電子政府で調べる「テポドン対策」

北朝鮮のテポドンが話題になっているが、ニュースを読んで気になったのが、日本の防衛能力の不備についてである。仮に北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射された場合、迎撃できないというのである。

日本が戦争放棄を宣言している以上、攻撃能力より防衛能力を向上させるのが効率的と思うのだが、たくさんの防衛費を計上しているにもかかわらず、現実的な脅威となっているミサイル攻撃に対応できないのは、かなり心配である。

平成十八年度予算を見ると、防衛関係費は5兆円弱(4兆8000億円)となっており、次のような措置が含まれている。

海上自衛隊:弾道ミサイル防衛システムの整備として、イージス・システム搭載護衛艦一隻の能力向上等(SM―3ミサイルの取得及びSM―3ミサイル発射試験を含む)を行うほか、各種器材及び施設の整備等を図る。

航空自衛隊:弾道ミサイル防衛システムの整備として、地対空誘導弾ペトリオット一個高射群分の能力向上等(PAC―3ミサイルの取得を含む)を行うほか、各種器材及び施設の整備等を図る。

技術研究本部:今後の弾道ミサイルの脅威への対処能力を確保するため、弾道ミサイル防衛用能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発に着手する。

そこで、電子政府を使って、「地対空」というキーワードで、日本のミサイル対策について調べてみた。

すると、「BMD(弾道ミサイル防衛)システム」という言葉にたどり着いた。

BMD=Ballistic Missile Defenseとは、自衛隊が保有しているイージス艦と地対空誘導弾ペトリオット・システムの能力を向上させ、イージス艦による上層での迎撃とペトリオット・システムによる下層での迎撃を統合的に運用する多層防衛システムである。

とのこと。

つまり、防衛空域を上層と下層に分け、

・上層:イージス艦
・下層:ペトリオット・システム

で対応するということらしい。

最近も、防衛施設庁より、「米軍再編案件に関する日米合同委員会合意(弾道ミサイル防衛用移動式レーダー(Xバンド・レーダー)関連)について」(平成18年6月29日)が公表されている。

もう少し詳しく全体的な内容が知りたいと思って調べてみると、政府広報として「弾道ミサイル防衛」をテーマにしたテレビ番組がウェブ公開されていた。

専門家による丁寧な解説で、現状の理解にあたって大変参考になる。

日本の弾道ミサイル防衛(BMD)は、平成15年末にシステムの導入を決定、翌16年度から整備開始となっているが、整備完了するのは、なんと平成23年頃とのこと。

しかも、その予定は、あくまでも現在のミサイル能力を前提としているので、実験等により相手国のミサイル能力が向上していくため、実際にはもっと遅れる可能性もあるとのこと。

うーむ、こりゃーヤバイわ

有識者の見解を聞く限り、北朝鮮のミサイル実験が、必ずしも日本への直接のミサイル攻撃を想定しているわけではないようだが(米国へのけん制、海外へのミサイル販売のための宣伝、軍部の反抗など)、日本にミサイルが飛んでこないという保証は全くないので、一日も早い政府の対応を望みたい。

こうした実態を知ると、今更であるが、防衛施設庁の入札談合問題で、何百億・何千億の予算が無駄遣いされていたと思うと、ものすごく腹立たしいなー