情報システム進化論、日本の電子政府にも欠かせない「人間中心の情報システム」
砂田薫さんの「情報システム進化論」を読みました。これからの日本の電子政府に必要なヒントをたくさん得られるので、おすすめです。情報システムの「進化」の過程を学べるので、私自身の知識の体系的な整理や補完になりましたし、高校や大学の教科書にも適していますね。国内外の事例紹介も豊富で、災害や教育など公共分野におけるIT利活用のあり方も学べます。
本書で、その重要性が指摘されている「人間中心の情報システム」は、エストニアのデジタル国家でも基本原則として大切にされています。最新の動向を踏まえつつ、どの技術をどのように使えばサービスの利用者(一般市民や事業者、公務員など)が求める価値を提供できるのか、そのために必要な法制度はどのように設計されるべきなのかといった考え方です。この辺りは、本書の第4章「北欧とエストニアのデジタル進化」で解説されています。
第7章では「人間中心の情報システムの条件」も整理されています。今後、日本が様々な公共サービスのデジタル化を進める際に、「人間中心の情報システムの条件」は、「法制度と情報システムが融合した設計・開発」を実施する際の有効な指標になるでしょう。