「紙の証明書等の取寄せサービス」に将来性はあるか?
面倒な“行政手続き”をITでスマートにするグラファーが1.8億円を調達
https://jp.techcrunch.com/2019/01/21/graffer-fundraising/
法人登記簿謄本の取得手続きがオンライン上でスピーディーに完結する「Graffer法人登記簿謄本取寄せ」など既存サービスの機能拡充に加え、2月に予定している新サービスに向けて開発面を中心に組織体制を強化すると。
“行政手続き”のスマート化には、すでに税金10兆円は使っていると思いますが、日本だと結局はこうなってしまうのですね。あまり手広くやりすぎると、士業からクレームが来そうですが。。
紹介されているような仲介サービスは、以前からありましたし、行政書士等の士業が行っている場合もあります。私も10年ほど前に、証明書発行サービスは、すべて楽天等のオンラインショップを利用すれば良いと提案しました。
電子申請の現在と未来(6)、税金を使わない電子政府サービスを考える
こうした「アナログとデジタル融合型」の電子政府サービスが出てくると、ついつい「紙の証明書そのものを不要とするべきだ!」と言いたい人も多いと思いますが、そう言われ続けて20年ぐらい経って何にも変わってないので、個人的には大歓迎のサービスです。どんどんやってください!
ビジネスとして見た場合、「紙の証明書等の取寄せサービス」は、いくつかのルールを守りさえすれば、それなりの安定した市場規模があるので、年商で億円単位ぐらいは稼げる可能性があります。なので、今回の調達金額1.8億円は、妥当な数字だと思いました。
いくつかのルールとは
・顧客は企業や法人とすること(個人向けサービスでないこと)
・取寄せできる証明書を限定すること
・士業対策をしっかり行うこと
「Graffer法人登記簿謄本取寄せ」の優れている点は、顧客が企業であること、「法人登記簿謄本」を対象にしていることの2点です。
年間の国の申請・届出等の件数は5億件ほどですが、そのうちの約4割が登記関係のもので、その大半が登記簿謄本の発行に関するものです。つまり、民間が参入しても薄利多売のビジネスが成立する余地があるのです。
加えて、「登記事項証明書等の請求」は既に法務局がオンライン化、つまりは「アナログとデジタル融合型」を実現しており、しかも「神対応!(紙とはかけてない)」とも言えるほど「至れる尽くせりサービス」になっているのです。
では、こんな美味しい「お取り寄せ証明書」が他にもあるかと言えば、残念ながらありません。個人向けの戸籍や住民票等の証明書については「薄利薄売」となる構造なので、これだけで初期投資を回収することは極めて難しいでしょう。
そんなわけで、今日もどこかで誰かが叫ぶのです。
紙の証明書そのものを不要とするべきだ! と。。