デジタル国家に必要な情報公開制度の再設計について
日本の基礎自治体単位の住民基礎データ(住民基本台帳と戸籍)の管理については、時間をかけても良いので、統合して国が管理する人口登録データベースへ移行した方が良いというのが私の考え方です。では、どこから手を付ければ良いかと言えば、それは情報公開制度になります。
紙帳簿を前提とした情報開示・公開請求に応える制度から、インターネットを前提とした国民の情報アクセス権を保障する制度へ再設計するということです。
具体的には、国民が少なくとも公開制限のない情報についてはインターネット上で自由にアクセスできるように、公的データベースの確立や管理運用方法に関する共通ルールを情報公開制度の中に組み込んでいくことになります。
「デジタル社会に対応するように再設計された情報公開制度」は、デジタル国家が「政府による監視社会」にならないための防波堤として機能します。ここで言う「政府」とは、政治家や警察、裁判官、公務員など法令によって公権力を与えられる個人や組織のことです。
政府のデジタル化は常に「政府が国民を監視する社会」となる危険性があるので、それを抑制する装置としてデジタル社会に対応した情報公開制度が欠かせません。
デジタル国家で目指すべきなのは、「国民がデジタル技術で政府を監視できる社会」の実現です。その基礎となる再設計された情報公開制度なしに、拙速にデジタル化を進めるべきではありません。一部の政治家が強引な手法でデジタル化を進めても、国民間の新たな対立を生み出すだけであり、日本のデジタル国家の実現をかえって遅らせることになるでしょう。