「法令を国民の手に取り戻す」ために

法令データベース「e-Gov法令検索」のリニューアル公開 平成29年6月23日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyokan01_02000059.html
二次利用が容易なオープンデータとして、各府省が確認した法令データを標準データ形式(XML形式)で提供するとともに、データを利活用しやすくするためのAPI機能なども提供すると。なお、「法令標準XMLスキーマ」については、すでに意見募集結果も出ています。
関連>>法令標準XMLスキーマ案に関する意見の募集結果
今後は、エストニアの法令データサービスが実現しているように、新旧法令や英訳との比較などが待たれるところです。
エストニア 個人データ保護法の新旧対照比較

エストニア 個人データ保護法の英訳と原文比較
今回の試みは非常に重要なテーマなので、少し詳しくコメントしておきたいと思います。
まず、法令データを二次利用が容易なオープンデータとして公開することは、とても有益なことです。法治国家では「法令のアクセシビリティ」が、様々な国民の権利を保障するための拠り所になるからです。
プライバシーの分野では「個人データを国民の手に取り戻す」といったことが言われますが、デジタル政府、デジタル社会を実現していく過程においては、「法令を国民の手に取り戻す」ことが必要不可欠であり、「法令データのオープンデータ化」は「初めの一歩」と言えます。
ここで「初めの一歩」としたのは、より重要なことがまだ残されているからです。それは、次の二つです。
1 法令データのソースコード化
2 立法ツールの作成とオープンソース化
今回の「e-Gov法令検索」のリニューアルは、現行の法令データに合わせたものであり、法令データの構造等を見直すことはしていません。つまり「紙の電子化」の延長であり、依然として「法令は一部の特殊な知識や技能を有した人たちのもの」にとどまっています。
より重要なのは、「法令が中学生でも容易に理解できるぐらいにわかりやすくする」ことですが、日本の法令は驚くほどにわかりにくい(意図的にわかりにくくしている)のです。
例えば、マイナンバー法では、第二節「行政機関個人情報保護法等の特例等(第30条以下)」が他の法律の読み替えを一覧で提示するものになっており、マイナンバー法単体では理解できない内容になっています。これをアクセシビリティの「読み上げ機能」などを使って聴いてみると、さらに理解不能になります。
このあたりの問題については、すでに富士通総研主席研究員の榎並さんが「立法過程のオープン化に関する研究 ―Open Legislationの提案―」で整理されています。
法令データの構造を見直し、ソースコードに近づけることで、GitHubなどで使いやすくなり、議論もしやすくなるでしょう。
法令データのソースコード化が実現した後には、さらに重要な「立法のオープン化」が待っています。
「立法のオープン化」で最も大切なのは、「法案作成の機能」です。立法機能は、日本国憲法第41条「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」の通り、国会が担っています。つまり、国会議員の仕事は法律を作ることなのです。
しかしその実態を見ると、議員立法(国会議員の発議により成立した法律)は少なく、官僚が法案を作り、それを国会議員が議論する(ワイドショー化した国会で有益な議論がされているとは言えない状況ですが。。)という流れになっています。
しかも、「法の番人」などと勘違いしている内閣法制局が関与することで、議員提案の法律案も各省庁の縄張りに配慮したものになってしまいます。
デジタル政府、デジタル社会において最も重要なのが「透明性」です。今のままでは、行政の肥大化が進み、政府の「透明性」は損なわれていくばかりです。
「法案作成の機能」を備えた「立法ツール」を作り、それをオープンソース化することで、「立法機能を国会と国民の手に取り戻す」ことが、「法令を国民の手に取り戻す」ことの最終的なゴールとなります。
「立法ツール」は、国会議員とそれを支える政策立案・法案作成チームがヘビーユーザーとなり、かつ各分野の専門家を含むより多くの国民が自由に使えることが大切です。
今後は、人工知能が政策立案・法案作成を行なう場面が増えてくるでしょう。「法令データのソースコード化」は、それを加速するものです。内閣法制局の仕事は、速やかに(ブラックボックス化されていない)人工知能に置き換えるべきです。国会議員がわざわざ国会議事堂という場所に集まって行なう不毛な議論も、その機会を与えなければ、不必要な議員と共に自然淘汰されていくことでしょう。


第3回 データ流通環境整備検討会 平成29年5月29日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/dai3/gijisidai.html
オープンデータを巡る最近の動き及びこれからのオープンデータの進め方(報告)、オープンデータ基本方針(案)など。機械判読に適した構造及びデータ形式で掲載することを原則とし、法人情報を含むデータは法人番号を併記すると。
オープンデータの定義
① 営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの
② 機械判読に適したもの
③ 無償で利用できるもの
関連>>オープンデータワーキンググループ(第3回)平成29年5月23日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/data_ryutsuseibi/opendata_wg_dai3/gijisidai.html


第71回各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議 平成29年6月16日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/dai71/gijisidai.html
行政手続等・行政保有データの棚卸しについて。棚卸ししても、その後にデータの整理・統合や管理主体・方法の見直しをしないと、あまり変わらないでしょう。
関連>>Bronnoysundregistrene
https://www.brreg.no/about-us/
ノルウェーの登録センターは、企業、非営利団体、倒産、結婚和解、狩猟ライセンスなど、国の主要な20の登録簿(データベース)を管理しています。
スタートアップシティー福岡市が電子国家エストニアで感じた手応えと課題
https://www.businessinsider.jp/post-34336
日本の「市場」に対する参加者からの唯一の期待感は、「高齢化社会のモデル」という部分。特にヘルスケアの領域はマーケットとして有望ではないかと。
関連>>エストニア、電子居住者向けの「国境なきデジタルバンキング」開設
http://wired.jp/2017/06/21/eu-bank-estonia-eresident/
健康・医療戦略推進本部(第十八回)平成29年6月14日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai18/gijisidai.html
平成29年度 第1回医療分野の研究開発関連の調整費の配分、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の取組、医療分野の最近の研究開発動向など。
「改正個人情報保護法」、医療現場にもたらす影響は…
http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/052600126/061600007/
要配慮個人情報は原則として、本人の同意(オプトイン)を得ない取得が禁止。利用目的の変更が認められない、第三者提供のオプトアウトが使えないなど。次世代医療基盤法では死亡した患者の情報も対象にしている。ウエアラブル端末などで個人が直接収集する活動量などの健康情報は、医療情報と言えず法律の対象外と。
関連>>
次世代医療ICT基盤協議会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/jisedai_kiban/kaisai.html
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律案(参議院可決)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/meisai/m19303193053.htm
「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果について 平成29年6月13日
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/06/1386753.htm
日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数は 34,335人で前回調査より5,137人増加。日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒数は 9,612人で前回調査より1,715人増加。移民受入れ増加を検討するのであれば、子供の教育についても早急な整備が求められます。
立ちすくむ国家ワークショップ 開催しました
立ちあがる個人により組織を超えて作られたアクションプラン。
https://medium.com/code-for-japan/ws0613-314785893874
ワークショップの目的は、「自分のアクションプランを導き出す」ということ。「では、自分はどうするか?」を考え、アクションに繋がるプランを作ることが成果であると。会場の熱気が伝わりますね。
警察の最大の武器は「共謀罪」ではない
http://agora-web.jp/archives/2026680.html
「共謀罪」法の成立で「監視社会」になるという話が、また出ているようだが、これは「国民総背番号」や個人情報保護法のときも、一部の人々が騒いだ話と。
どうにも使いにくい高コストな「マイナンバー」ができてしまったのも、「国民による選択」ですが、そうした選択をしている限りは、「国民による国家の監視」を実現することもできないでしょう。
関連>>国民保護のあり方に関する提言 自由民主党政務調査会
https://www.jimin.jp/news/policy/135173.html
アップル、個人の医療情報を「iPhone」に集約する計画に向け協議中か
https://japan.cnet.com/article/35102847/
Appleは、詳細な検診結果やアレルギーの一覧などのデータを「iPhone」に集約する計画について、開発者、病院、業界団体と協議していると。
インターネット上に公開された個人に関する情報等の取扱いに関する研究会(第1回)
平成29年5月16日
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/personal_information/02kiban18_02000014.html
プライバシー侵害情報等インターネット上の個人に関する情報であって本人が公開を望まないものを「対象情報」として、その取扱に関し、国内及び海外における事例や動向について情報共有を行うとともに、関係者がとりうる具体的方策その他について検討すると。
削除請求に関する近時の判決、削除請求に関する制度の動向、違法・有害情報相談センターに寄せられている相談状況、迅速な対応の実現に向けた方策など。
自治体の「子育てアプリ」について
http://ameblo.jp/kizunamail/entry-12281893948.html
使われていない現状を踏まえて、アプリで「情報を伝える」ことが主目的だとしたら、LINE、Twitter、Facebookなど、すでに優れた「UI」「UX」を持っていて、子育て世代が使っているアプリがあるのに、なぜわざわざ「ダウンロードしてもらうことから始める必要があるアプリ」を作るのかと。全くその通りで、民間で普及しているアプリに合わせて「自治体の情報を取り込めるようにする」のが基本ですよね。アプリを作る場合も、全国自治体で使えるものが一つあれば十分です。現在の状況は、バラバラなデータ管理とITガバナンス欠如の結果と言えるでしょう。
高齢者優遇と医療費拡大、悪いのは誰だ?
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/051000049/061200007/
診療報酬制度そのものを見直すしかない。それには専門家がエビデンスをベースに、数年かけてじっくりと解を見出していかなければならない。「包括支払い」方式と「ペイ・フォー・パフォーマンス(業績に対する支払い)」の組み合わせが良いのではないかと。医療に限らず、日本の官僚はインセンティブ設計が苦手ですよね。
平成29年度予算 データ利活用型スマートシティ推進事業に係る採択候補先の選定及び提案の追加公募 平成29年6月16日
追加公募の提出期限は、平成29年7月7日(金)午後5時
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000225.html
札幌市データ活用プラットフォーム構築事業、官民データ活用シナリオ創発プラットフォーム事業(横浜市)、安全・安心のまちづくりに係るデータを活用したスマートシティのあり方検討事業(加古川市)、高松市データ利活用型スマートシティ推進事業を選定。
AIネットワーク社会推進会議 報告書2017(案)に関する意見募集
情報通信政策研究所
平成29年6月14日(水)から同年7月7日(金)まで意見を募集
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000062.html
別紙として、国際的な議論のためのAI開発ガイドライン案、AIネットワーク化が社会・経済にもたらす影響評価など。
【クロサカタツヤ×力武健次】エンジニアを使い捨てにする日本は、すでにAI後進国という現実
http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2017/06/post_7633/
福島第1原発の事故後、多くの人が学者に対して、学者であるという理由だけで罵声を浴びせた。鬱積していたものもあるのでしょうが、それを目の当たりにして、嫌になった。そして、同じことがソフトウェア・エンジニアに対して起こらないとは、まったく言えないと。
電子納税の簡素化を検討 政府税調、利用拡大めざす
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H4Q_Z10C17A6PP8000/?n_cid=NMAIL002
政府税調の委員がエストニアや韓国など7カ国を視察して得た先進事例を参考に、ネット上で納税手続きが完結する電子納税の拡大策をまとめると。
日本の治安は世界最高レベルなのに、それを実感できない理由
http://diamond.jp/articles/-/132495
死因統計による他殺者数は、2016年に289人と初めて300人を切り、おそらく日本史上、最少のレベルに。この10年で半減したにもかかわらず、世の中から殺人が減っていない印象があるのは、以前は深刻な殺人事件だけ取り上げていた新聞やテレビが、すべてを報道するようになったことに加え、事件をめぐる映像表現が以前よりリアルになっているためではないかと。