デジタル・ガバメントは「公的情報へのアクセス権」を保障しなければいけない

電子政府の再構築として、日本版「デジタル・ガバメント」が進められていますが、その具体的な姿が少しずつ明らかになってきました。本質的には、国と自治体の情報システム(データベースを含む)のガバナンスの問題を解決しない限り、「デジタル・ガバメント」が実現することはありません。流行りの「サービスデザイン」や「サービスカタログ」も、手段・方法に過ぎず、その背景には「公的情報へのアクセス権の保障」という大きな目的があります。

「公的情報へのアクセス権を保障する」とは、いわゆる「情報公開請求」のように、「国民からの求めに応じて、政府が保有する情報を公開する」という消極的なものではありません。「国民や企業が理解しやすく利用しやすい方法・形式で、積極的に情報を提供し、国民の権利行使や社会経済活動を支援する」ということです。多くの役に立つ公共サービスも、その存在を知ってもらえなければ意味がありません。サービスを利用するための手続きが複雑でわかりにくいものだったら、サービスを必要とする人々の役に立つこともできません。「公的情報へのアクセス権の保障」は、「国民の生活を守り、人々の幸せを最大化する」ために欠かせないものなのです。

国や自治体でバラバラに進められる電子政府サービス、サービスごとに異なった利用環境を求められる、サービスデザイン思考に欠けた使いにくいサービス、各自治体ごとにバラバラかつ重複して管理されるデータ、同じような機能のシステムを自治体の数だけ作ってしまい更新もままならない、標準化が一向に進まない各種様式や業務・システム、一般の人には理解することも難しい時代錯誤の法律。。それらは全て「公的情報へのアクセス権を侵害する行為」です。

「デジタル・ガバメント」では、「公的情報へのアクセス権」を保障しなければいけません。

電子政府関係者に限らず、公的業務に関わる全ての人たちは、自分たちの行為や不作為、サービスや情報システムが「公的情報へのアクセス権を侵害していないか」と、常日頃から注意するようにしましょう。


第4回新戦略推進専門調査会デジタル・ガバメント分科会
第25回各府省情報化専任審議官等連絡会議合同会議 平成31年2月20日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/dejigaba/dai4/gijisidai.html

エストニア・e-Governance Academyによるデジタルガバメント研修参加報告及びご提案、サービスデザイン思考の推進と国際連携、サービスカタログ等の整備、法人デジタルプラットフォーム構想と政府全体での活用に向けて、デジタル手続法案など。サービスカタログは電子政府の設計思想でも特に重要なので、早期に整備して欲しいと思います。デジタル手続法案は、資料を見る限りでは微妙な感じ。。マイナンバーカードは迷走中ですね。
関連>>CPSV-AP – Tools
https://joinup.ec.europa.eu/collection/semantic-interoperability-community-semic/cpsv-ap-tools

平成31年2月26日 経済財政諮問会議
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201902/26keizai.html
平成31年2月26日、安倍総理は、総理大臣官邸で平成31年第3回経済財政諮問会議を開催。
Society 5.0の取組の中で最も遅れているのは、国と地方の行政の分野。今後の人口減少や高齢化の中で、行政サービスの質を維持していくためにも、仕事のやり方を変えた上で取組を進めるべき。デジタル・ガバメント閣僚会議議長の官房長官を中心に、平井大臣や石田大臣など関係閣僚の協力を得て、安倍内閣を挙げてこの分野の取組を加速させてまいりますと。
マイナンバーカードの普及に向けた取組は、今後も行政の限られた財源や人的資源を浪費していくのでしょうか。。

関連>>平成31年第3回経済財政諮問会議資料
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/agenda.html
有識者からの意見では、
・国及び自治体等の情報システムやデータは、まずは国の財源で集約・標準化・共同化し、原則、オープンな形で誰もが利用でき、キャッシュフローを生み出す「公共財」となるよう、設計すべき。
「自治体・省庁など公的機関向け行政サービスの標準メニュー体系」については、
・Digital transformationにおいては、まず業務の整理・標準化・共有化が必要
・個人IDと共に、行政サービスにもIDを付与。Digital化を促進(民間の商品IDに相当)
・行政サービス間の関係性、根拠法や手続き上の申請書や留意事項も検索が容易
・地域独自性を出すカスタマイズも容易(地方創生のツールとなる)

茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019/0226/interview.html
「次世代型行政サービスへの改革」については、
1番目、利用者目線で、国と地方の行政のデジタル化を早急に実現すべき。
2番目、国と自治体の情報システムやデータを集約・標準化・共同化・オープン化し、誰もが利用できるようにすべき。
3番目、公共サービスにおける多様な連携を推進するとともに、スマートシティの先進・優良モデルを全国展開すべき。
平井大臣からは、デジタル手続法案を通常国会に提出する、それから、予算・調達の一元化を含めて内閣官房における政府情報システムの一元的管理強化に向けて検討を開始した、それから、引越しなどのライフイベントに係る手続のワンストップ化を進めるといった話がありました。


独自利用事務の情報連携に係る届出の承認について
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/190222_shiryou2.pdf
番号法第9条第2項の条例で定める事務をいい、条例を定めた地方公共団体は、特定の事務について独自に番号を利用することが認められている。情報連携の対象となる独自利用事務の事例として35事例を公表していると。

ネットワーク中立性に関する研究会中間報告書(案)に対する意見募集
平成31年2月26日(火)から同年3月18日(月)まで
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000147.html
「インターネットの利用に関する利用者の権利」と、「ネットワーク中立性のルール」については、電気通信事業者のみならず、コンテンツ・プラットフォーム事業者を含めた多様な関係者によって尊重・遵守されることが重要であると。

2019年2月19日 4月から国立国会図書館の書誌データを利用目的にかかわらず自由にご利用いただけます
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2018/190219_01.html
対象となる書誌データの範囲や書誌データを取得する方法の詳細等については、今後、書誌データを提供するそれぞれのデータベースにおいて、順次お知らせいたしますと。

「未来の教室」実証事業の最終成果報告会を開催します
2019年3月1日 経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190301001/20190301001.html
2018年6月の「未来の教室」とEdTech研究会第1次提言を踏まえ、新たな教育プログラムの開発等に向けた実証事業に取り組んでいる。本年度事業の成果報告として、最終成果報告会を開催する。リカレント関連事業、就学前・初中等・高等関連事業の報告会は、ライブストリーミングで配信予定。
関連>>「未来の教室」とEdTech研究会-第1次提言
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180628001.html


ダークWebと混同するな、サイバー攻撃を観測するダークネットの威力
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00139/022100048/
NICTERプロジェクトでは、ダークネットを使って、怪しい通信を観測している。ダークネットは、企業や組織に割り当てられているものの、実際には使われていないIPアドレス群のこと。
関連>>NICTER観測レポート
https://www.nict.go.jp/cyber/report.html
サイバー攻撃誘引基盤“STARDUST”(スターダスト)
https://www.nict.go.jp/press/2017/05/31-1.html

2020年、ブロックチェーンは全く異なる「何か」になる
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/022500241/
DTR(Distributed Technologies Research)は2019年1月17日、スケーラビリティー問題を解決したとする決済用のブロックチェーン「Unit-e」を開発し、論文を公開したと。エストニア政府が採用するKSIブロックチェーンは、「スケーラビリティー」と「セキュリティー」を満たしつつ、「非中心性」については別のアプローチで対応している感じでしょうか。

ブロックチェーンハッカソン2019を開催しました 2019年2月28日
学位・履修・職歴証明や研究データ管理の真正性が担保される社会基盤構築を目指して
https://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190228004/20190228004.html
・学位や在学期間のポートフォリオを一括管理するシステム
・臨床研究の解析アウトソーシング分散プラットフォーム
・オープン型資格・履修履歴プラットフォーム
・研究の信憑性を担保し、世界中の研究者が継続利用可能なドローンプラットフォーム


医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律と個人情報の保護に関する条例との関係について(周知)平成31年2月22日改正
内閣府 日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室 次世代医療基盤法担当
https://www8.cao.go.jp/iryou/notices/notices.html

地方公共団体及び地方独立行政法人が保有する医療情報を認定匿名加工医療情報作成事業者に提供することが円滑に行われるためには、法と個人情報の保護に関する条例との関係について、関係者間で十分に理解を共有する必要があると。
エストニアでは、科学研究や政府統計の用途で(医療を含む)個人データの利用が「本人同意不要」となっているので、「匿名加工医療情報」を利用するというニーズは、あまり無いと思います。「個人データの匿名化」については、復元可能な仮名化データと異なり、「本人の権利が行使できなくなる」という側面もあるので、基本的には「公開される統計データ」といったごく限られた場面での話だと理解しています。
関連>>医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律についてのガイドライン 平成30年5月
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/jisedai_kiban/pdf/h3005_guideline.pdf

患者情報持ち出しは最小限に、注意は最大限に
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/furukawa/201902/559680.html
医療系国家資格を持つ者に対しては、退職後を含めて、業務上知り得た秘密の保持が法的に義務付けられているので、紛失の結果、第三者に情報が漏れた場合も、法的責任が問われることになると。

IoT化で医療機器のハッキングのデモが相次ぐ
FDAがセキュリティー管理のガイドラインを公表
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00619/00001/
カナダ保健省のガイドラインでは、許可されていない第三者が機器の初期設定を改ざんすることを防ぐために製品のセキュリティーテストを市販前の検証プロセスに組み込むことを推奨していると。エストニアでは、IoT化された医療機器のセキュリティでも、KSIブロックチェーンを採用する動きがあります。
関連>>医療機器のサイバーセキュリティの確保に関するガイダンスについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000346114.pdf

外来で年間12億錠も出される大問題なあの薬
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/ndb-yoshimura/201901/559568.html
外来で提供されたベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤の処方状況を、「エチゾラム」(商品名デパスなど)を例に可視化。臨床現場では診療ガイドラインを熟知し、安易にエチゾラムの新規処方や増量は行わず、再来患者に対しても漫然とした長期処方は避け、可能なら中止を試みる必要があると。エストニアでは、電子処方箋の開始に伴い、どの医師がいつどのような処方箋を作成したのかが透明化・共有化されたことで、重複あるいは過剰な薬物の処方・服用を抑制しています。

「病院 VS 在宅」の争いはやめませんか
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/hirohashi/201902/559917.html
進行癌患者を支える医療者にとって、一番やってはならないことは、病院と在宅のどちらか片方がよいという価値観を押し付けること。その人にとって安心して過ごせる場所は、そのときによって変わると。

神戸市が市民にPHRアプリ提供へ 生活データと健診結果を管理
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/04200/
日本では、こうして互換性のないPHRアプリやお薬手帳アプリが乱立していくのでしょうか。

学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(最終まとめ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1413967.htm
1 医療的ケア児の「教育の場」
2 学校における医療的ケアに関する基本的な考え方
3 教育委員会における管理体制の在り方
4 学校における実施体制の在り方
5 認定特定行為業務従事者が喀痰吸引等の特定行為を実施する上での留意事項
6 特定行為以外の医療的ケアを実施する場合の留意事項
7 医療的ケア児に対する生活援助行為の「医行為」該当性の判断
8 研修機会の提供
9 校外における医療的ケア
10 災害時の対応 など


第13回 オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会
2019年2月28日
https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/online_pf/013/shiryou/index.html

EUやオーストラリアにおける取組が紹介されています。「プラットフォーム経済における消費者保護の確保に向けて ―欧州消費者機構(BEUC)による意見書」には、次のような意見も。
・消費者の基本的権利を保護するためには、一般データ保護規則(GDPR)の強力な執行および意欲的な内容のeプライバシー規則が必要である。
・プラットフォームは、eIDASに準拠した本人確認メカニズムを用いるべきである。

日本だけでバカ売れするRPA、愚かな結末を改めて警告する
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00148/022800048/
ブラックボックス化の進行によって業務に対する知見や人的ノウハウが失われて、RPAや基幹系システムにトラブルがあった際に業務が「完全に」回らなくなると。
関連>>仕事はもっと減らせる、記者が見たRPAとAIの破壊力
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/021900238/
RPAのソフトロボとAIクラウドサービスの連携で、ソフトロボをより賢くできると。

セブン一転、時短営業「実験」へ 指示したのは誰?
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/030400135/
持ち株会社セブン&アイ・ホールディングスが「待った」をかけたと。セブン社長とは、見ているものが違う(より高い次元で見ている)ということでしょう。しごく真っ当な判断ですね。

【まとめ】望月記者への質問制限で「記者クラブ」に集中砲火、あの党にも延焼
http://agora-web.jp/archives/2037536.html
図らずもマスコミや共産党のダブルスタンダードが明らかになってしまったようです。記者クラブが廃止になると、日本社会の透明性向上には貢献しますね。