乙号登記については、オンライン利用率向上の前に、徹底した省略化が必要
「不動産登記に係る登記事項証明書等の交付請求等」と「商業・法人登記に係る登記事項証明書等の交付請求等」だけで、年間の申請件数が3億6千万超となっています。これは、行動計画の対象手続175種類(年間申請件数:約7.8億件)の半分弱を占めるもので、他分野の手続と比較しても、突出して多くなっています。
この膨大な申請件数を、仮に10%(3千6百万件)でも減らすことができれば、国民側のコスト削減効果(1件あたり千円としても)は360億円となり、国民がその利便性を実感できます。また、行政側が交付に要する事務処理コストについても、同様に削減できるでしょう。
登記事項証明書等の交付請求等の申請件数を減らすには、次の2つの方法が有効と考えます。
1 行政手続の添付書類とされる登記簿謄本等の提出を不要とする。
電子化された登記情報を行政の側で共有し、必要に応じて確認する。これは、住基ネットを活用することで住民票の写しの提出を不要としている措置と同じものである。
現在は、電子申請に限り、登記簿謄本等の提出に代えて、インターネット登記情報サービスから有料で取得する照会番号を利用することができるが、これでは、利用者の負担が大きく、電子政府のメリットを感じることができない。
2 基本的な登記情報については、無料で開放する
商業登記および不動産登記の基本的な情報をウェブ上で無料公開し、誰でも簡単に検索・閲覧できるようにすることで、民間取引等の安全性・迅速性を高め、安全・安心・便利な社会形成に貢献できる。
無料公開する範囲については、個人情報保護等に配慮しながら、利用者(企業、個人、士業など)や有識者等の意見を聴いて決めれば良い。
また、紙(将来的には電子も)の証明書や謄本等の交付、より詳細な情報の検索・閲覧などを有料サービスとすることで、一定の収益性も確保することができる。
★補足コメント:
国民に利便性を実感してもらうには、役所への手続数(利用率の分母)を減らすのが最も有効である。手続数を減らすには、
・手続を廃止する
・手続を省略する
・手続の頻度を減らす(更新、報告など)
手続の廃止・省略については、所管府省(身内)での検討にとどまっており、これでは国民の視点で廃止・省略が進むことを期待できない。第三者機関による「行政手続の最適化」が必要と言えましょう。