エストニアのデジタル国家から見た「自治体情報システムの標準化」について

日本における「自治体情報システムの標準化」の流れを受けて、「エストニアでは、省庁や自治体の情報システムが標準化されているのか」「自治体は、みんな同じ情報システムを使っているのか」と聞かれることが以前より増えました。

結論から言えば、「情報システムの標準化はあまり重要ではない」となります。「あまり」と書いたのは、「優先順位としては少し後に来る問題なので、その前にやるべきことがある」ということです。

国や自治体に限らず、「公的な業務を処理する全ての情報システムおよびデータベースの情報を適切かつ安全に管理、共有、交換することにより、機関および公共部門の目的の達成を支援する」ために、エストニアでは組織間の文書交換やデータ交換の標準プロトコル(実装の義務を含む)を作成し、文書タイプとメタデータのデータ記述を評価して公開しています。これには共通の辞書や分類子を含みます。

上記のような仕組みを制度として確立するために、エストニアでは公共情報法やアーカイブ法を制定しました。

日本の外字問題が無くならないのには理由があるように、エストニアで公的業務の自動化が進んだのにも理由があります。日本のようなしがらみが多い電子政府において、「データの相互運用性を確立するためには何すれば良いのか」を考えて実行することの難しさは、電子政府関係者の多くが理解しているところですが、だからこそ規制改革や行政改革とセットにしてデジタルガバメントを進めることが大切なのです。