手続の分類は、利用者の視点で(厚生労働省へ)

電子政府評価委員会への意見、続いては厚生労働省関連のもの。

●利用者層の分類とニーズの把握を

士業(社会保険労務士)との連携は見られるものの、どのような利用者層(大企業、中小企業、個人事業者、公共団体、組合など)に利用してもらいたいのかが不明確です。

対象とする利用者に応じた、利用推進策を計画・実行していくことが必要と考えます。

●手続の分類は、利用者の視点で

厚労省が所管する手続数は膨大で、行動計画の対象175手続のうち、77手続を占めており、現在の電子申請においても、必要な手続を見つけることが困難となっています。

テーマやイベント(起業、入社、退職、結婚、定期報告など)による分類など、利用者の視点で手続を整理して、窓口の統一化や行政機関間の情報共有・業務連携が必要と考えます。

●手続の絞込みと専門化を

行動計画対象の77手続では多すぎるので、「厚生労働省電子申請・届出システム」や「磁気媒体届出作成プログラム」の利用状況等を踏まえて、10手続以内ぐらいの絞込みが必要と考えます。

社会保険・労働保険の分野は、企業の負担も大きく、電子化のニーズは高いと考えられますので、費用対効果を考慮しつつも、専用のシステムやサービスを展開していくことが有効と考えます。

●士業が利用しやすい環境を

厚労省が所管する電子申請の利用について、社会保険労務士が関与するものが非常に多い(およそ8~9割)と聞いています。

もしこれが事実であり、現行の紙申請における関与率(およそ3~4割)と比べても多いのであれば、士業専用の窓口(ウェブページ)を設けるなどして、士業が利用しやすい環境を整備することが有効と考えます。

●ID・パスワードは、申請者の負担が増えることがないように統一化を

利用促進の観点から、申請者の実情に合わせる形で、電子署名に代えてID・パスワード等を採用することは評価できます。

ただし、労働保険・社会保険・雇用保険といった分野や手続ごとにID・パスワード等が付与されると、かえって申請者の負担が増えることになります。

事業者コード等の活用により、ID・パスワードの統合化を進め、少なくとも厚労省が所管する分野については、一つのIDで利用できることが望まれます。

●仕様公開に加えて、民間サービスとの積極的な連携を

社会保険・労働保険に関しては、既に多くの民間サービスが存在し、多くの事業者や社会保険労務士が利用しています。

こうした民間サービスとの連携を強化して、利用者の現行業務フローに配慮しながら、紙申請から電子申請へ移行しやすい環境を作っていくことが必要と考えます。

補足コメント:
士業のような仲介者をターゲットとして利用を推進するのであれば、国民の利便性に加えて、仲介者の負担を減らし、より仲介しやすい環境を整えることが有効です。

「国民に使ってもらえないから、仲介者に使ってもらう」という発想は、単なる丸投げで、責任の放棄となります。