家族が死亡した時のサブスクサービスの解約や名義変更について
先日、ジェアディスの勉強会で、死亡時の手続きの自動化についてお話ししました。エストニアでは、家族が死亡届をする必要が無く、年金や福祉などの公的なサービスの手続きも不要になっているといった内容です。
この話に関連して、サブスクリプションサービスの死後の処理についての質問がありましたので、少し整理しておきたいと思います。
サブスクリプション(略語:サブスク 英語:Subscription)とは、月額利用料などの定額料金を支払うことで、その期間中に商品やサービスを利用できるビジネスモデルのことです。昔からある定期購読や継続購入などの定額サービスが、様々な分野に拡大したことで、サブスクリプション(サブスク)という言葉も広く知られるようになりました。
サブスクのサービスの具体例としては、
音楽配信:Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Music
動画配信:Amazonプライムビデオ、Netflix、U-NEXT、ディズニープラス、FANZA
雑誌や書籍の読み放題:Kindle Unlimited、コミックシーモア、dマガジン、楽天マガジン
ソフトウェアやクラウド:Microsoft 365、ノートン360、iCloud、One Drive
飲食:GREEN SPOON、ナッシュ、三ツ星ファーム、オイシックス
などがあります。
通常、サブスクサービスでは利用登録時に身分証明書を提示するなどの厳格な本人確認を行っていないため、デジタルコンテンツなどの資産の継承が無ければ、死亡時の手続きも簡素化されています。
例えば、動画配信サービスのNetflixでは、友達や家族によるNetflixアカウントへのログインや代理としてのアカウントのキャンセル(解約)を提示しています。ID・パスワード等が不明のためアカウントへログインできない場合も、メールアドレスや電話番号、支払い情報などにより問い合わせをして解約を進めることができます。
参考:亡くなられたNetflixメンバーのアカウントをキャンセルする方法
実際には、「家族が死亡した後になって初めてサブスクサービスの利用が発覚する」といったことがありますが、支払い方法のアカウント(クレジットカードや銀行口座)が停止することで、サブスクサービスも一定期間の後に自動的に解約になるようです。ただし、延滞料金などが後で請求される可能性もあるので注意が必要です。
参考:ネトフリやSpotifyなど「サブスク」は契約者の死後、どうやって解約できる? | 相続会議
私が個人的に最良と考える方法は、ちょっと面倒かもしれないけど「サブスクの自動更新はオフにしておく」です。特に一時的な解約によってコンテンツやデータ等のデジタル資産が喪失する可能性が無いサービスについては、「自動更新しない」としておくのが良いでしょう。アダルト動画の配信サービス利用などは、死亡した後に見つかったら恥ずかしいですし。。
Netflixなどの一方通行で単純な動画配信サービスと比べると、総合的なサービスを提供するAmazonアカウントは、死後の手続きもかなり複雑になってきます。
家族等がAmazonのアカウントにログインできる場合は、名義変更等を行い、Kindle UnlimitedやAmazonプライムビデオなど、不要なサブスクサービスの利用を停止することで、購入した電子書籍などのデジタル資産の確保や継承を済ませることができます(法令上の相続手続きは別です)。もちろん、デジタル資産が不要な場合は、Amazonアカウント自体を閉鎖することもできます。
参考:アカウント設定の変更 – Amazonカスタマーサービス
参考:アカウントを閉鎖するとどうなりますか? – Amazonカスタマーサービス
Amazonのアカウントにログインできない場合は、Amazonへの問い合わせの際に、死亡診断書の写し、家族・代理人であることを示す公的証明書類、パスポートや運転免許証など家族・代理人の有効な写真付き本人確認書類などが必要になります。けっこう大変ですね。
参考:ご遺族からのお問い合わせ – Amazonカスタマーサービス
ということで、サブスクサービスの利用について私がお勧めする対策は、次の通りです。
1)基本的に、サブスクサービスの自動更新はしない(解約日を指定する)
2)利用しているサブスクサービスの一覧を作って、可能な範囲で家族と共有する
3)残したいデジタル資産がある場合は、家族や友人とアカウントの引き継ぎ方法を決めておく
ちなみに私の場合、Amazonプライム以外は「自動更新しない」としています。Amazonプライムも「更新前にお知らせメール」を選択しています。死亡した場合、デジタル資産は無くなっても良いと考えています。この辺りは、人それぞれですね。