシステムの開発・改修に着手する等の対応を加速する(26年度補正予算案にシステム開発費を7億円計上)と。
その他に、
・人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上【1億円】
・幼児教育の段階的無償化に向けた取組の推進【402億円】などもあります。
平成27年度予算政府案 財務省
経済再生と財政再建の両立、財政健全化目標の堅持を目指すと。
関連>>平成27年度財務省所管予算概算が決まりました 平成27年1月14日
社会保障関係費(年金・医療等)として667億円を計上。
平成27年度税制改正の大綱(PDF) 平成27年1月14日 閣議決定
個人番号を用いることによる非課税口座の開設手続の簡素化については、平成29年分までは基準日の住所を証する住民票の写し等の提出により重複して非課税口座を開設することを防止する実務が確立していることを踏まえ、平成30年分以後の非課税口座の開設の際に実施できるよう、引き続き検討を行う。
スキャナ保存の対象となる契約書及び領収書に係る金額基準(現行:3万円未満)を廃止する。
電子情報処理組織により申請等を行う際に送信する電子署名及びその電子署名に係る電子証明書について、個人が、当該申請等に係る開始届出等の際に行われた本人確認に基づき通知された識別符号及び暗証符号を入力して申請等を行う場合には、その電子署名及び電子証明書の送信を要しないこととする。
その他、マイナンバー制度を活用した「住民票の写し等の添付省略」などもあります。
関連>>e-Taxが快適に!国税関係書類のスキャナ保存制度【平成27年税制大綱】
マイナンバー制度対応ソリューションを体系化し提供開始
2015年1月21日 富士通株式会社
業務アプリケーションから、BPOサービス、教育サービスまでをトータルに提供し、お客様を強力に支援しますと。富士通グループ全体を横断する「番号制度推進室」も設立。政府、省庁、自治体、士業、民間企業と、マイナンバー対応サービスも、上流から中・下流へ移りつつあります。今後は、個人向けサービスも増えそうですが、同時に個人を狙ったマイナンバー関連詐欺が増えると思いますので、住民への説明には注意喚起も必要ですね。
「税務署や市町村、金融機関、その他の民間企業等が電話でマイナンバーを尋ねることはありません。詐欺の可能性がありますので、速やかに電話を切り、警察や特定個人情報保護委員会へ連絡してください。」とか。
法務省:ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動
特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動(いわゆるヘイトスピーチ)に関する現状と、法務省の人権擁護機関による啓発・広報活動等を紹介。ヘイトスピーチに対しては、平和的・多角的な対抗措置を地道に行っていくのが一番と思います。
2015年、シリコンバレーが直面するプライバシーの悩み
たくさんのユーザーのデータを扱うIoTが、プライバシーの問題を顕在化させるだろうと。ビッグデータとプライバシーへのオバマ大統領の対応など、ホワイトハウスや連邦取引委員会(FTC)の動きには注目ですね。なお、FTCが取り扱うのは産業界のプライバシー問題(消費者プライバシー政策)です。
サイバーセキュリティ保護の8つの約束
カスペルスキーラボが推奨する、サイバーセキュリティを確保するために2015年を通じてユーザーが実行すべき8項目。すべてのシステムアップデートをインストールすることが重要であると。重要なデータのバックアップも大切ですね。
家計簿アプリ「Zaim」、意外と知られてない給付金を教えてくれるサービス
住んでいる地域や家族構成、家計簿の記録から、ユーザーがもらえる可能性のある、国や地方自治体の給付金を教えてくれるサービス「わたしの給付金」と、医療費控除の対象になる可能性のある支出を自動的に抽出するサービス「わたしの医療費控除」を開始したと。
同様のサービスを企業を中心とした顧客に対して提供しているのが士業ですが、オープンデータが進むと、民間企業が提供するアプリがライバルになりそうです。
Digital Health Dilemma: Regulators Struggle to Keep Pace with Health-Care Technology Innovation
法規制がITの進化に追いつけないのは、米国も同じようです。特に法律や規制がイノベーション阻害していると言われる重要な分野のひとつが医療であり、the Health Insurance Portability and Accountability Act (HIPAA)はモバイルヘルスアプリケーションに対応できていないと。
関連>>米国のHIPAA法における個人情報等の保護に関する規定について(PDF)
Could Better Health Be all in the Wrist?
性犯罪の罰則に関する検討会第4回会議(平成26年12月24日)
性犯罪の罰則の在り方に関する論点整理(案)、性犯罪に関する諸外国の法制に関する資料、警察における性犯罪の認知・検挙件数の推移(昭和26年~平成25年)など。平成10年頃から強制わいせつの認知件数が急激に増えているのは、何か理由があるのでしょうか。平成16年の法定刑引き上げの効果は見られるので、更なる引き上げ余地がありそうです。
第3回社会保障制度改革推進本部 平成27年1月13日
医療保険制度改革骨子、社会保障制度改革のスケジュールなど。子ども・子育て支援を始め社会保障の充実について、可能な限り、予定どおり実施するとともに、平成29年4月には確実に消費税率10%への引上げを実施してまいりますと。改革骨子には、医療費適正化計画の見直し、個人や保険者による予防・健康づくりの促進、負担の公平化などが含まれます。
平成27年度介護報酬改定に関する審議報告
平成27年度介護報酬改定の基本的な考え方は、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、介護人材確保対策の推進、サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築。介護職員処遇改善加算の拡大、報酬評価の体系化・適正化と運営の効率化など。
「特許庁業務・システム最適化計画」に係るシステム開発関連情報の公表
システム開発の透明性をより高めるとともに、開発内容の妥当性の維持・向上を図り、着実にシステム開発を進めるため、最適化計画に係るシステム開発の関連情報を公表しますと。平成27年1月に中国・韓国語の特許文献に対応した機械翻訳・検索システムが本格稼働し、ホストコンピュータのオープン系システムへの移行が完了しています。
関連>>中韓文献翻訳・検索システム
中小企業・小規模事業者への資金繰り支援・事業再生支援を強化します
政府系金融機関による資金繰り支援、信用保証協会による資金繰り支援、中小企業再生支援協議会による事業再生支援など。企業倒産が少ない理由のひとつが、過剰な企業の保護と言われますが、必要なのは競争力の無い企業が淘汰される新陳代謝の適正化でしょう。
ICTサービス安心・安全研究会
個人情報・利用者情報等の取扱いに関するWG(第1回)平成27年1月8日
個人に関する情報や通信の秘密の保護の対象とされる情報などICTサービスにおける個人情報・利用者情報等の取扱いの在り方について、最近の動向を踏まえ、専門的な観点から検討すると。ICTサービスにおける個人情報・利用者情報等の取扱いに関する現状と課題など。
総務省まち・ひと・しごと創生推進本部(第4回)平成27年1月14日
まち・ひと・しごと創生総合戦略における総務省の主な施策、地方創生コンシェルジュの選任、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンなど。
平成27年度地方財政対策のポイント及び概要 平成27年1月14日
公共施設等総合管理計画に基づき実施する公共施設の集約化・複合化、転用、除却のために必要な経費として地方財政計画の投資的経費に「公共施設等最適化事業費(仮称)」を計上。公共施設等の維持補修費を増額。
平成27年度地方税及び地方譲与税収入見込額 平成27年1月14日
道府県税と市町村税、共に平成26年度当初見込額より増加。